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■「月と日」収録曲解説
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1.「さくら」
日本語の歌がベラルーシ語に翻訳され、ベラルーシの人たちに日本の歌を内容とともに知ってもらえる大きなきっかけとなりました。 美しいベラルーシ語に翻訳してくれたのは、詩人のアレーシ・カモツキーさんです。 そのベラルーシ語訳をさらに日本語に訳したら、原詩との違いや共通性が分かり、日本人の皆様にとってはおもしろいのではないか? そう考えて翻訳してみました。この違いの部分にカモツキーさんを通した、ベラルーシ思想が見え隠れすると思うのです。 原詩のほうは日本人の皆様はよくご存知だと思いますが、記事の最後につけておきます。比較しながらお読み下さい。 また曲にまつわる裏話やエピソードもご紹介します。 ではまず1曲目「さくら」から・・・
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日本を象徴する花、さくらをやはりCDの冒頭を飾る1曲目に持ってきたくて、そのように頼みました。 また男性より女性の声のほうが、この曲のイメージに合うのでは? と思い、そのように話したため、この曲だけトーダル君ではなく、バイオリニストのクセニヤ・ミンチャンカさんが歌っています。(後から考えたら、少々トーダル君に失礼だったかな? と思いましたが)クセニヤさんに歌ってもらって、とても美しい曲になったと思います。クセニヤさんの気品のある声が、まさしくさくらの持つイメージにぴったりです。 この曲でCDが始まることによって、ベラルーシ人リスナーを日本の世界へいざないます。
ところで、この曲はもともとの歌詞が短かったため、新旧の両方の歌詞を翻訳して、少し長くしました。新旧の歌詞は下記をご覧下さい。 この歌は元の歌が持つイメージを残した編曲がされています。でもメロディーは日本風ですが伴奏や間奏は西欧風です。和洋折衷がもっとも巧みに編曲された曲だと思います。 収録曲の中で最も古い歌であるため、ベラルーシ人が聞くと異国情緒が漂う歌として、とても人気がある歌です。 ちなみに、2004年1月のコンサートで発表されたときは、ハーモニカが使われていました。しかしその後、このハーモニカ・バージョンの「さくら」は採用されませんでした。幻の「さくら」になってしまいました。ハーモニカ・バージョンもとてもよかったので、少し残念です。
さて、ベラルーシ語の歌詞ではこのように歌われています。
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「さくら」
一面の白い花 まるで空から雲が春に向かって 地に触れるほどの深いお辞儀をしているよう これは咲いたさくらの花 まるでかすみは帳のよう 白い花、白い花 さくらの花が咲いた
一面の白い花 その香りは日の光のように歌っている 全ては私たちに運命が与えてくれたもの これは咲いたさくらの花 まるで花びらはかすみのよう 白い花、白い花 さくらの花が咲いた
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原詩のほうは、さくらの花が美しく、しかもたくさん咲いている光景を歌い、花を愛でる、といったテーマですが、これが昔の人にも現代人にも通じる気持ちであることが、この歌が日本人に長く愛されている理由だと思います。 ベラルーシには一面にさくらの花が咲いている、という光景はありません。カモツキーさんはそのような情景を想像しながら、翻訳をしたと思いますが、原詩と違って、擬人法を使ったり、人間と自然との関係を「運命」と言う言葉で表現しようと試みています。 花を愛でる、というだけではなく、さくらの花という存在を人間の存在にもっと近づけようとした創意が感じられます。 皆様はどう思われるでしょうか?
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「さくら」日本古謡
(旧歌詞)
さくら、さくら やよいの空は、見わたすかぎり かすみか、くもか、にほひぞいづる いざやいざや、見に行かん
(新歌詞)
さくらさくら 野山も里も、見渡すかぎり かすみか、くもか、朝日ににほふ さくら、さくら 花ざかり
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トーダル&WZ-オルキエストラについて、詳しくは以下のリンク先からご覧ください
・「Tのベラルーシ音楽コラム」 バラード 季節の香り
(ベラルーシの部屋内にある紹介ページにあるトーダル&WZ-オルキエストラのCD紹介ページ)
・トーダル君の公式サイト
辰巳雅子
Date:2005/10/25
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