日本の歌をベラルーシ語で〜2004

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□2004年
「さくら」
インタビュー
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9月まで
9月発売前
□CD完成、コンサート
はじめに
・コンサートレポート(1) (2)
(3) (4)
□「月と日」
・スタッフ紹介
(1) (2)
ジャケットデザイン
収録曲と歌詞カード
トーダル君について
WZ−オルキエストラについて
CD解説日本語訳
□収録詩訳
1.「十字路」
2.「天使たち」
3.「秩序」
4.「正方形」
5.「亜麻」
6.「祈りの試み」
7.「夕べ」
8.「葉」
9.「私たちのビリニュス」
10.「一つの祖国」
□収録曲解説
1.「さくら」
2.「朧月夜」
3.「茶摘み」
4.「浜辺の歌」
5.「われは海の子」
6.「紅葉」
7.「村祭」
8.「十五夜お月さん」
9.「冬の夜」
10.「故郷」
思い出のエピソード
 

■ 日本の歌「さくら」がベラルーシ語の歌になりました!

 2004年1月30日、コンサートホール「ミンスク」にて、ベラルーシで初めて、日本の歌がベラルーシ語で歌われました!
 
 歌われた日本の歌は「さくら」(日本古謡のあの「さくら」です。)
 編曲はトーダル。(本名はズィミツェル・バイツュシュケビッチ)
 日本語の歌詞は辰巳が日本語からロシア語へ、そしてロシア語からベラルーシ語へは詩人でシンガーソングライターのアレーシ・カモツキーが翻訳しました。
 歌ったのはトーダル率いるWZ-オルキエストラのメンバー、クセニヤ・ミンチャンカでした。

 トーダル&WZ-オルキエストラについて、詳しくは以下のリンク先からご覧ください
トーダル&WZ-オルキエストラ (公式サイト ベラルーシ語)
・「Tのベラルーシ音楽コラム」  バラード 季節の香り
(ベラルーシの部屋内にある紹介ページにあるトーダル&WZ-オルキエストラのCD紹介ページ) 

  さて、ここまで読んで
「さくらをベラルーシ語にした? それは一体どういういきさつで?!」
と思われた方が多いと思いますが、事の起こりはそもそも4年前・・・
 ・・・と説明し出すと長文になってしまうので、過去の話は次回にまとめます。
 
 ここでは先に未来の話をしますね。
 実は日本の歌10曲をベラルーシ語に訳して、1枚のCDにして販売する計画があります。何枚製作するかもまだ決まっていませんが、日本の歌をできる限り多くのベラルーシの人々に紹介したいと思っています。もちろん多くの日本人にも、二つの異なる文化が融合した音楽を聞いていただきたいです。

 編曲はトーダル。
 歌詞の翻訳はTとアレーシ・カモツキー。
 演奏はトーダル&WZ-オルキエストラ。
 ・・・で、現在、話は進んでいます。


 さて、収録曲10曲のうちの1曲「さくら」ベラルーシ語版はすでに完成しました。
 ちょうど2004年1月30日にトーダルの最新CD「季節の香り」コンサートが、ミンスクで行われたのですが、そのときに「さくら」も演奏曲の中に入れる、とトーダル君が宣言したため、私もコンサートへ行ってきた・・・というわけなのです。

 コンサートは2部構成で、前半は主にCD「季節の香り」の収録曲が歌われていました。「さくら」がいつ歌われるのか、分からなかったので、私の心臓は鳴りっぱなし・・・
 会場はほぼ満席。1200人ぐらいが来ていました。 
「ああ、この人たちがベラルーシ音楽史上初の日本の歌のベラルーシ語版を聞くラッキーな人々なのだわ。」
などと考えていました。(^^;)
 休憩のときにロビーに行くと、プロデューサー氏はトーダル君のCDとカセットを販売中・・・。売り場には黒山の人だかり。
 プロデューサー氏によると「季節の香り」はトーダル君のアルバムの中で一番売れたのだそうです。

 ロビーでロシア語からベラルーシ語に翻訳したアレーシ・カモツキーさんにお会いしました。カモツキーさんは、見るからに芸術家、という感じのお方で、とても優しそうな人でした。
T「私が訳したロシア語訳、最悪だったでしょう。詩人の感覚で読むと・・・。あれは直訳に近くて、詩と呼べるようなものではなかったですから。」
カモツキーさん「いや、そんなことないですよ。必要なのは情報ですからねえ。」
T「ベラルーシ語に訳すのは、難しくありませんでしたか?」
カモツキー「いや、おもしろかったですよ。日本の歌は美しいと思います。これから残りの歌を訳しますからね。」
(でも、ただ訳すだけじゃなくてメロディーに合わせた歌詞にしないといけないから、実際はかなり大変な作業だったと思います。)

 ちなみに「さくら」はベラルーシ語訳のタイトルは「桜の花が咲いている」になっていました。
 そしていよいよ第2部の始まり。ずっとベラルーシ語の歌が続いている中で、いきなり日本の歌が歌われたら、浮いてしまうのではないかと、心配していましたが、プロデューサー氏は
「う〜ん、でも半分ベラルーシの歌になっているはずだから、大丈夫だよ。」
と言っていました。
 そして実際、そのとおりになっていたのです。

 第2部の4曲目に「さくら」が歌われました! 今までバイオリンを弾いていたクセニヤさんが、バイオリンを置いて、突如、紙で作った白い扇を2枚手に取り、それを舞いのように回しながら「さくら」を歌い始めました!
 あの「さ〜く〜ら〜♪ さ〜く〜ら〜♪」の出だしはベラルーシ語で
「白い花よ、かわいい花・・・・・」
となっていました!
 伴奏はピアノ、ドラム、バヤン、コントラバス、ハーモニカ、でした。
 私は聞いていて、ずっと手が震えていました。
 終わった後、大きな拍手と「ブラボー!」の声。
 しっかり、花束をクセニヤさんに渡しておきました。(^^)

 クセニヤさんの美しい声は、ただ綺麗なだけではなく、魂がこもっていました。
(あ〜全ての日本人に聞かせてあげたかったよ。) 
 トーダル君の編曲は、すばらしかったです。正直言って、ここまで美しく、心のこもった編曲をしてくれるとは思っていませんでした。予想以上でした。
 言葉では、うまく言い表せませんが、メロディーは日本の「さくら」にもかかわらず、トーダルの音楽の味がついている曲に変身してしまっているのです。この編曲の仕方は、日本人にはできない、と感じました。つまり、ベラルーシ人だからこそ、できた新しい「さくら」なのです。
 日本であってベラルーシでもある、あるいは日本のものでもない、ベラルーシのものでもない、とも言える、世界で一つの不思議な花が咲いたのを見たようでした。
 これからも順調に残りの曲の翻訳と編曲作業が続いて、CDとして成就することを祈っています。


 それにしてもこれから、どんな曲ができあがっていくのか、本当に楽しみです。(^^) トーダル君の歌う日本の歌が早く聞きた〜い! →NEXT
辰巳雅子
Date:2004/02/02