日本の歌をベラルーシ語で〜「月と日」プロジェクト

*MENU*
□2004年
「さくら」
インタビュー
□2005年
5月
9月まで
9月発売前
□CD完成、コンサート
はじめに
・コンサートレポート(1) (2)
(3) (4)
□「月と日」
・スタッフ紹介
(1) (2)
ジャケットデザイン
収録曲と歌詞カード
トーダル君について
WZ−オルキエストラについて
CD解説日本語訳
□収録詩訳
1.「十字路」
2.「天使たち」
3.「秩序」
4.「正方形」
5.「亜麻」
6.「祈りの試み」
7.「夕べ」
8.「葉」
9.「私たちのビリニュス」
10.「一つの祖国」
□収録曲解説
1.「さくら」
2.「朧月夜」
3.「茶摘み」
4.「浜辺の歌」
5.「われは海の子」
6.「紅葉」
7.「村祭」
8.「十五夜お月さん」
9.「冬の夜」
10.「故郷」
思い出のエピソード
 

■ 「月と日」CD 

ジャケットデザイン

 


 

 CDのジャケットはアレーナ・ダシケビッチさんがデザインしてくれました。
 右側、縦書きにベラルーシ語で「月と日」とあります。さりげなくお月様とお日様が文字の中に隠されています。
 右上には横書きでトーダル君の本名ズィミツェル・バイツュシュケビッチが載っています。
 左下には縦書きに日本語で「月と日」 赤字でしかも赤枠で囲まれていますが、これは日本の浮世絵などの片隅に作者の印が押してあるのを、イメージしてデザインしたそうです。
 そして左下に横書きで「WZ-オルキエストラ」とあります。
 それからウエストレコード社のシールが貼ってありますが、これがないと海賊版CDですので、皆様お気をつけ下さい。(^^;)
 
 中央右寄りにあるマークが有名な「スカリナ・マーク」です。 
 16世紀の偉大なベラルーシの学者スカリナは、聖書をベラルーシ語に翻訳し、出版しました。これがベラルーシ語出版物で最初のものです。スカリナは太陽と月を組み合わせたこのマークを考案し、その後も全ての自分の出版物にこのマークをつけました。
 現在において「スカリナ・マーク」はベラルーシ語そのものを表すシンボルマークになっています。
 つまり、これはベラルーシ語の歌が収録されていることを表しています。

 CDのタイトルを「月と日」にしてほしい、と頼んだのは私(辰巳)です。
 日本の歌をベラルーシ語に翻訳するに当たり、日本人にもベラルーシ人にも共通して通用する言葉やシンボルがないか、探していたところ、このスカリナ・マークのことを思い出したのです。
 日本は「日出る国」と言われていますが、どちらかというと、絵画や詩には「花鳥風月」といって月がよく出てきます。
 さらに「月と日」を「月日」と読めば「時の流れ」という意味も出てきます。
 それでCDには春夏秋冬の時間に合わせて曲を並べました。(最後の「故郷」だけ季語なし、ですが。)
 またタイトルに合わせて意識的に「月」と「日」という言葉が歌詞に出てくる歌を選びました。
 ベラルーシ人によく間違えられるのですが、「日」が日本で、「月」がベラルーシということではありません。
 二つの惑星が重なって同時に見える、つまり日本とベラルーシという二つの文化が歌を通して重なってほしかったのです。

 ちなみに、CDのジャケットについて私は「大体こういうイメージにしてほしい。」とラフスケッチのようなものを渡していました。
 言葉で説明すると、スカリナマークが空中(宇宙)に浮かんでいるような感じの絵です。
 トーダル君は私の絵が大変気に入ったそうです。その絵をグリョーブスさんに見せたら、グリョーブスさんも褒めてくれたそうです。(現代を代表するベラルーシ詩人に褒められるなんて光栄です! しかもグリョーブスさんは元々美術が専門なのだそうです。)

 ところがその後、私の絵は没になってしまいました。インパクトが薄く、店頭に並べたときに他のCDジャケットのデザインの中に埋もれてしまう、という理由でした。
 代わりにダシケビッチさんが考えたのがこのジャケットです。ダシケビッチさんはスカリナ・マークから連想して、古文書風の色をまず背景に選びました。
 そして紅葉を古文書の紙の上に散らしました。

 最初ダシケビッチさんの仮のデザインを見たとき
「確かにこのデザインのほうがインパクトがあるわ。」と思いましたが、
「この羊皮紙もいいですけど、もっとスケールの広いようなデザインはだめですかね。宇宙とか空間とか、天とか空とか。日本とベラルーシは遠いけど、月面から見れば近い。タイトルが『月と日』なんだから二つの国が宇宙を通じて繋がっている・・・そういうイメージのほうがうれしいんですが。」
と自分の意見を言いました。
 「それに収録曲は春夏秋冬の曲を集めたのに、紅葉だと秋の歌だけのようなイメージが強くなってしまいます。実際『紅葉』という曲が収録されているので、ジャケットに紅葉があると、1曲だけが特別扱いされているようだ。」
とも言いました。
 このようにジャケットデザインについて、トーダル君も交えていろいろ話し合ったのですが、ダシケビッチさんの説得を聞いているとだんだん、紅葉の葉っぱが羊皮紙の上の「言の葉」に見えてきて、
「万葉集を思い出すなあ。・・・これでいいか。」
と思えてきました。それにCDの発売は秋なので、紅葉でもいいような気がしてきました。

 結局、私は自分の意見を引っ込め、ダシケビッチさんのデザインが採用されることになりました。
 CDがいざ9月に完成してみると、ちょうどベラルーシは紅葉真っ盛りとなっていました。
 今ではこのデザインになってよかったな、と思っています。見るたびにCDが誕生した2005年の秋を思い出せるからです。


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 トーダル&WZ-オルキエストラについて、詳しくは以下のリンク先からご覧ください
・「Tのベラルーシ音楽コラム」  バラード 季節の香り
(ベラルーシの部屋内にある紹介ページにあるトーダル&WZ-オルキエストラのCD紹介ページ)
・トーダル君の公式サイト

辰巳雅子
Date:2005/10/17