CD解説の日本語訳
「WZ−オルキエストラについて」の画像の左半分にはCDの解説が載っています。以下の画像は冒頭を拡大したものです。
画家のミハル・アネムパディスタウさんが執筆してくださいました。
この画像で分かるように、びっしりと書かれています。これでもスペースがないので文章を削ったそうです。ミハルさん、たくさん書いてくださってありがとうございます。
しかし、細かい字でしかもベラルーシ語の筆記体文字で印刷されているので、読みづらい・・・
と思ったら、トーダル君の公式サイト「トーダル・ネット」内で分かりやすく掲載されているのが分かりました。http://www.todar.net/ (ただしベラルーシ語表記のみです。)
さて、CD解説文の日本語訳はこのとおりです。
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1504年ポーロツクに住む一人の商人が、自分の息子フランツィスクを学問の道へと送り出した。ルネッサンスの新鮮な風に吹かれながら、フランツィスク・スカリナはヨーロッパのいくつかの大学で学び、13年後チェコのプラハで最初のベラルーシ語の書物を出版した。スカリナは医者であったばかりではない。植物学者であり、芸術家であり、翻訳家でもあった。また啓蒙家でもあり、出版者であり、宣伝の専門家でもあった。自分が出版した書物の装丁をし、注釈を書き、そしてフランツィスク・スカリナの出版物であることを示すシンボルマーク(背丁)を載せた。それは月と太陽が一つに組み合わされた文様で、実際にはスカリナというブランドを表すマークである。しかし、現代においてはこのマークはベラルーシ文化そのものの象徴となっている。
スカリナがヨーロッパへ旅立って500年後、日本からベラルーシへ辰巳雅子がやってきた。彼女はベラルーシの文化を学び、日本の文化をベラルーシ人に紹介する仕事をしている。彼女は違いや共通性を比べ、平易で理解しやすい符合やシンボルを探した。そして、スカリナ・マークを見い出した。
日本の伝統文化において、このようなデザインの文様は存在しないが、このマークが表す意味は日本人にも分かる。夜と昼。時の流れの輪。それだけではなく太陰暦と太陽暦も想起される。日本もベラルーシにも、ともに時のサイクルに対する共通する教えがあるのだ。そこで、このCDに収録された詩歌は季節の流れに対応して集められたのである。
ここミンスクに住む辰巳雅子には天才的かつ簡素な考えが浮かんだ。日本の伝統的な歌をベラルーシ語で歌ったらどうだろうか。この案を現実のものにするために、ズィミツェル・バイツュシュケビッチ(トーダル)が招かれた。そして歌詞の翻訳の決定稿はアレーシ・カモツキーが書き、アダム・グリョーブスが自作の詩を朗読することになった。
その結果新しくて興味深い ”味のある” 日本の「時の輪」を私たちは得ることができた。他の文化をベラルーシ風に変えることはできたが、しかし、このCDに収められた歌は多分に日本風である。
作家の芥川龍之介はこのように書いている。
「我々の力は破壊のためにあるのではない。それは変えるためにある。」
ベラルーシ人は様々な文明の間で生きている。そしてまた他の文化を自分たちの必要に応じて、適応させ、統合させてきた。CD「月と日」はこのようなベラルーシ人が持つ文化の流れの上における一つの新しい証明である。
500年前にイタリアにいたスカリナがもたらしたマークは、日本の伝統的な詩と現代ベラルーシ音楽文化が融合したCDのジャケットに印された。異なるものの融合。私たちは独自なものを創造する。そして時の輪は前に進む。
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トーダル&WZ-オルキエストラについて、詳しくは以下のリンク先からご覧ください
・「Tのベラルーシ音楽コラム」 バラード 季節の香り
(ベラルーシの部屋内にある紹介ページにあるトーダル&WZ-オルキエストラのCD紹介ページ)
・トーダル君の公式サイト
辰巳雅子
Date:2005/10/25
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