※写真および文章はベラルーシの部屋ブログの記事からの転載です
11月16日にビタペクト2と「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村での第68回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。
今回はビタペクト2を14個、そして「放射能と栄養」のコピーを10部渡しました。
これで今までに配布したビタペクト2は合計1422個、「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーは1060部となりました。
今回で通算78回目のビタペクト2の配布となりました。
のべ人数になりますが、現時点で1422人分のビタペクト2、そして1060家族分の「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。
ビタペクト2の成分や、これまでの配布運動について詳しくはこちらからご覧ください。
「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳しくはこちらをご覧ください。
SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。
(ビタペクト2を開発、製造、販売しているベルラド研究所のサイトはこちらです。)
今回も保養のため滞在した家族にお話をうかがいました。
(家族A)
ゴメリ州ジトコビッチ市から来た家族。お母さんが6人の子どもと1人の甥っ子をつれて来ていました。この家族には全員に1個ずつ、8個のビタペクト2を渡しました。
それぞれの体内放射能値はこのとおりでした。
母親 15ベクレル
16歳長男 31ベクレル
15歳長女 39ベクレル
13歳次男 31ベクレル
12歳三男 24ベクレル
9歳次女 39ベクレル
6歳四男 15ベクレル
14歳甥 36ベクレル
子どもたちは持病などは持っていません。
ただ13歳の次男はあばら骨の1本が生まれつき、枝分かれしていて、さらにそれがくっついたような形をしているそうです。
痛みなどは感じたことはなく、医者からも特に治療などは必要ないと言われたそうです。ただ成長するにしたがって、胸の大きさが左右非対称になる可能性が高いのですが、小さいほうの胸の腕で筋力トレーニングすれば、そのほうの筋肉が発達するので、胸が大きくなり、大きさの違いは目立たなくなるそうです。
かわいそうだったのが、15歳の長女です。
5歳のときに大やけどを負い、体中に痕が残っています。
どうしてそんなやけどをしたのかと言うと、数人の子どもが止めてあったオートバイからガソリンを盗んで、道端でいろいろな物にしみこませて火をつけて遊んでいたところ、偶然この女の子が通りかかったそうです。
その子どもたちは女の子に燃やしていたものを投げつけて、逃げてしまい、女の子は服に火が燃え移って、危うく死にかかったそうです。病院で手当を受けて、一命は取り留めたものの、痕が残ってしまいました。
ミンスクにある専門医にかかっていますが、今たとえば皮膚移植をしても、成長してから引きつれなどの問題が出てくる可能性があり、本格的な治療は成人してから、と言われたそうです。チェルノブイリ原発事故の救援活動の一つで、ドイツへ治療に行ったこともあるそうですが、帰ってからベラルーシの医者に治療しなおされた、ドイツのほうが医療は進んでいると思ってたのに、とお母さんは涙を浮かべて話しました。
女の子も火傷をしたときのことを思い出したのか、泣き出してしまい、私も泣きそうになりました。
大きくなったら、ミンスクの病院で手術することを希望していますが、命にかかわる病気の手術ではなく、あくまで美容のための手術なので、有料になってしまい、お母さんは他にも子どもが6人もいるし、そんなお金がない、と言っていました。
私が訪ねたのは、火をつけた子どもたちのことです。その子どもたちはどうなったのかときくと、逃げてしまったから犯人がわからない、とお母さんは言うのですが、これは犯罪ですよね。
私だったら警察に言って、捕まえてもらい、裁判にかけて治療費をその保護者に出させるようにしてもらうけど・・・。と思ったのですが、結局犯人は分からずじまいで、放置されてしまっています。
SOS子ども村のリリヤ先生はベラルーシ保健省に訴えて、手術費用の助成金を受けるよう申請すべきだ、とアドバイスしていました。せめて顔や手など、目立つ部分だけでも、と話していました。
(あーあ、私が億万長者だったら、手術代ぐらい、ぽんと出してあげるのに・・・。)
ちなみに日本では保険はきかず、本人負担。(もちろん助成金なんてどこからも出ない。)そして1平方センチあたり約4万円の手術費だそうです。
本人の不注意で火傷したわけでもなく、犯罪の被害者なのに、犯人が分からないというだけで、治療費は本人(親)が全額負担なんてひどすぎると思いました。
どちらにせよ、手術は成人してからなので、まだ先だし、ベラルーシでもその間、医療水準が上がって、痕がほとんど消える手術方法が開発される可能性は大いにあります。
この女の子は学校の成績も大変よく、
「将来医者になったら。」
と言われているそうです。野口英世のような医者になるかもしれません。
(家族B)
ゴメリ州ドブルシ市からお母さんが2人の子どもと親戚の子どもたち4人を連れてきていました。そしてお母さんは妊娠中。
この家族には6人全員にビタペクト2を1個ずつ渡しました。
それぞれの体内放射能値はこのとおりでした。
母親 13ベクレル
15歳長男 20ベクレル
4歳次女 22ベクレル
13歳姪 18ベクレル
11歳姪 18ベクレル
8歳甥 27ベクレル
お母さんは放射能値は低かったのですが、妊娠中で、胸焼けがひどく、医者から干しりんごを食べるように言われたそうです。
それで常にポケットにもベッドのそばにも干しりんごを用意して、ずっとかじっていたら、胸焼けが収まるそうです。
ビタペクト2自体はりんごの粉末なので、これを飲んでも、胸焼けが治る可能性があるということで、今回お母さんにもビタペクト2を渡しました。
子どもたちは持病などはなく、元気だということでした。
びっくりするほど上手なビーズで作った雪だるまのキーホルダーをくれました。
ベラルーシは器用な子が多いですね。いつも感心します。
今回も子ども達に折り紙や、折り紙の作り方のコピー、自分で作る竹とんぼ、絵葉書、紙飛行機などをプレゼントしました。
器用な子どもたちなので、折り紙なんて簡単に作ってしまうでしょうね。
最後になりましたが、ビタペクト2の購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙用の紙、竹とんぼなど子どもたちへのプレゼントを寄付してくださった方々、またバザーなどでSOS子ども村への交通費を捻出してくださった多くの日本人の皆様に、この場を借りて深くお礼申し上げます。
多くの方々に支えられて、この活動が続いています。ベラルーシの子どもたちもお母さんたちもSOS子ども村の職員の方々も皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございました。