※写真および文章はベラルーシの部屋ブログの記事からの転載です
9月13日にビタペクト2と「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村での第65回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。
今回はビタペクト2を12個、そして「放射能と栄養」のコピーを10部渡しました。
これで今までに配布したビタペクト2は合計1393個、「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーは1030部となりました。
今回で通算75回目のビタペクト2の配布となりました。
のべ人数になりますが、現時点で1393人分のビタペクト2、そして1030家族分の「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。
ビタペクト2の成分や、これまでの配布運動について詳しくはこちらからご覧ください。
「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳しくはこちらをご覧ください。
SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。
(ビタペクト2を開発、製造、販売しているベルラド研究所のサイトはこちらです。)
今回は3家族が保養のため滞在していました。
(家族A)
ミンスクから来た家族。この家族は「家庭タイプの孤児院」つまり、育ての親が子どもを引き取り家庭内で養育しています。
5人の子ども(全員男の子)を引き取って育てていますが、そのうち2人は双子の兄弟。もう2人も兄弟です。
5人の子ども全員にビタペクト2を1個ずつ渡しました。
それぞれの体内放射能値はこのとおりです。
母親 10ベクレル(ビタペクト2は渡さず。)
10歳 25ベクレル
8歳 14ベクレル
6歳 25ベクレル
4歳 16ベクレル
4歳 25ベクレル
このうち10歳の男の子は甲状腺が肥大しており、昨年成長が止まっていたそうです。普通これぐらいの年齢の子どもなら、毎年身長も伸び、体重も増えるのが当たり前ですが、全く成長しなかったそうです。
しかし昨年から今年にかけては成長したとのことで、お母さんも本人も安心していました。
またお母さんのお話では子ども全員が風邪をひきやすいそうです。
子ども達はみんなミンスクの生まれで、放射能汚染地域出身の子どもはいません。しかし、それにもかかわらず、体内放射能値が高い、という印象を受けました。ベルラド研究所によるとミンスク市民の平均は8ベクレルだそうです。
家庭タイプの孤児院ということですが、何か助成金のようなものは出ているのか尋ねたところ、一人当たり月に日本円にして約8000円の手当てをもらっているそうです。
これを多いと見るか少ないと見るか、ですが、私の印象では「ないよりずっといいけれど、1人当たりの子どもにかかる食費、被服代など考えると、やや少ない。このような善意の家庭にはもっと手当てを出したらいいのに。」という額です。
またドイツから古着の支給を受けているそうです。
ベラルーシでは以前外国から古着の救援物資を受け入れていましたが、
「虫や細菌を国内に入れる危険がある。」
という理由で一部の業者をのぞき、禁止していました。
しかしこの法律が一部緩和され、ドイツからの古着ならドイツ国内でクリーニングされた証明書をつければ、ベラルーシに輸入することができるようになりました。
さらに輸入後、ベラルーシ国内でもクリーニングしなければならず、この2回のクリーニングが証明されれば、救援物資として子どもたちに配布することができます。
このように条件付きですが、古着の救援物資がベラルーシへ運べるようになったのは、よいニュースですね。
(家族B)
この家族はグロドノ市から来た家族。お母さんが2人の子どもと、甥と姪を連れてきていました。この家族には3個のビタペクト2を渡しました。
それぞれの体内放射能値はこのとおりです。
母親 10ベクレル
17歳男子 22ベクレル
15歳女子 12ベクレル
13歳甥 14ベクレル
11歳姪 19ベクレル
このうち17歳男子、13歳甥、11歳姪にビタペクト2を1個ずつ渡しました。
しかし17歳の男子は医者と相談してから飲むように指示しました。
と言うのも、病気をいくつも抱えているからです。
まず甲状腺肥大しており、腎臓病、それからC型肝炎にかかったことがあり、また体に必要なホルモンが作られない、さらには薬物アレルギーも抱えています。
お母さんの話によると、甲状腺の肥大を抑えるための薬を飲むと、腎臓病が悪化するため飲むことができないそうです。
またインフルエンザなどにかかった場合も解熱剤を飲むことができないため、42℃の高熱がでてしまうそうです。
さらに血圧の変動が激しいため、頭痛に悩まされています。
この男子は障害者の認定を受けており、学校には通わず、家で勉強しています。
(ベラルーシにはこのような病気の子どものため、教師が家庭を訪問して授業をする制度があります。)
SOS子ども村滞在中にも専門病院へ行く予定だと言うことでした。
ビタペクト2はりんごからできているので、薬ではないのですが、これを飲んで万一アレルギーがでたりすると大変なので、医者に相談してから飲むかどうか決めてください、と話しました。
(たぶん大丈夫だとは思いますが・・・。)
15歳の女子は生まれつき心臓病です。心臓に欠陥があり、手術しなければなりませんが、ベラルーシではその手術をする技術が今のところないため、放置されている状態です。
確かにこの女の子はとても顔色が悪かったです。
もう大学生になっているため、保養には連れてこなかった2人の姉も貧血気味だということでした。
(家族C)
この家族もグロドノから来ていました。3人の子どもをお母さんが連れてきていました。この家族には4人全員に1個ずつビタペクト2を渡しました。
それぞれの体内放射能値はこのとおりです。
母親 17ベクレル
14歳女子 23ベクレル
7歳女子 36ベクレル
6歳男子 16ベクレル
お母さんは婦人病のため3回手術をしました。あともう1回手術しないといけないそうです。
14歳の長女は低血圧で、さらに直腸の病気を抱えています。
7歳の次女は腎臓病と肝臓病にかかったことがあります。
6歳の長男は目の病気で、最近4回の手術を3日おきにしたそうです。今は1ヵ月ごとに検診を受け、異常がないかどうか調べています。
体が冷えると目が充血し、まばたきを頻繁にする病気だそうです。
7歳の女の子だけ、放射能値が高かったので、お母さんは心配していましたが、36ベクレルだったら、おそらくビタペクト2を1回飲めば、0ベクレルかそれに近くなるまで下がるでしょう、と話しました。
それにしても病気を持っている子ども達と家族はどれほど大変でしょうか。残念ながら発病した後でビタペクト2をいくら飲んでも、病気そのものは治らないでしょう。本当に残念ですが・・・。
画像は記念撮影したときのようすです。蓋が緑色の容器も写っていますが、これはビタペクト2の新しい容器で、内容は従来のものと同一です。
今回も子ども達に折り紙や、折り紙の作り方のコピー、自分で作る竹とんぼ、ピーピー笛をプレゼントしました。
ピーピー笛はベラルーシにもあるのに、子ども達の間で取り合いの喧嘩が起こりそうになりました。(^^;)
最後になりましたが、ビタペクト2の購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙用の紙、竹とんぼなど子どもたちへのプレゼントを寄付してくださった方々、またSOS子ども村への交通費を寄付してくださった多くの日本人の皆様に、この場を借りて深くお礼申し上げます。
多くの方々に支えられて、この活動が続いています。ベラルーシの子どもたちもお母さんたちもSOS子ども村の職員の方々も皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございました。