※写真および文章はベラルーシの部屋ブログの記事を一部加工し、転載しました。
7月29日にビタペクト2と「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村での第77回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。
今回はビタペクト2を11個、そして「放射能と栄養」のコピーを10部渡しました。
これで今までに配布したビタペクト2は合計1495個、「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーは1150部となりました。
今回で通算87目のビタペクト2の配布となりました。
のべ人数になりますが、現時点で1495人分のビタペクト2、そして1150家族分の「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。
ビタペクト2の成分や、これまでの配布運動について詳しくはこちらからご覧ください。
「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳しくはこちらをご覧ください。
SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。
(ビタペクト2を開発、製造、販売しているベルラド研究所のサイトはこちらです。)
今回、3家族が保養のため滞在しており、お話を伺いました。
(家族A)
ブレスト市から来たお母さんと3人の 子どもたち。この家族には3個のビタペクト2を渡しました。
この家族の放射能値測定結果はこのとおりです。○印の子どもにビタペクト2を渡しました。
母親 20ベクレル ○
長男6歳 24ベクレル ○
次男5歳 23ベクレル ○
長女2歳 22ベクレル
2歳の長女にもビタペクト2をあげたかったのですが、基本的にはビタペクト2は3歳以下の子どもには与えないことになっていますので、今回は渡さないことにしました。
その代わりお母さんの分を二人で飲むことにして、様子を見ることにしました。
子どもたちは元気でしたが、お母さんは病気がちということでした。病気がちなうえ、子どもが小さく、就職を希望していますが、仕事が見つからない、と話していました。小さい子どもがいるとなかなか仕事が見つからない、というのは日本とよく似ています。ただ、出産前に就職していれば、産休がもらえるので、退職しなければ、元の職場に復帰できます。
ベラルーシで小さい子どもがいることがハンディになって、仕事が見つからない、というのは、妊娠・出産時に退職してしまった、あるいは、学生結婚などをして就職する前、あるいは無職の状態のときに出産したケースがほとんどです。ベラルーシでは少数派です。
お母さんの話によると、ブレストでは多子家庭で経済的に困窮している家庭を支援するさまざまな福祉制度があります。
ところが、そういった生活保護を受けるためにはたくさんの条件をクリアしなくてはいけないそうです。
たとえば、ポンコツでも車を持っていたら、経済的に困窮していないと見なされ、生活保護が受けられない、というのは理解できるのですが、ブレストから近いウクライナに何回か行ったことがあると、「外国に親戚がいる」と判断され、その親戚に助けてもらいなさい、と役所の福祉係に言われるそうです。
ベラルーシよりウクライナのほうが衣料品など物価が安いので、少しでも支出を減らそうと、子供服をウクライナへ買いに行ったら、役所でパスポートを調べられ
「ウクライナへ行ったことがあるので、多子家庭支援の福祉制度は利用できない。」
と言われたそうです。
ちょっと理解しがたいですね。
ベラルーシでは多子家庭(子どもが3人以上)には国から住居がもらえるのですが、ブレストでは順番待ちが長く、あきらめた、と言っていました。
でも最近はベラルーシでもローンを組んで家を購入することができるようになったので、もうすぐ広い家に引っ越すと、お母さんはうれしそうに話していました。
(家族B)
ブレスト州ムハベツから来たお母さんと4人の子どもたち、そして友人の子ども3人を引率してきていました。
この家族の放射能値測定結果はこのとおりです。○印の子どもにビタペクト2を渡しました。
母親 19ベクレル ○
長男13歳 14ベクレル
次男10歳 30ベクレル ○
長女 4歳 18ベクレル ○
三男 2歳 23ベクレル
2歳の三男にもビタペクト2をあげたかったのですが、年齢が3歳以下ということで、お母さんのビタペクト2を分けて飲んでみることになりました。
引率してきた3人の子どもは姉妹でブレストに住んでいるそうです。
長女14歳 20ベクレル ○
次女12歳 14ベクレル
三女10歳 33ベクレル ○
この3姉妹はSOS子ども村へ来るのは2回目です。長女と次女は2006年に、3女は2001年に来たことがあります。
2001年はまだビタペクト2を渡す活動を始めていませんでしたので、今回初めて、体内放射能の測定をし、ビタペクト2を飲むことになりました。
長女と次女が2006年に保養に来たときの様子は「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第47回」をご覧ください。
このとき長女の体内放射能値は27ベクレル、次女は18ベクレルでした。このときにビタペクト2を渡しています。
2年が経過し、それぞれ体内放射能値は減りましたが、大きな減少はありませんでした。
この一家には合計5個のビタペクト2をお母さんに渡しました。
子どもたちの健康状態には特に問題はないそうです。
その理由を肉は食べない菜食主義者だから、と話していました。SOS子ども村の職員さんは
「肉も野菜もバランスよく食べるほうがいい。」
と話していましたが、お母さんは肉を食べなくなってから、子どもは元気になった、学校の成績もいい、と話していました。
この一家も住むところが問題で、40年のローンを組んでマンションを購入したそうです。
40年ローンってすごいですよね。ベラルーシでは定年が男性60歳、女性が55歳で、このお母さんは現在38歳です。ご主人は何歳なのか知りませんが、仮に40歳とすると、ローンを支払い終わるのが80歳ですよ。実際はどうなるのでしょう?
(家族C)
ブレストから30キロ離れたところにあるジャビンカから来た家族。お母さんと3人の子どもです。
この家族の放射能値測定結果はこのとおりです。○印の子どもにビタペクト2を渡しました。
母親 18ベクレル
長男11歳 16ベクレル ○
長女 8歳 17ベクレル ○
次女 7歳 15ベクレル ○
3人の子ども全員に1個ずつビタペクト2を渡しました。
この一家も菜食主義者だそうです。お母さんは昔肉を食べていたのですが、宗教上の理由から、15年前から肉を食べるのをやめ、子どもたちは生まれてから1回も肉を食べたことがないそうです。
ただ、牛乳は飲んでいる、ということでした。学校の給食はどうしているんですか? と尋ねると、出されたもののうち、肉はよけて食べないようにしているそうです。(何だかもったいないような・・・)
子どもたちに健康上の問題はない、ということでしたが、何となくみんな顔色が悪かったです。
肉ばかり食べるのはどうかと思いますが、やっぱり少しは肉(動物性たんぱく質)も採ったほうがいいのでは、と思いました。SOS子ども村では保養滞在中に食育の講義もされているのですが、このお母さんは
「肉を食べるのは罪です。」
と言って肉食は強く拒否していました。
今回も子ども達に折り紙などをプレゼントしました。竹で作った小さい絵馬(キーホルダーにもできるし、携帯ストラップにもできる)を日本人の竹細工職人の方に寄贈してもらっていたので、それを1人1人にあげたら、大喜びしていました。
(保養滞在している家の前で記念撮影をしました。ちなみにうちの子が混じっています。それから鳥の形の凧が写っていますが、これはチロ基金からあげたものではありません。)
最後になりましたが、ビタペクト2の購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙など子どもたちへのプレゼントを寄贈してくださった方、手作りの竹細工を寄贈してくださった方、また日本ユーラシア協会大阪府連主催のバザーなどでSOS子ども村への交通費を捻出してくださった多くの日本人の皆様に、この場を借りて深くお礼申し上げます。
多くの方々に支えられて、この活動が続いています。ベラルーシの子どもたちもお母さんたちもSOS子ども村の職員の方々も皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございました。