※写真および文章はベラルーシの部屋ブログの記事を一部加工し、転載しました。
11月27日にビタペクト2と「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村での第83回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。
今回はビタペクト2を5個、そして「放射能と栄養」のコピーを10部渡しました。
これで今までに配布したビタペクト2は合計1550個、「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーは1220部となりました。
今回で通算93目のビタペクト2の配布となりました。
のべ人数になりますが、現時点で1550人分のビタペクト2、そして1220家族分の「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。
ビタペクト2の成分や、これまでの配布運動について詳しくはこちらからご覧ください。
「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳しくはこちらをご覧ください。
SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。
(ビタペクト2を開発、製造、販売しているベルラド研究所のサイトはこちらです。)
今回は1家族がゴメリ市から保養のためSOS子ども村に滞在しており、お話を伺いました。
この家族は2002年にもSOS子ども村に保養滞在したことがありますが、そのときはビタペクト2配布活動がまだ始まっていなかったため、当時の体内放射能値は測定していません。
この家族には子どもが7人いますが上の子ども2人(長男と次男)は20歳と19歳のため、保養には来ませんでした。それ以外の5人の子どもと、子どもの友だちである女の子を1人引率してきていました。
それぞれの体内放射能値の結果はこのとおりです。○印の子どもにビタペクト2を一つずつ渡しました。(合計5個になりました。)
母親 18ベクレル
長女17歳 26ベクレル ○
次女14歳 28ベクレル ○
三女11歳 28ベクレル ○
三男 8歳 19ベクレル ○
四女 2歳 25ベクレル
女子11歳 22ベクレル ○
お母さんは2歳の四女にもビタペクト2を飲ませたい、と話していましたが、対象年齢が3歳以上であるため、見合わせました。
14歳の次女はダウン症です。
11歳の三女は腎臓が悪く、絶対に風邪をひかないように、と言われているそうです。(でも難しいですよねえ・・・。)
17歳の長女は最近視力が急速に落ちたそうです。
他の子どもは健康、ということでした。
引率してきた11歳の女の子は三女の友達、ということでしたが、自分の両親がいるのに、なぜかこの大家族と一緒に暮らしているそうで、何か理由がありそうでした。
お母さんは45歳になりますが、末っ子は2歳で、すでに20年間も、「出産育児休暇中」で、働いていません。お父さんは建築作業重機の運転をしています。
子どもがたくさんいて、収入源はお父さん一人なので生活が大変なのでは? と思っていたら大間違いでした。お母さんのお話によると・・・
「確かに以前は多子家庭だから、と言って特別扱いを受けることはあまりありませんでした。役所や多子家庭協会でも、大きな援助が受けられたわけではありません。
しかし、数年前にゴメリの市長が福祉政策をたくさん実行し、すっかり状況が変わりました。末っ子を妊娠したときに病院へ行っても、上の子を妊娠したときとは大違い。医者や看護婦がとても丁寧に診てくれるようになりました。」
(私なんか「医者先生様の御回診」に辟易していました。参照↓)
http://belapakoi.s1.xrea.com/stay/child/birth/frame.xhtm
「さらには『子どもがたくさんいるけれど狭いアパートの1室で暮らしているので、もっと広い家を市から支給してください。』と申請したら、以前は何の反応もなかったのに、今回は3ヵ月後には電話がかかってきて『2DKと3DKのマンション2室が支給されます。』という返事でした。みんな大喜びで去年引越ししました。以前住んでいた狭いアパートの部屋は市に返しました。
そして今はもう一室マンションの部屋が支給される予定です。建設中で、完成したら入居できますが、年上の子どもたちが住む予定です。40年ローンが組まれているのですが、返済するのは私たちではなく、国営銀行なのです。」
子どもが7人いると、マンションの部屋が3室もらえる、というわけですね。これだけでも日本では考えられない話ですが、さらには・・・
「ダウン症の次女本人は障害児手当を月に(日本円に直して)9000円もらっています。
母親の私は障害児の母ということで、医療費手当を8000円もらっています。
18歳以下の子どもは多子家庭の子どもということで、それぞれ生活助成金を3000円もらっています。
父親も障害児を含む多子家庭の父親、ということで、勤めている建築会社から、育児手当をもらっています。」
現在のベラルーシ人の平均月収が約3万円です。
すばらしい福祉政策ですね。何だか夢のようです。ベラルーシにもこんなところがあったのか・・・とびっくりしました。
「でももちろん、福祉助成金を受け取るまでに審査があります。親がアル中だったり麻薬中毒だったりして、子どもの育児を放棄しているような家庭は子どもがたくさんいても、家などもらえません。
子どもたちでも不良行為など問題を起こしたことのある子どもだと、こういった福祉政策の対象から外されます。」
なるほど・・・
「このような政策のおかげで、ゴメリ市では今、出生率が急激に高くなり、ベビーブームが起こっています。ベラルーシで一番出生率が高い町になったのです。」
すごい! 日本では出生率が低くなって、問題になっているのとは大違いですね。
日本政府もゴメリ市政を見習ってほしいです。
またゴメリ市ではないのですが、ゴメリ州の町、ジロービンで2年前に4つ子が生まれたそうです。
その夫婦は第2子の誕生を待っていたのですが、超音波検査で「4つ子です。」と、5人の子持ちになることを告げられました。
帝王切開もせずに出産し、ジロービン市から双子用ベビーカー2台とマイクロバスが贈られたそうです。
すごいですよねえ。
(一方で最近ブレスト州で4本の腕と4本の足を持った赤ちゃんが生まれたそうです。手術して、腕は2本にできるが、足のほうはできない、と医者が言ったそうです。)
ゴメリと言うと、「チェルノブイリ原発事故で有名になった町」というイメージだったのが、一変しました。
もちろん放射能による影響は続いているのですが、一市長の市政策のおかげで、活気のある町に変化しつつあるように思えました。
その一方で、前回の活動の報告にも書きましたが、同じベラルーシでもバブルイスク市のように、福祉政策が全く機能していないかのような町もあります。
地方によってこんなに差があってもいいのでしょうか。あまりにも不公平だと思います。
今回も子ども達に折り紙や日本人の竹細工職人の方に寄贈してもらった竹で作られた知恵の輪、写真を子どもたちにプレゼントしました。
写真には雪の金閣寺が写っていて、
「なんてきれいなの!」
とみんな大喜びしていました。裏に子どもたち1人1人の名前を日本語で書きました。
竹の知恵の輪はかなり早い時間で外していました・・・。
意外と知恵の輪がベラルーシ人の子どもに人気ですね。(しかもけっこう早く外してしまいます・・・。)
最後になりましたが、ビタペクト2の購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙など子どもたちへのプレゼントを寄贈してくださった方、手作りの竹細工を寄贈してくださった方、また日本ユーラシア協会大阪府連主催のバザーなどでSOS子ども村への交通費を捻出してくださった多くの日本人の皆様に、この場を借りて深くお礼申し上げます。
多くの方々に支えられて、この活動が続いています。ベラルーシの子どもたちもお母さんたちもSOS子ども村の職員の方々も皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございました。