※写真および文章はベラルーシの部屋ブログの記事を一部加工し、転載しました。
6月17日にビタペクト2と「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村での第75回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。
今回はビタペクト2を5個、そして「放射能と栄養」のコピーを10部渡しました。
これで今までに配布したビタペクト2は合計1475個、「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーは1130部となりました。
今回で通算85目のビタペクト2の配布となりました。のべ人数になりますが、現時点で1475人分のビタペクト2、そして1130家族分の「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。
ビタペクト2の成分や、これまでの配布運動について詳しくはこちらからご覧ください。
「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳しくはこちらをご覧ください。
SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。
(ビタペクト2を開発、製造、販売しているベルラド研究所のサイトはこちらです。)
今回、2家族がビテプスク州ノボポーロツクから保養のため滞在しており、お話を伺いました。
また、今回SOS子ども村へ行く直前に、ビタペクト2の購入のため、ベルラド研究所に行ってきました。そのときの話もあわせてご報告します。
(家族A)
お母さんと3人の子ども。この家族には2個のビタペクト2を渡しました。
お母さんの体内放射能値は23ベクレル。3歳の末娘は42ベクレルでした。他の二人の子ども、9歳の長男、7歳の長女は0ベクレルでした。
上の子ども二人は視神経の麻痺のため、視力が非常に悪い、眼鏡で矯正することも不可能と言われたそうです。こんな目の病気があるとは知りませんでした。治療のししようもない、と医者に言われ、そのままほったらかしにされています。
これは遺伝病で、この子たちのひいおじいさんが突然この病気にかかり、その後、おじいさん、父親、と次々とこの視神経麻痺の症状が起こっているそうです。
(家族B)
こちらもお母さんと3人の子ども。この家族にも2個のビタペクト2を渡しました。8歳の次男が40ベクレル、2歳の三男が39ベクレルでした。母親と10歳の長男は0ベクレルでした。
母親は以前、脳卒中で倒れ、その後病気がちになってしまいました。また胆嚢の内部に仕切りのようなものができて、うまく機能していないそうです。長男は痙攣やひきつけを起こすため、投薬を受けています。
2歳の三男は年齢的に見て、ビタペクト2を飲んでもいいのかどうか迷いましたが、お母さんの希望により、飲むことにしました。もし何かあれば(下痢などの症状)ビタペクト2の摂取は中止することは話しておきました。
それにしても一緒に暮らしている家族なのに、0ベクレルの人と高い値が出る人といるのはどうしてなのでしょうか?
それをいつも疑問に思っていたのですが、ベルラド研究所のネステレンコ所長に質問したところ、やはり食べ物による放射能物質の摂取に偏りがあるため、ということでした。
でも、家族なんだから同じ物を食べているはずでは? と反論すると、
「学校の給食は? 幼稚園の給食は? 牛乳などが出されています。その牛乳に放射能物質が含まれていることが多いのです。」
と言われました。
「でも、牛乳は規制がありますよね?」
「法律では1リットルあたりの牛乳に100ベクレルの放射能性物質が検出された場合は、販売を規制されます。しかし、検査の結果が99ベクレルだったら? 規制の対象にはならず、店頭に並べられ、学校や幼稚園の給食にも使われます。」
というお話でした・・・。これで疑問が解けました。
ベラルーシの場合、兼業主婦が多く、保育園や幼稚園の数も充実しているので、多子家庭の母親は経済的な理由もあり、子どもが小さいうち(1、2歳)から保育園に預けて、職場復帰することが多いのですが、そこで3食(朝食、昼食、おやつ)が出されるので、意外とベラルーシの幼児は家庭で食事をしていないのです。
だからこのような体内放射能値の差が出てしまうのではないでしょうか。
さて、この2家族のほかに2人の兄弟が保養に来ていました。11歳の兄は42ベクレル、10歳の弟は0ベクレルでした。兄のほうにビタペクト2を1個渡しました。この兄弟にこのような差が出たのは、給食のせいではありません。2007年6月にこの二人はSOS子ども村に滞在しており、そのとき、兄は30ベクレル、弟は32ベクレルでした。この兄弟の2007年の滞在の様子は、 第61回の報告(家族B)をご覧ください。
二人にビタペクト2を渡したのですが、今回話を直接本人にきいたところ、兄さんは
「去年は1回しかビタペクト2を飲んでない。」(←な、何?!)
1回飲んだ後、飲まないでいたら、保養期間が終わったので、家へ持って帰った、その後すぐ田舎のおばあちゃんの家に行った、帰ってきたらビタペクト2はなくなっていた・・・ということでした。
弟のほうは「ビタペクト2を飲みました。」
だから、兄さんのほうは放射能値が減ることなく、かえって上がってしまい、弟のほうは0ベクレルになったんです! と兄さんのほうに説教しました。
「ちゃんと飲まないと、放射能が骨や心臓、すい臓にたまってしまい、身長は伸びない、糖尿病になる可能性があり、インスリン注射を1日5回しなければならない、しかも一生・・・ということになる(かもしれない。)」
と、ついさっきベルラド研究所で聞いた話をそのまま、兄さんのほうにしたら、青ざめてしまいました。今回はちゃんと飲む、と言っていたので、これで、きっと最後まで飲んでくれるでしょう。
しかも兄さんのほうは、胆嚢の形がねじれているそうで、最近視力も低下したと言っていました。弟は健康ということでした。
今回も子ども達に折り紙や竹とんぼ、竹の知恵の輪などをプレゼントしました。前にもSOS子ども村へ来たことのある兄弟は
「前にもらった竹とんぼ、うまく飛ばせたよ!」
と笑顔でした。
さて、今回SOS子ども村へ行く前にベルラド研究所へビタペクト2を購入しに行ったのですが、所長のネステレンコさんに
「体内放射能値、測っていきなさい。」
と言われ、久しぶりに測定しました。その結果、前回と同じく私は0ベクレル。
「知らないほうが幸せなんだ。」
としぶっていたS夫も
「いや、知ってすっきりするほうがいいよ。」
と説得されて測定しました。その結果は13ベクレル。前は0ベクレルだったのに・・・
「だから知らないほうが幸せなんだ。」とS夫は言っていましたが、逆ですよ、知って早く対処しないと。
ネステレンコ所長によると、最近ミンスクに住んでいる人の体内放射能値は増えているそうです。
以前は平均が8ベクレルだったのに、今は12ベクレル。
「ご主人は平均よりやや高めですなあ。ビタペクト2を飲むように。」
と言われました。
「どうして事故が発生してから20年以上経つのに、放射能汚染地域でもないミンスクの住民の放射能値は上がっているのですか?」
「それは食べ物が汚染されており、それがベラルーシ全土に流通しているからです。」
「家では主人も私も同じ物を食べているんですけどねえ・・・」
「ここ半年の間にご主人だけ汚染されたものを摂取してしまったんですね。とにかく、ビタペクト2を飲んで、1ヵ月後に再測定しに来てください。ついでに娘さんも測定しましょう。」
・・・というわけで、S夫には実験台(^^;)になってもらうことになりました。ビタペクト2の効果が出ることを期待します。再測定結果はまた公開しますので、お楽しみに。
さらに放射能値のほか、体内のカリウム値も測定してもらえます。必要なカリウムの量は年齢や性別によってちがいますが、S夫の場合は153グラムの必要値に対して、130グラム。私は62グラムに対して44グラムでした。
つまり、必要な分だけのカリウムが摂れていない、ということです。
「子どもの場合は成長するためにカリウムが必要です。お二人はもう成人ですが、カリウムが不足すると、心臓の働きが悪くなる。毎日の食事にカリウムを含む食品を摂るように。」
とネステレンコ所長に言われました。カリウムを多く食品と言えば、バナナぐらいしか思いつかなったのですが
「レーズンや干しあんずを毎日食べるように。私なんか毎朝レーズンをわしづかみにして食べていますよ。」
とネステレンコ所長からアドバイスを受けました。さらに
「あなた、毎朝コーヒーを飲んでいるでしょう?」
ときかれてびっくり。どうしてそんなことが分かるの?
「コーヒーの代わりにココアを飲みなさい。これにもカリウムがたくさん含まれています。」
「はい・・・。」
というわけで、翌日からS夫はビタペクト2を飲み始め、私はレーズンとココアの生活に入ったのでした。
「あなたがたの食生活は『低カリウム食事』だから、娘さんも低カリウムである可能性が高い。今度、娘さんも測定に連れておいで。」
とも言われました。
私たち一家の再測定結果は、また公表します。
ネステレンコ所長によると
「いいですか、この体内放射能値はあくまで体の中にある放射能値を体重で割った数です。ご主人の場合、体重1キロあたり、13ベクレル、ということですが、体中にまんべんなく、13ベクレルが散らばっているわけではありません。放射能は内臓や骨に偏って蓄積されています。」
それはそうですよね。たとえば髪の毛なんかに放射能がたまっているなんて、医学の素人の私でも「それはないだろう。」と思いますから。
「放射能は心臓は3倍、腎臓に5倍、すい臓に50倍蓄積されやすくなっているのです。すい臓に放射能が大量に集中すると、機能に障害が発生する恐れがあり、そのためインスリンが分泌されなくなると、糖尿病になってしまいます。最近ベラルーシで糖尿病患者が増えているのは、すい臓が放射能を溜めやすいからではないか、と考えられます。」
というネステレンコ所長の話を聞き、暗くなるS夫。なるほど!とうなずく私でした。
とにかくビタペクト2を病気になる前に飲まないと無意味ですね。
最後になりましたが、ビタペクト2の購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙など子どもたちへのプレゼントを寄贈してくださった方、手作りの竹細工を寄贈してくださった方、また日本ユーラシア協会大阪府連主催のバザーなどでSOS子ども村への交通費を捻出してくださった多くの日本人の皆様に、この場を借りて深くお礼申し上げます。
多くの方々に支えられて、この活動が続いています。ベラルーシの子どもたちもお母さんたちもSOS子ども村の職員の方々も皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございました。