※写真および文章はベラルーシの部屋ブログの記事を一部加工し、転載しました。
9月29日にビタペクト2と「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村での第80回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。
今回はビタペクト2を10個、そして「放射能と栄養」のコピーを10部渡しました。
これで今までに配布したビタペクト2は合計1528個、「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーは1180部となりました。
今回で通算90目のビタペクト2の配布となりました。
のべ人数になりますが、現時点で1528人分のビタペクト2、そして1180家族分の「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。
ビタペクト2の成分や、これまでの配布運動について詳しくはこちらからご覧ください。
「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳しくはこちらをご覧ください。
SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。
(ビタペクト2を開発、製造、販売しているベルラド研究所のサイトはこちらです。)
今回、2家族が保養のためSOS子ども村に滞在しており、お話を伺いました。
(家族A)
ミンスクから来た家族・・・と言っても普通の家族ではありませんでした。詳しくは後でご紹介します。
この家族には4個のビタペクト2を渡しました。
それぞれの体内放射能値は次のとおりです。○印の子どもにビタペクト2を渡しました。
母親 22ベクレル
長男15歳 12ベクレル
長女 3歳 47ベクレル
女子16歳 23ベクレル ○
男子 9歳 30ベクレル ○
男子 9歳 17ベクレル ○
女子 8歳 16ベクレル ○
女子 3歳 24ベクレル
女子 3歳 22ベクレル
この家族は家庭タイプ孤児院の一家です。このような家族がたくさんの子どもを引き取って育てる代わりに、国が福祉手当を支給する制度がベラルーシでは奨励されています。
そして、今度は「子どもの町」という制度が始まりました。これはこのような家族がばらばらに住むのではなく、一箇所にまとまるよう住居を支給する、という制度です。この家族はミンスク市レーニンスキー区に作られた子どもの町の住民です。
SOS子ども村とよく似たシステムですが、こちらは国営です。
現在このような家族が10家族まとまって暮らしています。家族によって子どもの数はそれぞれ違います。
この家族のお母さんは10年前から家庭タイプ孤児院を始め、今まで12人の里子を育ててきました。もう社会人になったり、大学生になったりしている子どももいます。
今は2人の実子と6人の里子を育てています。しかも病気の子どもを中心に引き取っているそうです。お母さんは子育てが大変なので、子どもの町の里親として国から給料をもらっており、また子どもたちは6歳以下の場合は月に約8000円、6歳以上の場合は約8500円の福祉手当てを受け取っています。
お母さんは生まれつき心臓に異常があり、二人の子どもも遺伝しているのか長男も心臓に異常、長女は心臓の血管に腫瘍があり、大きくなったら手術する予定だそうです。さらに長女は血液循環がうまくいかずに、気を失って倒れたりすることもあるそうです。
自分も子どもも病気を抱えているのに、引き取った里子たちもそれぞれ病気や障害があります。
9歳の男の子(30ベクレル)はひきつけをよく起こし、視力に問題はないものの斜視です。もう1人の9歳の男の子は膝の関節に異常があり、正常な歩行ができません。
8歳の女の子は落ち着きがなく、情緒不安定で、去年小学校に入学しましたが読み書きや数字を覚えられず、この9月から再び1年生に編入されました。
3歳の女の子(24ベクレル)はとても痩せており、なかなか体重が増えません。
もう1人の3歳の女の子は心臓が弱いそうです。
16歳の女の子だけが健康だそうです。
お母さんは自分も体が健康ではないのに、里子たちのために病院へ検査に連れて行ったり、薬を買ったりと毎日が大変そうでした。
普通の孤児院から健康上に問題のある子どもばかりを引き取っているのですが、多くの子どもは引き取られてすぐは、大量にご飯を食べるそうです。
1歳や2歳で引き取って、食事を作るとびっくりするぐらいの量のスープを1日3回たいらげるので、びっくりした、食事作りがとにかく大変だった、とお母さんは話していました。
どうしてこうなるのかというと、引き取られる前、生みの親と暮らしていたころ、ちゃんとした食事を与えられず、常にお腹がすいている状態が続いていたので、食べるものが目の前にあれば、
「またお腹がすくときのために今のうちに食べて蓄えておかないと・・・」
という体質になってしまって、冬眠前の動物のように食べてしまうのだそうです。
SOS子ども村の孤児たちも、引き取られて何年も経つのに、いまだに枕の下に食べ物を隠す子がいるそうです。
3歳の女の子3人は、本当に仲がよく、いっしょに粘土遊びなどして、とても楽しそうでした。この子たちにもビタペクト2をあげたかったのですが、年齢のことや投薬治療中だったりで、渡しませんでした。
大勢の病気の子どもを育てるお母さんにはひたすら頭が下がります。
「ときどき、神経が持たない・・・と思うこともあります。」
とお母さんは話していましたが、それにしても、すごいなあ!とSOS子ども村の職員さんでも感心していました。
普段は子どもの世話、通院で日が過ぎてしまうので、SOS子ども村でゆっくりできてよかった、ビタペクト2のことも全く知らなかったとお母さんは話していました。
(家族B)
ゴメリ州ジトコビッチ市から来た家族。
お母さんが4人の実子、そして3人の甥と姪を引率してきていました。
この家族には6個のビタペクト2を渡しました。それぞれの体内放射能測定結果はこのとおりです。○印の子どもにビタペクト2を渡しています。
母親 14ベクレル
長女14歳 16ベクレル ○
長男12歳 16ベクレル ○
次女 6歳 23ベクレル ○
次男 1歳 43ベクレル
姪 14歳 15ベクレル ○
姪 15歳 15ベクレル ○
甥 12歳 20ベクレル ○
15歳の姪と12歳の甥は姉弟です。
1歳8ヶ月の次男は放射能値が高かったのですが、年齢が3歳以下のため、ビタペクト2は渡しませんでした。
お母さんの話によると子どもたちは健康上に特に問題はないそうです。
珍しくSOS子ども村へ保養に来て、「早く家に帰りたい。」とお母さんは笑顔がありませんでした。
話を聞けば、このお母さんは第5子を妊娠中で、ぎっくり腰になったお父さんを1人留守番に置いて来てしまったとか、もうすぐ寒くなるので家の冬支度をしたかったのに、こっちに来てしまったのでできない・・・とか愚痴を言っていました。
自分の家族だけで保養に来ているならいいのですが、もう1人の家族と一緒に暮らさないといけないのも、
「小さい子どもの声が騒がしくて落ち着けない。」
と話していました。気持ちは分かりますが、妊娠中だとどうしてもナーバスになってしまう人もいるから、お母さんが妊娠中は保養に来ないように時期をずらすとかすればいいのに・・・と思いました。
妊娠していなくて、多子家庭でSOS子ども村へ行きたいという家族はたくさんいると思います。そのあたり、上手に対応できないのかなあ・・・と思いました。
今回も子ども達に折り紙や絵葉書、日本人の竹細工職人の方に寄贈してもらった竹で作られた知恵の輪を子どもたちにプレゼントしました。
絵葉書に日本語で自分の名前を書いてもらって大喜び。
お母さんたちは
「きれいな手で触りなさい! 絵葉書を汚したらだめ! 家に持って帰るんだから・・・。」
と子どもたちに言っていました。
残っていたのは小さい子どもと、風邪をひいてしまった子どもだけ・・・
そう、ベラルーシはこの9月、ほとんど毎日雨が降り、すごく寒くなってすでにインフルエンザが流行し始めているのです。風邪をひく人も続出。
SOS子ども村のリリヤ先生は
「ここへは保養に来たんだから、風邪を治して帰るように! もうすぐサーカスに行きますよ。」
と話していました。
最後になりましたが、ビタペクト2の購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙など子どもたちへのプレゼントを寄贈してくださった方、絵葉書や手作りの竹細工を寄贈してくださった方、また日本ユーラシア協会大阪府連主催のバザーなどでSOS子ども村への交通費を捻出してくださった多くの日本人の皆様に、この場を借りて深くお礼申し上げます。
多くの方々に支えられて、この活動が続いています。ベラルーシの子どもたちもお母さんたちもSOS子ども村の職員の方々も皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございました。