2009年「ビタペクト2」&『放射能と栄養』無料支給・配布運動

SOS子ども村

第94回

※写真および文章はベラルーシの部屋ブログの記事を一部加工し、転載しました。

 8月14日にビタペクト2と「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村への第94回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。
 今回はビタペクト2を11個、そして「放射能と栄養」のコピーを10部渡しました。
 これで今までに配布したビタペクト2は合計1626個、「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーは1330部となりました。
  
 今回で通算104回目のビタペクト2の配布となりました。
 のべ人数になりますが、現時点で1626人分のビタペクト2、そして1330家族分の「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。
    

ビタペクト2の成分や、これまでの配布運動について詳しくはこちらからご覧ください。
「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳しくはこちらをご覧ください。
SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。
(ビタペクト2を開発、製造、販売しているベルラド研究所のサイトはこちらです。)

 今回はモズィリ市からSOS子ども村に来て保養滞在していました。
 13人の子どものうち、2人がモズィリ市糖尿病児童協会の会員、引率した二人のお母さんが新会長さんと新副会長さんでした。
 モズィリ市の糖尿病児童にチロ基金は2005年から支援活動を行っています。
 今までの活動について詳しくは「ゴメリ州モズィリ市糖尿病児童協会への支援活動」をご覧ください。

「ゴメリ州モズィリ市糖尿病児童協会への支援活動」第3回について。(HP「ベラルーシの部屋」過去ログ2006年6月。)

「ゴメリ州モズィリ市糖尿病児童協会への支援活動」第4回について。(HP「ベラルーシの部屋」過去ログ2006年11月。)

「ゴメリ州モズィリ市糖尿病児童協会への支援活動」第5回について。

「ゴメリ州モズィリ市糖尿病児童協会への支援活動」第6回について。

 

 今回引率してきたお母さん二人は、モズィリ市糖尿病児童協会の新しい会長さんと副会長さんで、詳しくお話をうかがうことができました。
初代の会長さんは就職して忙しくなったため、現在の会長さんに役目を引き継ぎました。
新会長さんの子どもは糖尿病患者ではありません。この会長さんは水泳のインストラクターをしていますが、この会の子どもたちが運動不足にならないように、無料で市内のプールを使えるようになったとき、インストラクターになりました。
その流れで新会長となり、今でも子どもたちに水泳を教えています。
新しい副会長さんは子どもが1人、糖尿病患者でこの会の会員です。

新会長さんとその家族は2007年にSOS子ども村に保養滞在しています。
2007年の滞在の様子は第64回の報告をご覧下さい。

 また引率された子ども2人は初代会長さんの子どもで、2006年にも滞在しています。
2006年の滞在の様子は第41回の報告をご覧下さい。

 ゴメリ州モズィリ市糖尿病児童協会の子どもたちは2005年にもSOS子ども村に滞在していますが、このときにビタペクトを渡した子どもたちは今回は滞在していません。初代会長さんの子どもも滞在していますが、このときは体内放射能が少なかったため、ビタペクト2を飲んでいません。
2005年の滞在の様子は第34回の報告をご覧下さい。

 それぞれの体内放射能測定結果はこのとおりです。前回の測定結果の次に矢印で今回の測定結果を表示しています。○印の子どもにビタペクト2を渡しました。

新会長  15ベクレル(2007年測定時)→ 8ベクレル ○
16歳長男 20ベクレル(2007年測定時) ○ → 28ベクレル ○
5歳次男 32ベクレル(2007年測定時) ○ → 31ベクレル ○
1歳三男 27ベクレル
11歳男児 21ベクレル(2007年測定時) ○ → 33ベクレル ○

16歳・女児(糖尿病患者)27ベクレル(2007年測定時)○ →26ベクレル ○ 
16歳・男児(旧会長の息子)0ベクレル(2005年測定時)→18ベクレル(2006年測定時)○ → 23ベクレル(2007年測定時) ○ → 14ベクレル 
9歳女児(旧会長の次女)19ベクレル(2006年測定時)○ → 29ベクレル ○  

副会長 19ベクレル ○
長男・12歳 25ベクレル ○
次男・10歳(糖尿病患者)27ベクレル ○
三男・8歳 22ベクレル ○
四男・2歳 27ベクレル

14歳・男児 17ベクレル
14歳・女児 23ベクレル ○

 去年の2008年はモズィリ市糖尿病児童協会はSOS子ども村に保養滞在していないため、放射能の測定は行っていません。ビタペクト2も飲んでいません。
この測定結果を一見したところ、前回の摂取から2年以上経過すると、ビタペクト2の効果もなくなって、再び放射能が体内に蓄積しているようです。残念です。

 会長さんは8ベクレルと今回低い放射能値の結果でしたが、1歳の子どもに試しに飲ませたい、と言うことでお母さんに渡しています。
ビタペクト2は3歳以上が対象なので、3歳未満の子どもにあげることはベルラド研究所、SOS子ども村(そしてチロ基金)も勧めていません。あくまで自己責任の範囲内です。
もし子どもが下痢などを起こしたら(ビタペクト2に含まれているペクチンは整腸作用があるので、小さい子どもが飲むと下痢を起こすことがあります。)あげるのはやめて、他の兄弟に分けてあげることになりました。

 同じ理由で副会長さんにもビタペクト2を渡しています。副会長さんの末っ子は今2歳8ヶ月です。
3歳まであと少しなので飲ませたい、というお母さんの希望で、3歳の誕生日以降に飲ませることを条件に渡しました。

 それぞれの子どもたちの健康状態についても尋ねました。

 16歳の長男には甲状腺の肥大が見られ、やせています。(でも空手を習っているそうです。)
11歳の男の子は生まれつき口蓋が欠如していましたが、手術をして術後の状態は良好だそうです。
また腸の一部がふくらみ、袋状になったものがくっついていたため、手術して切除したそうです。虫垂も2回目の手術で切除したそうです。少し消化の悪いものを食べると、切除してつなげた部分が痛くなるので、柔らかいものしか食べられないと話していました。

5歳と1歳の息子もアレルギー体質で、呼吸が苦しくなったりするのですが、理由(アレルゲン)が何かも分からない、ということでした。

 14歳の男の子は視力が低く、また眼圧がかかることは全て禁止で、運動をしてはいけないそうです。

旧会長の息子さんは心臓の手術を3回して、ようやく健康を取り戻しつつあるそうです。水泳も始めて、負担にならない量の練習をしているそうです。

副会長さんの12歳の長男は喘息を持っており、2歳の末っ子は生まれつき、腎臓が一つしかないそうです。
8歳の三男はSOS子ども村に向けて出発しようとした前日、突然心臓の具合が悪くなり、とりあえず薬をもらってSOS子ども村に来ました。滞在中にミンスクで詳しい検査を受けることをお母さんは希望していました。

お母さんたちは地方都市ではなかなか薬が手に入らない、ミンスクで買いたい、とSOS子ども村のリリヤ先生にいろいろ尋ねていました。
モズィリ市糖尿病児童協会の現在の状況を尋ねると、インスリン用注射針は国から無料で支給されるようになった。1ヶ月に1人30本もらえるようになったので、助かっているということでした。
しかし、1日に5回注射しないといけないので、おそらく1本の針を消毒して数回使用しているのでしょう。

 血糖値を計る簡易検査試験紙も1ヶ月に1人30枚もらっているそうです。しかし注射針とちがってこちらは消毒してもう一度使う、ということができないので、
「足りていない。注射針は何とかなるけれど、試験紙のほうをチロ基金から少しでも支援してもらえたら助かります。」
という会長さんのお話でした。
残念なのですが、今年はチロ基金にモズィリ市糖尿病児童協会支援活動のための寄付金が集まらず、今年はこの活動を見送ることになりました。
「不況だから仕方ないですね・・・。」
と会長さんは話していましたが、何とかならないものか・・・と思いました。 

今回もいつものように子ども達に折り紙、風車セット(工作して組み立てると風車が完成する。)ポチ袋、子供向けのお話が載っている雑誌(これはベラルーシの出版)などをプレゼントしました。

photo

 画像は記念撮影の様子です。後ろに写っているのは保養滞在している「家」です。それにしても初代会長さんの子ども2人はすごーく大きくなっていて、見てすぐに分からないほどでした。(^^;)糖尿病患者のお姉ちゃんは今、進学のため入学試験の真っ最中で今回は保養にきませんでしたが、一生懸命勉強しているそうです。
このようにチロ基金が支援してきた子どもたちの成長を見るのが一番うれしいです。
(写っている子どものうち1名は私の子どもで保養滞在している児童ではありません。夏休み中はSOS子ども村で忍者ダンスをしています。)

 最後になりましたが、ビタペクト2の購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙や風車など子どもたちへのプレゼントを寄贈してくださった方、また日本ユーラシア協会大阪府連主催のバザーなどでSOS子ども村への交通費を捻出してくださった多くの日本人の皆様に、この場を借りて深くお礼申し上げます。

 今回子どもたちに渡した5個のビタペクト2を購入するために、CD「月と日」の売上金11枚分を充てました。ベラルーシ語で歌う日本の歌が収録されたCD「月と日」を1枚購入すると、その売上金の一部がビタペクト2を1個の購入する費用としてチロ基金に還元されます。
CD1枚の売り上げが、ビタペクト1個分、つまりべラルーシのチェルノブイリ原発事故の被災児1人に無料で渡すというこの活動につながっています。CD「月と日」について詳しくはこちらです。(HP「ベラルーシの部屋」内)また、京都にあるヨーロッパ輸入雑貨店「Vesna!」店頭やそのネットショッピングで購入できます。
 どうか皆様のご協力をお願いいたします。

 多くの方々に支えられて、この活動が続いています。
ベラルーシの子どもたちもお母さんたちもSOS子ども村の職員の方々も皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございました。



辰巳雅子
Date:2009/08/14

 →NEXT