2005年「ビタペクト2」&『放射能と栄養』無料支給・配布運動

2005年活動記録
*SOS子ども村*
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ビタペクト2について
成分
外観と摂取方法
 

 


SOS子ども村

第34回


 7月20日にビタペクト2と「放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村での第34回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。

 今回はビタペクト2を2個、「放射能と栄養」のコピーを10部渡しました。
 これで今までに配布したビタペクト2は合計853個、「放射能と栄養」のコピーは700部となりました。

 今回で通算40回目のビタペクト2の配布となりました。
 のべ人数、そして単純計算ですが、現時点で853人分のビタペクト2、そして700家族分の「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。

ビタペクト2の成分や、これまでの配布運動について詳しくはこちらからご覧ください。
「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳しくはこちらをご覧ください。
SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。



 今回保養に来ていたのは、ゴメリ州モズィリ市にある糖尿病児童協会の子どもたち9人でした。この協会の職員さん2名が付き添いで来ていたのですが、いろいろお話を聞くことが出来ました。
 チェルノブイリ原発事故後、糖尿病患者が増えてきている、という話は聞いたことがあります。放射能との因果関係ははっきりしていないのですが、子どもの糖尿病患者も増えてきているため、ビタペクト2を開発したベルラド研究所のネステレンコ所長からは、
「ビタペクト2には糖尿病患者でも飲めるように、砂糖ではなく、サッカリンを使って甘味を加えている。甘味を加えたのは口当たりをよくするため。」
という説明を聞いたことがあります。
(ビタペクト2の成分表はこちらです。)
http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/bitapekt/seibun.html

 今回は体内放射能値が25ベクレルだった16歳と28ベクレルだった9歳の男の子の2人に1個ずつビタペクト2を渡しました。そのときも職員の方は
「ビタペクト2に砂糖は入っていませんか?」
と念を押していました。
 
 糖尿病の子どもたちは食事制限があるため、普通の子どもたちと同じように、療養所などへ行くことができません。しかし、このSOS子ども村では食事は自分たちで食材を購入し、(食費はSOS子ども村が負担。)自分たちで調理するシステムになっているため、食事制限のある子どもでも保養滞在が可能です。
 
 職員さんのお話によると、モズィリ市では糖尿病の児童の数が増えてきており、現在28人の子どもが糖尿病児童協会に所属しており、大体半年に1人の割合で新しい会員が入会しているそうです。
 関連性があるのかどうかはっきりしませんが、チェルノブイリ原発事故後、糖尿病患者の低年齢化が進み、子どもの患者が増えたため、この会が発足しました。
 入会者に対して糖尿病についての知識を学ぶためのセミナーを開いたり、児童向けのイベントを催したりしているそうです。
 糖尿病には1型と2型がありますが、この協会の会員の子どもたちは全員1型でインスリン依存型のタイプだそうです。
(1型糖尿病について詳しくは、こちらのサイトをご参考までに。とても分かりやすいです。)
 http://www5.ocn.ne.jp/~i-net/dm1setumei.htm

 子どもたちは1日に5回インスリンの注射をしなければならず、また血糖値も計らないといけません。今は自分で簡単に血糖値を測ることができる測定器がありますが、ベラルーシ製ではなくドイツ製やオランダ製などでベラルーシ人患者が個人で購入するのは100$と高価です。
 また簡易検査試験紙というものを測定器に差し込んで、そこに1滴の血を垂らして、血糖値を測るのですが、もちろんこれも1枚1回きりの使い捨てで、患者の経済的な負担は大変なものです。
 インスリン注射も使い捨ての針を使うのが望ましいのですが、ベラルーシの一般患者は経済的な余裕がなく、20回打てるという特殊な注射針を使って、子どもたちは保養滞在中、回し打ちをしていました。

 ベラルーシの糖尿病児童は障害者認定を受けており、毎月約30$の障害者手当が支給されています。しかし、後で計算したのですが、1日5回の注射で針を毎回取り替えると1日約1$かかり、もらった障害者手当てが針代だけでなくなってしまいます。
 また簡易検査試験紙は1枚60セントします。1日1回血糖値を測るとすると1ヶ月で約18$もかかってしまいます。
 
 モズィリ市糖尿病児童協会の職員さんは国からの援助がギリギリしかなく、子どもたちの健康状態は綱渡りのようであることを話しました。
 チロ基金としても、何とか少しは手助けをしてあげたいと思い、簡易検査試験紙と注射針を購入し、この協会に寄贈することにしました。詳しくは改めてご報告いたします。

 子どもたちは普段、運動なども制限されており、他の子どもたちと普通に遊んだりすることもできないのですが、今回SOS子ども村に保養滞在することができたのが、うれしかったらしく、どちらかというと明るい顔をしていました。
 でも、安物の注射針(太い針)を使っているせいか、注射した腕のあちこちが腫れているかわいそうな女の子もいましたし、また糖尿病が引き起こす合併症(心臓病や失明など)に将来かかってしまう不安も大きいことから、心理面のほうも心配になりました。
 
 さて画像は記念撮影した様子ですが、1人関係ない子ども(我が子)(^^;)が写っています。画像では分りにくいですが、浴衣を着せて行き、超簡単な着物の紹介をしました。そしていつものように折り紙用の紙や、折り紙の作り方のコピー、紙風船、絵葉書などをプレゼントしました。
 子どもたちは日本語に関心があるらしく、もらった絵葉書の裏に日本語で自分や家族の名前を書いてほしい、と頼まれました。何か日本語で書いてほしいと頼まれると、わざと縦書きで書くのですが、子どもたちには受けますね。

 最後になりましたが、ビタペクト2の購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙用の紙など子どもたちへのプレゼントを寄付してくださった方、またバザーなどで交通費など諸経費を捻出してくださった皆様に、この場を借りて深くお礼申し上げます。
 多くの方々に支えられて、この活動が続いています。私はもちろん、ベラルーシの子どもたち、お母さんたち、SOS子ども村の職員の方々も大変皆様に感謝しております。本当にありがとうございました。

辰巳雅子
Date:2005/07/26

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