2009年「ビタペクト2」&『放射能と栄養』無料支給・配布運動

SOS子ども村

第91回

※写真および文章はベラルーシの部屋ブログの記事を一部加工し、転載しました。

 6月11日にビタペクト2と「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村への第91回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。
 今回はビタペクト2を4個、そして「放射能と栄養」のコピーを10部渡しました。
 これで今までに配布したビタペクト2は合計1600個、「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーは1300部となりました。
  
 今回で通算101回目のビタペクト2の配布となりました。
 のべ人数になりますが、現時点で1600人分のビタペクト2、そして1300家族分の「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。

ビタペクト2の成分や、これまでの配布運動について詳しくはこちらからご覧ください。
「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳しくはこちらをご覧ください。
SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。
(ビタペクト2を開発、製造、販売しているベルラド研究所のサイトはこちらです。)


 今回も2家族がSOS子ども村に来て保養滞在していました。そのうちの1家族にだけビタペクト2を配布しましたが、それぞれのご家族にお話を伺いました。

(家族A)
 
 ボブルイク市から来た家族。この家族に4個のビタペクト2を渡しました。子どもは全部で5人いますが、2人は成人しており、3人の子どもと孫1人、姪1人が保養に来ていました。
 それぞれの体内放射能測定結果はこのとおりです。○印の子どもにビタペクト2を渡しました。

母親 11ベクレル
男子(13歳)31ベクレル ○
女子(9歳) 29ベクレル ○
男子(7歳) 28ベクレル ○
孫 (3歳) 38ベクレル
姪 (9歳) 26ベクレル ○

 3歳の男の子の孫に年齢制限からビタペクト2をあげられなかったのが残念です。とても小食だそうで、ほとんど何も食べない、とおばあちゃんが心配していました。
(それにしても、孫が3歳で、自分の子どもの末っ子が7歳と、ほとんど差がありません。すごい。どんな感じなんでしょう? 私には想像がつかないですねえ。)

 他の子どもたちの健康状態ですが、9歳の女の子はアデノイド、子ども全員がよく病気をするため、学校や幼稚園では「体が弱い児童のリスト」に入れられているそうです。
 7歳の男の子は虫刺されアレルギーがあります。お母さんもこのアレルギーを持っているのですが、昔はなかったのにある日突然アレルギー体質になってしまったそうです。
 どのような症状かと言うと、虫(蚊など)に刺されると、すぐに高熱が出て、気分が悪くなり、ひどく腫れるので病院に行かないといけないそうです。
 どうしたらいいのでしょう? SOS子ども村のリリヤ先生は
「虫刺され予防のクリームを塗るなどして、刺されないようにするしかない。」
と言っていました。夏場は大変です。完璧に予防なんてなかなかできないのでは? と思いました。


(家族B)

 こちらもボブルイスクから来た家族。お母さんが4人の子どもと1人の姪を連れてきていました。
 この家族にはビタペクト2を渡しませんでしたが体内放射能値の結果はこのとおりです。

母親 20ベクレル
長女(14歳)15ベクレル
次女 (8歳)24ベクレル
長男 (6歳)25ベクレル
次男 (3歳)21ベクレル
姪 (12歳)17ベクレル

 非常に残念なことに、今回は24ベクレルや25ベクレルの子どもにビタペクト2を渡すことができませんでした。
 普段は20ベクレル以上ならビタペクト2を渡しているのですが、チロ基金が前もって購入していたビタペクト2が4個だけになっていたのです。
 そのため体内放射能値が多い順に4名の子どもにしか今回渡すことができませんでした。
 なぜこのようなことになったかと言うと、ベルラド研究所側の事情でしばらくの間、ビタペクト2の製造が休止していたため、チロ基金は購入ができなかったのです。
 幸い近日中にベルラド研究所はビタペクト2の製造を再開するそうですので、次回の配布活動には追加の購入が間に合いそうです。(ただし価格が上がるそうです。)
 今回は残念ですが、このように体内放射能値が高い(20ベクレル以上)子ども全員にビタペクト2を渡すことができませんでした。

 この家族の健康状態ですが、お母さんは腎臓病をわずらっており、絶対に風邪をひいてはいけないと医者に言われています。
 3歳の次男は扁桃腺炎になりましたが、回復しています。
 子どもたちは持病はなく元気にしていますが、8歳の次女は乾燥肌で、体中にクリームを塗っています。
 リリヤ先生からは「ビタミンAを摂りなさい。」とアドバイスを受けていました。

 画像は記念撮影のようすですが、うちのY子も映っています。
 またこの記事内で紹介していない子どもも映っています。実はもう1家族が滞在しています。
 この家族は遅れて来たため、体内放射能値を測定していませんので、ビタペクト2も渡していません。
 この家族のお母さんは2回結婚し、子どもが2人います。そして3番目の内縁の夫のアパートで暮らしていました。しかし籍は入れていない状態だったところへ、喧嘩をしてアパートを追い出されたそうです。
 お母さんと2人の子どもは3日間野宿をしてたそうなのですが、お母さんは自分の職場で窮状を訴えたところ、地元の福祉センターで相談するように言われたそうです。
 その結果、住宅を支給する代わりに分割でもいいから買い取るように言われました。それでお母さんは収入を増やすために2つの職場を掛け持ちすることになりました。
 しかし最初の月給が出るまで住むところがないため、福祉センターからSOS子ども村のことを紹介され、しばらく仮住まいのために滞在することになったそうです。
 そのため保養滞在ではなく、住み始めた時期も中途半端なため、体内放射能値は測定していません。お母さんも仕事のため不在で直接話はしていません。
 このような事情により、健康状態などもきいていないのですが、画像には映っているし折り紙などのプレゼントはしました。 
 
 今回もいつものように子ども達に折り紙や日本人の竹細工職人の方に寄贈してもらった竹で作られた知恵の輪、ガリガリプロペラをプレゼントしました。。
 子供向けのお話が載っている雑誌(これはベラルーシで出版されたもの。ミンスク市立第5児童図書館提供。)も2冊ずつプレゼントしました。
 ガリガリプロペラにみんな大喜び。大受けでした。知恵の輪もみんな真剣に挑戦。20分ぐらいで解いてしまいます。賢ーい!


 最後になりましたが、ビタペクト2の購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙や竹細工など子どもたちへのプレゼントを寄贈してくださった方、手作りの竹細工を寄贈してくださった方、また日本ユーラシア協会大阪府連主催のバザーなどでSOS子ども村への交通費を捻出してくださった多くの日本人の皆様に、この場を借りて深くお礼申し上げます。
 多くの方々に支えられて、この活動が続いています。ベラルーシの子どもたちもお母さんたちもSOS子ども村の職員の方々も皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございました。

 さて、100回以上に続いて行っているこのチロ基金の活動。
 ビタペクト2を購入する資金として2005年からベラルーシ語で歌う日本の歌が収録されたCD「月と日」を1枚購入すると、その売上金の一部がビタペクト2を1個の購入する費用としてチロ基金に還元されています。
 CD1枚の売り上げが、ビタペクト1個分、つまりべラルーシのチェルノブイリ原発事故の被災児1人に無料で渡すというこの活動につながっています。
 CD「月と日」について詳しくはこちらです。(HP「ベラルーシの部屋」内)
 京都にあるヨーロッパ輸入雑貨店「Vesna!」店頭やそのネットショッピングで購入できます。
 どうか皆様のご協力をお願いいたします。

辰巳雅子
Date:2009/06/12

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