2009年「ビタペクト2」&『放射能と栄養』無料支給・配布運動

SOS子ども村

第90回

※写真および文章はベラルーシの部屋ブログの記事を一部加工し、転載しました。

 5月21日にビタペクト2と「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村への第90回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。
 今回はビタペクト2を6個、そして「放射能と栄養」のコピーを10部渡しました。
 これで今までに配布したビタペクト2は合計1596個、「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーは1290部となりました。
  
 今回で通算100回目のビタペクト2の配布となりました。
 のべ人数になりますが、現時点で1596人分のビタペクト2、そして1290家族分の「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。

ビタペクト2の成分や、これまでの配布運動について詳しくはこちらからご覧ください。
「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳しくはこちらをご覧ください。
SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。
(ビタペクト2を開発、製造、販売しているベルラド研究所のサイトはこちらです。)


  今回も2家族がSOS子ども村に来て保養滞在していました。そのうちの1家族にだけビタペクト2を配布しましたが、それぞれのご家族にお話を伺いました。

(家族A)

 ピンスクから来た家族。この家族に6個のビタペクト2を渡しました。子どもは全部で8人いますが、そのうち6人だけが保養に来ており、子ども全員に1つずつビタペクト2を渡しました。
それぞれの体内放射能測定結果はこのとおりです。

母親 0ベクレル
女子(17歳)22ベクレル
男子(12歳)27ベクレル
女子(9歳) 21ベクレル
男子(8歳) 32ベクレル 
女子(6歳) 26ベクレル
女子(5歳) 22ベクレル

 子どもたちの健康状態ですが、17歳の女の子は背骨が歪んでおり、最近視力が低下してきたそうです。9歳の女の子は生まれつき腎臓が一つしかありません。また肩のあたりの骨と関節が歪んでいて腕を上げることができません。手術しなければいけませんが、まだ小さいので健康な神経を傷つけたら危険なので、時期はしばらく後にしたほうがいいと医者から言われたそうです。

 病気のため家でお父さんと留守番をしている2人の子ども(2歳と6歳)ですが、6歳の男の子(6歳の女児とは双子。)は生まれつき脊髄が変形していて、今でも自力で歩くことができません。1年前に手術しましたが、まだ歩行ができず、家の中を這っているそうです。お母さんはこの男の子のことを話すときはとても悲しそうでした。

 つまり子どもが8人いる多子家庭で身体障害児がいるわけですが、地元ピンスクでは、だからと言って何か福祉助成金などがもらえるわけではないそうです。地方格差がベラルーシに存在しており、その差がかなり大きい、ということです。残念です。お母さんは「ピンスクは放射能汚染が続いている。1年に1回でいいから子どもにビタペクト2を飲ませたい。」と話していました。


(家族B)

 ボブルイスクから来た家族。この家族には年齢制限などの理由のため、ビタペクト2を渡しませんでした。しかし体内放射能値は測定しましたので、その結果をお知らせします。

母親 20ベクレル
長女(13歳)19ベクレル
長男(5歳)20ベクレル
次男(4歳)38ベクレル

 私はビタペクト2は3歳以上が対象なので、この子どもたちにも飲ませたい、と思ったのですが、SOS子ども村のリリヤ先生は、健康状態がよくなくとても痩せていて3歳の子どもの体格なので、飲ませないほうが無難だと話しました。

 この子どもたちのお母さんは、多子家庭に支給される住宅を受け取る手続きのため、1人帰郷しており、話をうかがうことができませんでした。
リリヤ先生の話では、長女は生まれつき耳が聞こえず、話も上手にできないので、コミュニケーションがうまく取れない、ということでした。この女の子が話している言葉(私の耳には「うー」とか「あー」にしか聞こえない・・・。)が分かるのはお母さんだけなのだそうです。もう1人のお母さんと話をしているとき、急にこの女の子が泣き出したのですが、理由が分からなくて困りました。しばらくして「私の家族だけビタペクト2がもらえなかったので」泣いた、ということが分かりました。

 お母さんが不在なので、子どもたちの健康状態もきくことができませんでした。ただ男の子2人は、顔色も悪く、痩せていて落ち着きもなかったです。

 このお母さんですが、長女は1回目の結婚のとき生まれた子どもで。男の子は2回目の結婚のときの子どもなのだそうです。そして2番目の夫とも離婚。今は3人目の夫となる人と恋愛の真っ最中で、SOS子ども村へせっかく保養に来たのに、毎日4時間も携帯でその人と話をしており、子どものことはほったらかし・・・なのだそうです。

リリヤ先生は
「かわいそうだけど、この子どもたちにビタペクト2をあげたとしても、母親がこんな状態では、ちゃんと毎日飲ませないだろう。」
とため息をついていました。
親によって運がいいとか、悪いとかの境目を見てしまった気持ちがしました。
もしお母さんがこの場にいて、もっとしっかりした人だったら
「体が小さくてももう3歳以上なんだから、ビタペクト2をください!」
と言っていたと思います・・・。

今回もいつものように子ども達に折り紙や日本人の竹細工職人の方に寄贈してもらった竹で作られた知恵の輪、年少の子どもたちにはぬりえ(ドラゴンボールとポケモン)などをあげました。
(「あれもほしい、これもほしい!」という子どもが今回多くて、喧嘩が起きないか心配でした。)
子供向けのお話が載っている雑誌(これはベラルーシの出版)もプレゼントしました。


 最後になりましたが、ビタペクト2の購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙やぬりえなど子どもたちへのプレゼントを寄贈してくださった方、手作りの竹細工を寄贈してくださった方、SOS子ども村への交通費を捻出してくださった日本人の皆様に、この場を借りて深くお礼申し上げます。
 多くの方々に支えられて、この活動が続いています。(ついに100回目の配布です。)
 ベラルーシの子どもたちもお母さんたちもSOS子ども村の職員の方々も皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございました。

辰巳雅子
Date:2009/05/23

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