【竹トンボで遊んでいるところ】
11月5日にビタペクト2と「放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村での第9回目の配布を実施しましたのでご報告いたします。
今回渡した個数は合計9個です。「放射能と栄養」のコピーは合計29部を渡しておきました。
実際には10月30日に行ってきたものの、2家族のうち1家族が会う約束の時間にまでSOS子ども村に帰ってこず、またそのときにいたもう一つの家族と話をして、もう1回追加でビタペクト2と「放射能と栄養」のコピーを持ってきたほうがいいと判断し、11月5日にもう一度行きました。
まず先に会うことができて、話をうかがうことができた家族についてご報告します。
ミンスクから来た3人の子供のお母さん。今4人目を妊娠中です。ミンスク多子家庭協会に所属しており、今回保養のためSOS子ども村に滞在しました。
子どもたちの体内放射能度は、長男(8歳)24ベクレル、長女(4歳)21ベクレル、次男(1歳2ヶ月)40ベクレル。妊娠9ヶ月の母親は12ベクレルでした。
上の子たちにはビタペクト2を持ってきていたのですが、ビタペクト2は3歳以下の子どもには飲ませてはいけない、ということなので、次男の分は持って来ていませんでした。またお母さんの分は12ベクレルは許容範囲内だから、ということでビタペクト2はいらない、という判断でした。
しかし、お母さんが言うには「妊娠していなかったら、それでいいけど、妊娠しているのでやっぱりビタペクト2を飲んでおきたい。子どもに放射能の影響が出たらいやだ。」 ということで、11月5日に追加のビタペクト2を持っていくことにしました。
3人の子供たちは元気だということでしたが、将来何かあるかもしれない、とお母さんは不安に思っているようでした。
そしてこのお母さんの妹さんの話を聞きました。
お母さんは4人姉妹なのですが、チェルノブイリ原発事故直前に生まれた、現在18歳の末の妹さんだけが、子どものときからいろいろな病気を繰り返し、一人だけ極端に体が弱いそうです。また子どものときから髪の毛がひどく薄くてほとんど伸びず、また歯がぼろぼろで黄色く、「おばあさんのような歯」だそうです。 家族中がその末の妹さんのことを心配している、とういうことでした。しかし、この保養には来ていないので、体内の放射能も測定しておらず、病気と放射能の因果関係がよく分かりません。 でも妹さんもミンスクで暮らしているので、近いうちにベルラド研究所に行って、放射能測定をしたほうがいいですよ、と言っておきました。(後日談はこのレポートの最後に書きます。)でもとりあえずこの妹さんの分のビタペクト2を11月5日に持っていくことにしました。
またこのお母さんは「放射能と栄養」のコピーを読んで
「とっても役に立つ情報です。親戚や職場の人に読ませたい。」
と言ってくれ、さらに追加でコピーを持って来ることにしました。
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さて、11月5日再びSOS子ども村に行きました。
今回は前回会えなかった家族ともお会いすることができました。
この家族はピンスク州ピンコビッチ村から来ていたのですが、このお母さんの話がすごかったです。このお母さんには7人子供がいるのですが、上の4人はすでに結婚したり社会人になったりして独立しています。今回下の3人の子供を連れてきたのですが、一人の子どもは事故にあって今でも障害が残っています。
さて、この一家が住む同じ村に、ある女の人が住んでいるのですが、その人には子どもが10人います。しかし、どの子どもも生まれるなり、「親権放棄」され、産院から孤児院へ・・・・しかもこの10人兄弟、お父さんがそれぞれちがうらしいです・・・。
最後に生まれた9番目と10番目の子どもは双子でした。この双子はどういうわけか孤児院などには引き取られず、母親と暮らしていました。
しかし、母親はアル中・・・ほとんど子どもの世話もせず、約1年半前、親子3人が発見(・・・といっても別に行方不明だったわけではありませんが)されたとき、家の中には小さい椅子が一つあるだけ。(他の家具は全部売り払われ、母親の酒代に消えてしまったようです。)双子は着の身着のままで栄養失調状態・・・。5歳なのに体重が9キロしかなかったそうです。(もうすぐ2歳になるうちの子でも体重11キロはあるのに・・・。)
結局前述の7人兄弟のお母さんが引き取って育てることになったそうです。
お母さんが言うには
「引き取ったころ、あの子たちは骨と皮ばかりで、見ていられないほどひどい様子でした。あのまま誰も気が付かなかったら、死んでたにちがいないわ。それに5歳だったというのに、ほとんどしゃべることができなかったの。」
これはお腹が空いてしゃべれなかった、ということではなく、言葉の遅れです。もちろん知能の遅れではなく、生まれてからほとんど誰ともろくにしゃべったことがなく、人が話をしているのを聞いたこともほとんどなかったからなのです。
さらにベルラド研究所へ放射能測定をしたときについでに体内の栄養素の検査もしてもらったところ、この子ども達だけカルシウムがほとんどなく、研究所の人たちもびっくりしてしまったそうです。
しかし引き取ったお母さんの努力のおかげで、平均的な6歳児に比べるとずっと小柄ですが、元気になって、だいぶ普通に話ができるようになったそうです。
育ての親より生みの親のほうがいいのかどうか、といったことはここで書きませんが、今この子達が普通に育っているのを見て、本当によかったと思いました。
さて、先にご紹介したミンスクの家族のことですが、3歳以下の子どもにビタペクト2を飲ませてはいけないことになっているのですが、生後10ヶ月の赤ちゃんが40ベクレルだということで心配したお母さんが、試しに飲ませたそうです。
しかし、別に下痢やアレルギーなど異常を起すこともなく
「上の子達よりも、おいしそうに飲んでいる。」
・・・そうで、
「ベルラド研究所できいたら、3歳以下の子どもにあげてもいいが、あげる量は微量にするよう言われた。」
とお母さんは主張。
「とにかく何か異常が起こっても、私やチロ基金、ベルラド研究所は一切責任持ちませんので、自己責任の範囲内で自分の子どもに飲ませてください。」
ということになり、結局、赤ちゃんの分も合わせて合計9個のビタペクト2と29部の「放射能と栄養」のコピーを渡してきました。
さて、後日談になるのですが、前述の病弱な妹さんは、お姉さんの説得を受け、ベルラド研究所に体内放射能の測定に行きました。その結果体重1キロあたり37ベクレルの結果が出ました。やっぱりこの人の分もビタペクト2を渡しておいてよかったです。
この人の病気と放射能との因果関係は「ある」と判断しましたので、今回の測定費用(約200円)は、チロ基金が負担することになりました。
またビタペクト2を飲んだ後、再測定に行きますが,その測定費用もチロ基金が負担し、結果はこのレポート上でご報告いたします。
最後になりましたが、ビタペクト2の購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった皆様、またバザーなどで基金の活動費を捻出してくださった皆様、竹とんぼを手作りで1本1本作ってくださった方に、この場を借りてお礼申し上げます。
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辰巳雅子
Date:2003/11/11(Tue)
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