10月2日にビタペクト2と「放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村での第8回目の配布を実施しましたのでご報告いたします。
今回渡した個数は保養に来ていた子ども5人の分でした。
また「放射能と栄養」のコピーも、お母さん達が、親戚や近所の人たちにも配りたい、という希望で合計10部を渡しておきました。
今回も二家族が保養のためSOS子ども村に滞在していました。
どちらの家族もゴメリ州ペトリコフ地区にある村から来ていました。
一家族(お母さんとその5人の子供)はカマロビチ村から、もう一つの家族(お母さんと7人いる子どものうち4人の子どもと近所に住む14歳の女の子)はゴルビツァ村から来ていました。
この二つの村は約40キロ離れています。チェルノブイリ原発からの距離には、ほとんど差はありません。しかし、今回保養に来た家族の体内の放射能値を測定してみるとカマロビチ村出身の子ども達のほうが放射能値が高く、どうしてなのかは誰にもよく分かりませんでした。
考えられる理由としては
・事故直後カマロビチ村のほうにより多くの風が吹いた。
・カマロビチ村の土壌はゴルビツァ村の土壌より放射能を含みやすい。
・今回来たカマロビチ村の家族のほうが、きのこなど放射能を含みやすい食品を好み、よく食べていた。
・カマロビチ村の家族の体質がたまたま放射能を取り込みやすい体質だった。
・・・などです。どちらにせよ、はっきりした理由は分かりません。
さて、二人のお母さん達にお話を伺いました。ご本人も子ども達も特別な病気にはかかっていないが、風邪を引きやすいそうです。
そして、異常に多いのが骨折と虫歯だそうです。
事故後生まれた子ども達の間で簡単に骨が折れる子どもが増えてきて、虫歯も昔と考えられないほど多いそうです。
骨の異常、ということで「背が低い」「成長が遅い」といった問題はありませんか? と質問したところ
「身長はちゃんと伸びている。ただ、骨細な子どもが多くなった。」
という答えでした。
私は医者でも学者でもありませんが、これは放射能性物質であるストロンチウムがカルシウムの代わりに骨の中に蓄積されてしまって、骨がもろくなっているせいだと思います。
牛乳は放射能汚染度が高く、(これも理由はカルシウムの代わりにストロンチウムが入っているからなのですが) 1リットルあたり30ベクレルの放射能を含む牛乳は子どもに飲ませないように、とビタペクト2を開発したベルラド研究所は注意喚起しています。
しかし、だからといって牛乳を全然飲まないでいると、成長期の子どもにとってはカルシウム不足はよくないことです。ベラルーシではカルシウムを多く含む食品の中で牛乳が最も手に入りやすいものなのです。それを放射能に汚染されているから、飲むなと言われると、完全にカルシウム不足になってしまいます。
つまり、放射能汚染された牛乳を飲めばストロンチウムがカルシウムの代わりに骨の中に蓄積されてしまい、牛乳を全く飲まなくても、ベラルーシ人の食生活からだとカルシウム不足になってしまいます。
これから言えることは、汚染された牛乳は飲んでも飲まなくても体に悪い、汚染されていない牛乳をどんどん飲みましょう、ということになります。
しかし牛乳は腐りやすく、非汚染地域から運搬するのも大変です。また滅菌パックされた牛乳も売られていますが、値段が高く、家で乳牛を飼っているような家族はわざわざそんな高い牛乳を買おうという気が起こりません。
それじゃあ一体どうすればいいのか? という疑問には意外に簡単な解決方法があります。
牛乳ではなく、乳製品を食べればいいのです。
ストロンチウムは水に溶けやすい性質を持っており、牛乳から乳製品を作る際、牛乳に含まれているストロンチウムの約70〜90%が水分といっしょに捨てられてしまいます。
逆にこの水分【スィヴォロトカ(乳精)】には濃縮放射能がどっさり含まれているので、絶対に子どもに飲ませたり、料理に使ったりしてはいけません・・・
骨がもろくなっているという子どもには、どんどん乳製品を与えるほうがいいですよ、とお母さんたちに話しました。
・・・と書くと私は放射能の専門家のようですが、実はこれは「放射能と栄養」の受け売りです。
こういった情報がこの本にはぎっしりつまっています。
ペトリコフ地区は汚染地域に指定されていません。しかし今回放射能測定した子どもたちは10ベクレルから30ベクレルの間で体内に放射能を溜めていました。
1人だけ他の子ども達と血のつながりがない14歳の女の子が来ていましたが、その子は鼻の病気を持っており、特別に保養へつれてきてもらったようでした。
その女の子は3年前に常に両方の鼻の穴がつまっていると言う状態になり、3回手術を受けたものの今も全く治っていないそうです。
この子の放射能値は20ベクレルでした。
ゴルビツァ村から来ていた子ども達お母さんは保養には来ていない21歳の長男の話をしてくれました。(ということはチェルノブイリ原発事故発生前の生まれですね。)
その子はとても元気で病気もほとんどしない子どもだったのですが、16歳の夏休み、放射能汚染地域のすぐそばで、コルホーズの農作業の手伝いをしました。
その後すぐに、足に斑点ができ、しばらくすると頭痛と足の関節の痛みが起こりました。
病院へ行くと「皮膚と関節に発症するタイプの出血性血管炎」と診断され、医者から完治は無理と言われました。
今21歳ですが、すっかり痩せてしまって、しょっちゅう頭痛と足の関節の痛みを訴えているそうです。病院からは薬(おそらく副腎皮質ステロイド)をもらっているそうですが、一生飲み続けないといけないそうです。
血管炎についてはこちらです。
http://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rm120/kouza/kekan.html1
ここでは血管炎にいろいろなタイプのものがあることが解説されていますが、「出血性血管炎」というのが、症状から判断してどれに相当するのか私にはよく分かりませんでした。(症状の出方はヘノッホ・シェーンライン紫斑病に似ていますが、無治療でも軽快する、と書いてあるので、当てはまりません。過敏性血管炎で、原因が薬剤によるものではないタイプ、でしょうか・・・。)
またほとんどのタイプの血管炎の原因は不明で、実際に病気を引き起こすものは免疫異常によるものだそうです。
どうしてもここに引っかかるのですが(放射能の影響によって免疫力は低下しますから。)汚染地域の近くで仕事をしたことと、発病の関連性に明確な裏づけは、私にはできません。
ただ、この人は成人しているということで、保養には来ていなかったのですが、後日改めてビタペクト2をあげようと思っています。
もちろんこんな具合に重く発病してしまった人に「これを飲めば治るかもしれません。」とも、言えませんが・・・。
またカマロビチ村から来たお母さんは自分のご主人の話をしてくれました。
ご主人は昔足にやけどをしており、跡が残っていたものの、もう痛くもかゆくもなくなっていた。ところが、ある日突然やけどの跡が腫れあがり、病院に行くと血液検査の結果がよくない、と言われました。しかし結局、湿疹と診断され、塗り薬を処方してもらったのですが、ほとんど効き目がないそうです。
特に春と秋に症状が出て、本人は仕事がその頃は仕事が忙しいからだ、と考えています。
驚いたのはベラルーシの民間療法で、犬やネコになめさせる、というのがあり、それも行ったのですが、改善しなかった、ということだそうです。
これは、犬やネコなどの動物の唾液は消毒作用が人間より強く(動物は薬はもっていないもので・・・。)擦り傷などをなめてもらうと、治りが早くなる、と言われています。犬やネコになめてもらうために患部にスメタナ(ベラ部屋の料理、乳製品のコンテンツ参照。)を塗ったりするときもあるそうです。
(う〜ん、その様子、あまり想像したくないです・・・。でも、もし自分に薬では全然よくならない湿疹ができたら、最後には思い余って「こうなったら犬になめてもらうしか・・・。」と思うようになるかもしれません・・・。)
さて画像は皆で記念撮影をしたところです。(関係ない子どもも1名(Y子)写っていますが・・・(^^;))
プレゼントの竹とんぼを手にしています。撮影後、みんなで外に出て、竹とんぼを飛ばして遊びました。(みんなえらく竹とんぼが気に入ってました。)
最後になりましたが、ビタペクト2の購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった皆様、またバザーなどで基金の活動費を捻出してくださった皆様、竹とんぼを手作りで1本1本作ってくださった方に、この場を借りてお礼申し上げます。 →NEXT