4月18日にビタペクト2と「放射能と栄養」のコピー無料配布運動としてSOS子ども村での第3回目の配布を実施しましたのでご報告いたします。
渡した個数は保養に来ていた子ども8人分と付き添いのお母さん2人の分、治療療養中の子ども6人の分、合計16個です。
保養に来た子どもたちには直接渡し、またお母さんからお話をうかがうことができました。
治療目的で療養滞在している子ども達には、SOS子ども村で働いている看護士さん経由でお渡ししました。この子ども達は病気を抱えていたり、免疫力が低下していることなどから、衛生面に注意しなければならず、外部者(私のこと)が不用意に近づくことは禁止されています。また薬を服用中であることなどから、看護士さんと担当医が話し合って、ビタペクト2を摂取してもいいかどうか、検討してから配布の要不要を決定しています。今回は6人分のビタペクト2をお渡ししました。
さて、直接お話が聞けた保養中の子ども達のことです。今回は小さい子どもが多く、11人が滞在していたのですが、うち3人は3歳以下だったのでビタペクト2は渡しませんでした。(ビタペクト2は3歳以下の子どもには与えてはいけないことになっています。)いつものように二家族が来ていたのですが、どちらも汚染地域であるゴメリ州ジトコビッチ地区から来ていました。
一つの家族は8人兄弟。そのうち6人をお母さんが連れて来ていました。しかもお母さんは身体障害者。生活は大変ではないですか? と尋ねたのですが、 「大丈夫、全然平気よ〜。」 という答えでした。たくましい・・・!
もう一人の家族も5人兄弟で全員連れてきていました。合計11人の子どもたちですが、検査の結果、一番小さい子ども(生後10ヶ月)以外、全員に甲状腺の異常(ただし軽度)が見つかりました。一番年上の女の子18歳の体内放射能度が、最も高く(体重1キロあたり28ベクレル)ビタペクト2を飲むことを勧められたそうです。今回チロ基金からはこの勧められなかった子ども達にも3歳以上である場合は、ビタペクト2を無料で配布しました。
特別重い病気を抱えている子どもはいませんでしたが、お母さん達からは 「甲状腺に効く薬があればほしい。」 という要望がチロ基金に出されました。しかし、看護士さんの話では 「甲状腺の薬は個人の症状に合わせて、どんなものをどれだけ使うか医師が決めるものです。一基金がビタペクト2のようにまとめて購入し、適当に配る、ということは不可能だし、適切な対処法ではありませんね。」 ということでした。確かにこれはチロ基金には難しい課題です。
子ども達はとりあえずみんな元気ですよ、とお母さん達は話していましたが、私が見て驚いたのは、特に小さい子どもたち(乳幼児)の髪の毛が、とても薄かったことです。ベラルーシ人の赤ちゃんは日本人の赤ちゃんに比べて、髪の毛の量が少ないものですが、2歳の子どもなのに、髪の毛の量がうちの子(1歳)の3分の1ほどしかなく、生まれたときからほとんど伸びていないように見えました。これが放射能と関係あるのかどうかは、私にははっきり分かりません。
次回の配布はSOS子ども村での施設の内装、修理点検のため、5月後半になる予定です。今後も少しずつですがビタペクト2と「放射能と栄養」のコピーの配布を継続していこうと思っています。最後になりましたが、ビタペクト2購入のため、また「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった皆様、またバザーなどで基金の活動費を捻出してくださった皆様にこの場を借りてお礼申し上げます。
2003/4 辰巳雅子
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