チロ基金創立10周年記念式典(6)「日本の日」

Date:2007/05/16(Wed)

その6「記念品贈呈」

 チロ基金創立10周年記念式典に出席してくださった方々から、花束などのプレゼントをいただきました。

 そしてチロ基金から第5児童図書館へもプレゼントがありました。一つのプレゼントはミンスク市内の児童図書館ではまだどこにも設置されていないDVDプレーヤーです。

 もう一つはベラルーシの作家、アレーシ・アダモビッチの最新作で、
"...Имя сей звезде Чернобыль"
という本です。(私が邦訳すると「チェルノブイリというこの星の名」)

 アレーシ・アダモビッチは日本でも有名になったベラルーシの作家でジャーナリストのスベトラーナ・アレクシエービッチが師と仰ぐ作家です。
(スベトラーナ・アレクシエービッチについてはこちらをご覧下さい。)
http://belapakoi.s1.xrea.com/aleksievich/menu.html

 残念なことにアダモビッチは13年前に亡くなりましたが、その遺稿を娘のナタリヤ・アダモビッチさんがまとめ、チェルノブイリ原発事故から20年目に当たる2006年にミンスクで出版されました。

 2007年の4月10日にプレゼンテーションが行われ、私も招かれて出席したのですが、ビタペクト2を開発・製造しているベルラド研究所のネステレンコ所長や、在ベラルーシ・ウクライナ大使などチェルノブイリ関係者が多く参加していました。
(アダモビッチについて、またプレゼンテーションについてのベラルーシ国内ニュースはこちらです。ただし全てロシア語です。)
http://www.news2.by/story.php?id=1985
http://www.tradehome.ru/news187467.html
http://www.charter97.org/rus/news/2007/03/16/adamovich
http://www.news.by/505/2007-04-11/30301/126/126/126/126/

 驚いたのはアダモビッチのチェルノブイリ問題に関する業績が、日本でたびたびマスコミで紹介されていたことです。 
 その日本の新聞記事などが原文のまま、この本には数多く収録されていますが、このようにベラルーシを代表する作家が日本と深いかかわりを持っていたとは思ってもいませんでした。
 放射能による被害という日本とベラルーシの共通項の中身はとても重く、悲しいものですが、遠い二つの国と人をつなげてもいます。
 アダモビッチもそのつながりの中の1人なのだと、この作品は教えてくれました。

 この作品が日本とベラルーシをつなげているものの一つとして、今回チロ基金から第5児童図書館に寄贈しました。
できるだけ多くの人に読んでもらいたいと思っています。
(プレゼンテーションのときにナタリヤ・アダモビッチさんから直筆のサインが入った本を1冊、いただきましたので、これは日本文化情報センターで貸し出しできるようにしました。)

 このほか、出席してくださった方々全員にもチロ基金から記念品を贈呈することにしました。「日本の日」が「子ども-読書-社会」プロジェクトの一つであったことにちなんで、日本文化情報センター所蔵の本「橋をかける ―子供時代の読書の思い出―」のロシア語版を60部コピーしてお贈りしたのです。

   「橋をかける ―子供時代の読書の思い出―」は“子供の本を通しての平和”をテーマに、98年インドのニューデリーで開かれた第26回IBBY(国際児童図書評議会)世界大会で、ビデオを通して語られた皇后美智子様の講演録です。
 すえもりブックスから英語版を収録した日本語版のほか、ポルトガル語版、チェコ語版、ロシア語版
、中国語版、ウクライナ語版、ハングル語版が出版されています。
 このうちロシア語版が日本文化情報センターに寄贈されていたのですが、私自身、この本を読んで大きな感銘を受け、ベラルーシ人、特に図書館関係者や子どもの教育に関わっている方々に広く読んでもらいたいと以前から思っていました。今回の式典をよい機会と思い、コピーですが贈呈できたこと、本当によかったと嬉しく思っております。

 皇后様自ら書かれた文章、しかもテーマが子どものときの読書ということで、ベラルーシ人は大変驚き、また喜んでいました。

 画像の右はロシア語版「橋をかける ―子供時代の読書の思い出―」で、左側はそのコピーです。
 現在ロシア語版は品切れ中ですが、日本語版に関心を持たれた方は、すえもりブックスのHPをぜひご覧下さい。
http://www.suemoribooks.co.jp/ja/booklist/bl_index.html
http://www.suemoribooks.co.jp/ja/booklist/book0012.html

 以上のようにチロ基金創立10周年の記念になるものが贈呈できたこと、DVDプレーヤーや書籍を寄贈してくださった方、書籍の購入費やコピーの費用を寄付してくださった方々のおかげです。この場をお借りして、深く感謝申し上げます。
 おかげさまで、出席者の皆さんには思い出に残る「日本の日」になったことと思います。
 着物や書道を見て喜んでくださったベラルーシ人の方々の気持ちを忘れず、また日本で応援してくださっている多くの日本人の方々に感謝しながら、少しずつですが、活動を進めていきたいと考えています。
 この10年間支えてくださった皆様、本当に深く感謝しております。また10年、20年、チロ基金を暖かく見守ってくださいますようお願い申し上げます。

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