チェルノブイリ被災児マリーナさんとウラジーミル君の治療支援活動

第2回 (3/4)    2003年7月

 足の病気がよくなったことが分かり、ほっと一安心。そしてもう一つ、せっかくミンスクに来たのだから、もう一つ安心して帰ってもらおう、ということになり、7月2日ビタペクト2を開発、製造しているベルラド研究所で、体内の放射能を測定してもらうことになりました。
 
 2月にSOS子ども村で保養のため滞在したとき、お母さんと3人の子供たちはそれぞれ体内の放射能値をこの研究所で測定してもらっています。
 その後、3月2日にチロ基金からビタペクト2をそれぞれもらいました。
 3月3日に保養を終えて帰宅後、ちゃんとみんなでビタペクト2を飲んだ、ということでした。また、チロ基金が配布した「放射能と栄養」のコピーもよく読んで、料理の調理方法も工夫している、という話でした。
 本当にビタペクト2に体内の放射能を排出する作用があるなら、放射能値は減っているはずです。
 研究所に予約を入れて、順番に測定しました。

【ベルラド研究所で体内放射能を測定中のマリーナさん。この椅子に座るだけで体重1キロあたり何ベクレルの放射能が体内にあるのか測定できます】

 続いてウラジーミル君が測定。
 (ちなみに写っている幼児は、私の子どもです。(^^;) いっしょに連れて行ったら、研究所内を走り回ってくれました。研究所から「この子も測定しますか?」ときかれたのですが、じっと座ってられない性分の子なので、今回はパスしました。)

 2月の測定時、最も放射能値が高くて心配していたオーリャちゃんです。
 オーリャちゃんはこの日ちょうど7歳の誕生日で、こんなきれいなドレスを着ています。こんなにおめかしして放射能を測定した子どももあまりいないでしょうね〜。

 この後、お母さんも再測定をし、前々から「測定してみたい。」と言ったS夫も初測定しました。

さて、測定の結果がプリントアウトされました。

  前回の値 今回の値
ウラジーミル君 20.46ベクレル 8.15ベクレル
マリーナさん 30.96ベクレル 0ベクレル
オーリャちゃん  35.04ベクレル 0ベクレル
お母さん 20.67ベクレル 0ベクレル

【全員の放射能値測定結果表】
 
 ウラジーミル君以外、全員放射能値ゼロ! ウラジーミル君も大幅に減っています! 小さいのに値が高くて心配していたオーリャちゃんもゼロです!
「もう放射能はなくなったんだ!」
「ビタペクト2はやっぱり効くんだ!」
「ウラジーミルももう一息。あともう1回ビタペクト2を飲めば、完全に放射能はなくなるよ!」
とみんなで大喜びしました。研究所のスタッフもうれしそうでした。ちなみにS夫も0ベクレルでした。
 ウラジーミル君にはチロ基金からビタペクト2を1パック支給しておきました。きっとこれで8ベクレルぐらい、すぐに体外に排出されてしまうでしょう。

 心臓が悪いと心配していたマリーナさんも、体内から放射能がなくなれば、きっと体力が回復し、心臓も強くなるはずです。
 お母さんは
「足が完全に治ったら、体を鍛えるためマリーナにスポーツをさせたい。今までずっと家の中に閉じこもりがちだったから・・・。でもマリーナはスポーツができなかったけれど、絵がとても上手なのよ。村にはないピンスク市にある、美術専門高校に入学させたい。バス通学しないといけないから大変だけど、きっとそのころには足も心
臓も強くなっているはず。」
と夢を語りました。またウラジーミル君についても
「足が治れば、兵役にも就ける。ああ、よかった。」
と言っていました。今は都会では兵役義務を逃れるため、あれやこれやと知恵を絞る若者が多いのですが、田舎では昔のように
「男は軍隊に入って一人前。兵役義務を終えて帰ってきたら、いい仕事がみつかるしお嫁さんも見つかるよ。」
という考えが残っているようです。
 お母さんは今まで、こんな足ではこの2人の子どもは結婚もできない、と心配していたようです。
 しかし、今ではみんな笑顔が増え、暗い未来を心配することもなくなりました。

 これはおまけ画像です。ベルラド研究所では、食品の中に含まれる放射能も測定してくれます。これはその測定器です。
 放射能の測定は原則として有料です。今回のような体内放射能値の測定は、大人212円。子ども151円です。(注:2003年7月現在。)      NEXT →
辰巳 雅子
Date:2003/07/05(Sat)

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