ベラルーシの部屋レポート
2005年9月

 Title:ユーロビジョン・ソング・コンテスト2005 ベラルーシはまた予選落ち その1
 書こう、書こうと思いながら、3ヶ月も経ってしまいました。今年のユーロビジョン・ソング・コンテスト。ベラルーシは昨年に引き続き、2回目の出場でしたが、前回の惨敗よりはましだったものの、また予選落ちでした。
 
(昨年の「ユーロビジョン・ソング・コンテスト 初出場のベラルーシは惨敗」は過去ログ「2004年5月」で読むことができます。参加国数を間違って書いてしまったりしていますが、ご興味のある方はどうぞ。)
http://belapakoi.s1.xrea.com/logs/2004/005.html

 去年のアレクサンドラ&コンスタンチンは個人的に応援していたので、惨敗の結果にはがっかりしましたが、でもべら部屋の記事として書こう、というやる気もありましたですよ。しかし、今年は国内予選からして、去年とは打って変わり、盛り上がりに欠け、こんな記事をわざわざ書かなくてもいいか、と思っていたぐらいです。
 しかし、蓋を開ければ、やはり一言書かずにはいられないユーロビジョン、いやベラルーシ音楽界・・・なのです。
(「Tのベラルーシ音楽コラム」はこちらです。)
http://belapakoi.s1.xrea.com/culture/music/index.html
 
 まず国内予選ですが、昨年と同様、名乗りを上げたアーティストたちがTV出演し、視聴者が電話投票することになりました。しかし、昨年の惨敗の原因を
「素人である視聴者に人選を100%任せたのが悪かった。やはりその道のプロの意見も入れなくては勝てぬ。」
と思ったのかどうか、分かりませんが、まず視聴者投票で1〜3位を決め、その後審査員たちが話し合って、その3人の中からベラルーシ代表を決める、というシステムに変わりました。
 それはそれでいいのですが、その後ちょっと困ったことになりました。

 私は今年もテレビの前で見ていたのですが、これといった歌手がおらず、今回は誰にも投票しませんでした。
 この3人が上位になったのも意外な感じがしましたが、出場者の皆さんが似たり寄ったりで、結局は誰になっても、おかしくもなし、悲しくもなし、という感じでした。
(唯一「ノーヴィ・エルサレム」というバンドが低得点だったのが意外でした。もっと人気があるかと思ってましたので。)

 さて、1位のポリーナ・スモロワは絵に描いたようなアイドル歌手。歌う曲は「Smile」 ♪Let's smile again〜 という、歌詞も顔も振り付けも綿菓子みたいな歌手です。こういう歌手がベラルーシ人一般視聴者の心をくすぐるのか、とある意味勉強になりました。(^^;)

 2位のアンジェリカ・アグルバシュは有名な人です。この人が結局ベラルーシ代表に選ばれたのですが、詳しくは後述。

 3位のナタリヤ・タメロは昨年も国内予選に出場し、惨敗。巻き返しを図って、今年は3位に食い込みました。
 しかし、私はこの歌手はあまり好きではありません。熱唱系の歌手ですが、叫んでいるように聞こえます。しかもベラルーシ人女性歌手によくいる甲高い声の持ち主。3位に入ったのには驚きました。しかし、この人については一筆書かなくてはなりません。
 昨年国内予選に出たときはバックダンサーもつけず、1人で熱唱(絶叫)していたタメロですが、昨年のユーロビジョンを見て、「歌だけじゃだめだわ。振り付けも凝らないと。」と思ったようで、今回はコテコテの演出で臨みました。
 曲名は「マイ・ラブ・イズ・スイート・ポイズン」
 タメロの周りを魔女風の黒い衣装をつけたロングヘアの女性ダンサーたちが、くねくねと妖しくしかも無表情に踊り続けます。
 そしてステージ後方中央には大きい釜がどんと置いてあり、ドライアイスの煙がぼこぼこと出ています。そしてやはり、怪しげな黒装束の男性ダンサーが、ぐねぐねしながら長い棒で釜の中の「スイート・ポイズン」をかき混ぜています・・・
 恐ろしや〜〜〜
 黒魔術をイメージした演出ですね。
 でもこんな愛(甘い毒)はいらないよ〜 (T_T)
 が。ここでどうしても書きたいのは、男性ダンサーが釜をかき混ぜている長い棒が、なぜか赤と白の飴ん棒のような色だったことです。(@□@)
 歌手もダンサーも大真面目にやっているのに、なぜ、棒だけギャグなのか? 甘い毒だから、飴ん棒で混ぜているのか? 
 3日ほど笑いが止まりませんでした。画像でお見せできなくて残念です。

 演出といえば2位のアグルバシュですが、昨年ユーロビジョンで優勝したルスラナのウクライナ版アマゾネスに刺激されたのか、マントを羽織り、金属の輪を頭にはめた騎士風(?)の姿で登場。これも別の意味で怖いですね。このサイト参照。↓ 1位から3位に選ばれた3人が見られます。
http://www.tvr.by/rus/eurovision2005.asp?pr=finalists
by ベラルーシのT
Date:2005/09/03(Sat) 09:03 No.596

 Title:ユーロビジョン・ソング・コンテスト2005 ベラルーシはまた予選落ち その2
 予選の後、審査員たちの協議により、ベラルーシ代表は2位だったアグルバシュに決定しました。
 しかし、ベラルーシ国民の間では、去年と違って盛り上がりがない・・・。冷めに冷めているのです。どうしてかというと、
「アグルバシュは審査員を買収した。視聴者投票のときも金をばら撒き、電話投票するように頼んだ。」
という噂が飛んだからです。本当はどうだったのか、分かりません。

 このアンジェリカ・アグルバシュは今年35歳ですが、18歳のときにベラルーシで初めて行われたミス・ベラルーシに選ばれたという、ベラルーシではどちらかというと美人で有名な人なのです。
(「ベラルーシは美人の国」と日本では思われているそうですが、初代ミス・ベラルーシをぜひこの機会にご覧下さい。)
http://www.eurovision.tv/english/belarus.htm
 
 その後モデルや歌手をしていましたが、スポーツ選手と結婚し2児をもうけました。そしてその数年後には「ミセス・ベラルーシ」に選ばれました。
 ところが離婚。子どもを引き取り、ロシア人の会社社長と再婚。再婚相手の連れ子2人と、再婚相手との間に生まれた子どもの合計7人家族で、現在ロシアで生活しています。
(再婚したのも金目当て、という噂です。ベラルーシに住んでいたころの彼女に会ったことのある人に話を聞いたのですが「別に美人じゃないよ〜。普通の人。だんなさん(前夫)も普通。気さくな感じで、とにかく普通。」だそうです。)
 
 前からお金持ちだったと思いますが、ロシア人のニューリッチと再婚し、ロシアセレブの仲間入りをしたアグルバシュ。残るは芸能界での実績がほしい、と思ったのかユーロビジョンに名乗りを上げました。
 ロシアに住んでいるなら、ロシア代表で出ればいいじゃん、という意見もあったでしょうが、ロシアの代表に選ばれるにはライバルが多すぎて狭き門。そんなわけでベラルーシ代表なら大丈夫だろうと予選に参加したようです。
 どうしても代表になりたい! 頼るは夫の財力・・・だったのかどうか知りませんが、審査員買収の噂が飛んでしまいました。 

 このようなわけで国民は冷め冷めでしたが、(でも他の2人の誰が代表になってもユーロビジョンは予選落ちだったと思います。)国営放送は去年のように「ラブ・ミー・トゥナイト」のプロモーションビデオを、CMのように流し続けました。
(このリンクからビデオを視聴することができます。ただ画質はよくないです。)   
http://www.tvr.by/eng/eurovision2005.asp

 ちなみに去年、見逃していたのですが、アレクサンドラ&コンスタンチンの、ユーロビジョン参加曲「MY GALILEO」のプロモビデオもここで見ることができます。
http://www.tvr.by/eng/konkurs.asp

 こちらは感動の作品ですので、ぜひぜひご覧下さい。
 それにしても両者のプロモビデオを見ていても分かるのですが、アレクサンドラ&コンスタンチンのほうは凝りに凝っているというのに、アグルバシュのほうは低予算な作りで、大変見劣りします。(審査員買収にお金を使いすぎて、凝った撮影はできなかったのでしょうか?)
 
「彼女の英語の発音は最悪!」とかベラルーシ人にめちゃくちゃに言われながら、ついにユーロビジョン予選開始。
 いよいよアグルバシュの登場です。
 まず、私が驚いたのはその衣装でした。
 昨年のアレクサンドラ&コンスタンチンのステージ衣装の統一感のなさについてはすでに書きましたが、ベラルーシスタッフたちも「あれはどうもまずかった。」と感じたようです。
 そこで考えたのは、統一感のある衣装。

 アグルバシュは黄金のマント、18世紀フランス宮廷婦人のようなドレス、さらに金ぴかのティアラをかぶり登場。
 男性ダンサー3人も同じ色調のフランス宮廷服のような格好で、すべるように、倒れるように、転ぶように登場。
 そしてアグラバシュの周りをぐねぐねしながら、悶絶の踊り。
「ラブ・ミー・トゥナイト」というのは、このダンサー3人それぞれの心の叫びのように思えました。何だか女王様と3人の下僕たちのようでした。
 しかもこの3人、おそろいの服を着ているのに、ヘアースタイルはバラバラで、プロモビデオにあるように1人がなぜかスキンヘッド。宮廷服に坊主頭っていうのは、ちょっとねえ・・・
 呆然としながら見ていると、最後にアグルバシュのドレスがダンサーたちの手により、ばりっと分解し、ぴちぴちの服(キャット・スーツって言うらしいですね。)を下に着たアグラバシュが、自慢のスリムボディーを披露!
 これで終わりかと思ったら、仰向けになりながら下僕たちが差し出した腕の中に倒れ、ひっくり返った顔で観客に笑いかけアピール。

 ・・・・・今回も予選落ちだなあ、と思っていましたが、実際その通りになりました。
 衣装の統一感を出したり、振り付けに凝ったり、と昨年に比べるとましになったと言えばそうなのですが、やっぱり垢抜けない、というかポイントずれているというか・・・でも昨年の惨敗(下から数えて2位)に比べると少し順位が上がっていました。
 また来年に期待しましょう! がんばれベラルーシ!(^^;)

 悲しいのは去年はユーロビジョンの予選が終わった後、国内の審査員など関係者一同がスタジオで、予選の感想を述べていたのに、今年はそんなものはテレビ放映されませんでした。
 予選放映後、CMが流れ、すぐにニュースが始まりました。そのニュースでは「今日、ウクライナのキエフでユーロビジョン予選大会が開催されました。」というアナウンスとちらっとアグルバシュが映って、それでおしまい。ベラルーシ代表の結果すら報道されなかったのです。そんな〜

 以上のようにベラルーシは冷め切ったムードの中、予想通り予選で敗退したわけです。
 しかし、今回もこれで終わりではなかったのです!
 なぜなら、今年はもう1人、ベラルーシ人がユーロビジョンに参加していたからなのです!
 それは一体どういうことなのか?
 それはロシア代表のナタリヤ・パドリスカヤ。そう、彼女はベラルーシ出身なのです!!!
http://www.eurovision.tv/english/russia.htm
by ベラルーシのT
Date:2005/09/03(Sat) 09:04 No.597

 Title:ユーロビジョン・ソング・コンテスト2005 ベラルーシはまた予選落ち その3
 去年のベラルーシ代表にはアレクサンドラ&コンスタンチンが国内選考会で優勝して選ばれましたが、パドリスカヤはそのとき2位に選ばれていたのです。
 赤毛の長めのおかっぱが印象的なパドリスカヤ。
 しかし、私は彼女の歌い方が好きではありません。この人も熱唱系です。しかもやたら鼻息の荒い歌い方をしたり、普段の顔はかわいいのに、歌っているときは歯をむき出して叫ぶように歌っているように聞こえるのです。(私には。)

 昨年の国内予選で2位だったパドリスカヤはうれし涙を流すアレクサンドラの横で、むすっとしていました。
 それにしても、ベラルーシ国内予選の結果が発表されたとたん、だめだった参加者のみなさんが、一様に「なんで私じゃないのよ!」とむくれているか、「そ、そんな〜! なぜ?!」と悲しんでいるかのどっちかで、毎回見ていて笑えます。
 特に女性歌手はみんなぶす〜っとしています。
「結果はだめでしたが、ベストを尽くすことができたので満足しています。また来年挑戦します。」
・・・といったようなさわやかさんは、ベラルーシ芸能人には1人もおりません。
 みんな気が強いです。ベラルーシの一般人が気が強い人が大多数のうえに、その中での芸能人ですからねえ。強気オーラがみなさん激しく出ています。 

 パドリスカヤが
「なんで私が1番じゃないのよ! みんな間違っている! 電話投票の数え方間違ってたんじゃないの?! ああ、ベラルーシ代表になろうとしたのがそもそも失敗だった。」
・・・と思ったのかどうか分かりませんが、その後活動場所を完全にロシアに移してしまいました。

 さらに一般公募して予選から優勝までをテレビ中継するロシアの人気コンテスト番組に参加しました。
 パドリスカヤは、私からすれば、すでにベラルーシでプロの歌手なのですから、素人も大勢参加するコンテスト番組にわざわざ出なくてもいいのに・・・と思いました。
 しかし気が強いパドリスカヤ。自分の実力を広くロシアに知らしめたかったようです。
 そして、どんどん勝ち抜き、最終候補にも残り、出場者の中では3位になるという好成績を修めました。
 ロシアではユーロビジョンの代表を視聴者投票では決めず、審査員が協議の末、決めるのですが、今年のロシア代表としてこのコンテストの結果が買われ、パドリスカヤが選ばれたのです。

 すばらしい! がんばれ! ナタリヤ・パドリスカヤ!
 というわけで、審査員買収というダーティーなイメージのアグルバシュより、実績のパドリスカヤを応援しよう!というムードが一気にベラルーシ国内に広がったのです。(だからアグルバシュ人気が余計に落ち、すっかり冷めていたのです。)

 昨年のロシア代表が上位半分に入ったため、今年のロシア代表は予選なしで、直接本選に進めます。
 いよいよ本選!
 その結果は15位。上位半数に入れませんでした。ベラルーシからの12ポイントが最高で、他の国からあまり表が入らなかったのです。
 (しかしまあ〜、昨年に続き、ベラルーシからロシアへ12ポイント入ると、どうしてこんなにブーイングが起こるのでしょう? ぶーぶー言っていた観客のみなさん、今回は地球が三角になろうとも、ベラルーシからロシアへ12ポイント入らないわけがないのです。君たちは知らないかもしれないが、今年のロシアの代表はベラルーシ人なのだよ。)

 この結果をロシアの人々は「ユーロビジョンは歌のコンテストではない。政治がからんでいる!」と言った言葉で批評していました。
 諸国のロシア離れが原因だ、ということです。今まで仲良しだったはずの国が(オレンジ革命が起こったウクライナなど。)ロシアから離れていってしまったことが敗因で、歌唱力などは二の次になってしまっている、という意見です。
 確かにユーロビジョンは友好国からどうしても高い点が入るのですが、しかしそれだけでは上位には食い込めません。やはり総合的にレベルの高い舞台を作らなくては。

 そういう意味ではパドリスカヤはだめでした。まず、楽曲そのものがいま一つでした。ハードロック風の曲で、やたらサビのところばかり繰り返し、熱唱するだけ。ショー的な演出は何もなし。ましてやロシア的な民族色もなし。
 ロシアといえば大国です。大国の代表として出てくるアーティストには、視聴者の期待が大きくなるものです。しかし、パドリスカヤを見ると拍子抜けしてしまいます。

 しかも、運の悪いことに順番が今回優勝したギリシャのすぐ後だったことも、見劣りがしました。ユーロビジョンの公式サイトがこちらです。
http://www.eurovision.tv/english/index.htm

 ギリシャは歌はもちろん、衣装も、ダンサーも、演出もすばらしかったです。しかも民族的な要素も加えており、まさにユーロビジョンの手本。完璧です。
http://www.eurovision.tv/english/greece.htm

 ギリシャは今回優勝するために、予算として100万ドルをかけたそうです。(本当? すごい。)
 ロシア人の中にはロシアが今後順位を上げるには、このように金をかけなきゃだめだ、という意見もあります。
 しかし、そんなことはありません。
 2位に入ったマルタ代表をご覧下さい。
http://www.eurovision.tv/english/malta.htm

 この人はバックダンサーもセットも演出もなしで、美声1本で勝負に出て、2位です。おそらく出場者全員の中で最も予算がかからなかった人でしょう。でも2位です。
 要するにお金をかけようがかけようまいが、魅力がなければ、だめなのです。
 熱唱だけで終わったパドリスカヤは、魅力がなかったのです。

 結果発表後、彼女は大粒の涙をこぼしていたそうですが、そりゃそうでしょうね。優勝は無理でも、せめて上位半数の中に入って、来年のロシア代表の予選免除の席だけは確保しておかないと、面目が立たないでしょう。
 でもまあ、見る側としては予選と本選と2回聞けてうれしかった、というアーティストもいますがね。(例:ラトビア http://www.eurovision.tv/english/latvia.htm 結局5位に入りましたが、上手でした。)
by ベラルーシのT
Date:2005/09/03(Sat) 09:09 No.598

 Title:ユーロビジョン・ソング・コンテスト2005 ベラルーシはまた予選落ち その4
 他にも各国代表について、コメントしたいのですが、あまりにも長くなるのでこのへんで。
 唯一、スイス代表について書きます。ベラルーシ国内の投票でロシアに12ポイント入るのは当然なのですが、次点の10ポイントはスイス代表に入りました。
http://www.eurovision.tv/english/switzerland.htm

 その名も「バニラ・ニンジャ」(忍者ってのが意味深?)
 どうしてベラルーシからこんなに高得点が入ったのだろうと思ったら、実はバニラ・ニンジャはエストニア人なのです。
 スイスがわざわざエストニアから呼んできて、ユーロビジョンの代表にしたのですが、ベラルーシ人がロシアの代表になるより、自然な感じがしませんね。スイスはこういうことを前にもしていて、セリーヌ・ディオン(カナダ人)をスイス代表にして、優勝したことがあります。
 でも何だか変な感じ。これからもこういう不思議なことが起こるかもしれませんね。ベラルーシ人がどこか意外な感じのする他の国の代表になるとか。
 バニラ・ニンジャは私からすれば、特にこれといった印象はありませんが、ベラルーシから高得点が入ったのはエストニア(旧ソ連仲間)だったからだようです。

 それにしてもロシアに吸い取られるベラルーシ芸能界は大丈夫なのか? と今回少々心配になりました。今年はベラルーシ人が2人もユーロビジョンに出場するというめったにないことが起きたのですが、この2人、出場後はどちらもロシアに「帰国」しています。ベラルーシから来てベラルーシへ帰ったわけではないのです。
 ベラルーシはまだ芸能界(ショービジネス)がシステムとしてきちんと整っていません。最近になってようやく「芸能界は金になる」ということに気がついたようで、国営放送が主体になって、コンテストなどを開き、スターを発掘しようとしています。(結局は国が主導、というのがベラルーシらしい。) 
 しかし、ギャラの額はロシアに比べると桁違いに少なく、言葉の壁のないベラルーシ芸能人がよりよいギャラを求めてロシアへ流出してしまうのはどうしても止められません。
 せっかくベラルーシで見出されたスターもしばらくすると、パドリスカヤのようにロシアへ活動の拠点を移しました、というケースがこれからも後を絶たないでしょう。
 残るのは、祖国を愛しているのでどうしてもベラルーシに住みたいし、ここで働きたいという人、レベル(歌唱力、演技力、容姿などの)が低い人、絶対ベラルーシ語でしか歌わないという信条の歌手、高いギャラはいらないという無欲な人(そんな芸能人いるの?)・・・といった方々だけでしょう。
 う〜む、どうなるのか、ベラルーシ芸能界。
 でも場所はどこであれ、がんばってほしいものですね。将来もしかするともしかして、ベラルーシ人のハリウッドスターが現れるかもしれませんしね。

 話はユーロビジョンに戻りますが、会場となったウクライナ。
 去年の秋オレンジ革命が起こり、まだ事態の先が全く見えていなかったとき、「ウクライナが分裂して国内に内乱が起こるという最悪のシナリオ」というものを、ニュースのアナウンサーがしゃべっているのを聞いて、まず思ったのは
「な、内乱?! ユーロビジョンはどうなるのだ?!」
ということでした。(^^;)
 幸いそんな恐ろしい事態にはならず、ユーロビジョンも予定通り開催されました。でも半年前までこんなに国内が混乱していたのに、大丈夫かな? と多少心配していました。
 が、ウクライナの人々はえらかった!
 政治的にも経済的にも大混乱していたにもかかわらず立派な会場を設立し、大イベントを成功させました。ユーロビジョングッズもちゃんと作って販売し(^^;)ユーシェンコ大統領がステージに登場し、優勝者を祝福。
 逆に今年このタイミングでユーロビジョンがウクライナで行われたために、新政府としては新生ウクライナをヨーロッパ中にアピールできる絶好の機会となりました。
 各出演者がステージに上がる前に、その自己紹介などが流れるのですが、舞台装置をその間大急ぎで変えているらしく、テレビ画面には舞台の様子は映りません。代わりにプロモビデオのような映像が流されるのですが、そのテーマも「ウクライナとそこに住む人々」で創った、それはそれは感動の映像でした。「ああ、ウクライナに行きたいな〜。」と思いましたよ。
 ロシア代表のパドリスカヤが出る直前の映像は、ウクライナ国内にある正教会の建物で、ウクライナ人のロシアに対する「祈り」のような気持ちを感じました。(ロシアは「ウクライナを初めとする近隣諸国はロシア離れが進んでいて、結果がよくなかった。」とかいろいろ言っていますが。)
 ウクライナ代表(http://www.eurovision.tv/english/ukraine.htm)が出る直前の映像は、オレンジ革命のときのデモに参加した群衆や炊き出しの光景、オレンジ色の服装をした人々などが編集されていて、見ていて涙が出ました。
 本当にユーロビジョンを成功させたウクライナの人々はえらかった。尊敬します。
 
 ところで、毎回ユーロビジョンを見ていて、思うのはベラルーシ国営放送で実況中継しているベラルーシ人男性アナウンサー。名前を忘れてしまいましたが、英語の司会で進行するユーロビジョンの同時通訳しているのですが、英語から全てベラルーシ語に訳しているのです! 
 ユーロビジョンになると、必ずこの男性アナウンサーが瞬時の通訳をしていますが、ベラルーシ人も絶賛しています。たぶんベラルーシでナンバーワンの英語→ベラルーシ語の同時通訳ができるアナウンサーでしょう。毎回彼の声を聞きながら、感心しています。

 さて、またまた長くなってしまいましたね、ユーロビジョン記事。
 来年はどうなるんだろう、ベラルーシ代表。今度こそ予選通過してほしいものです。でないと投稿するのもむなしいじゃありませんか。次回の投稿のタイトルが「ユーロビジョン・ソング・コンテスト2006 ベラルーシはまたまた予選落ち」になっちゃう。(^^;)
 でもまあ、ベラルーシ以外のヨーロッパのいろんな国の歌手も見られるので、とっても楽しいですけどね。ヨーロッパに住んでいるのがうれしいです。
by ベラルーシのT
Date:2005/09/03(Sat) 09:30 No.599

 Title:多忙につき更新をしばらくお休みします


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 今月は忙しくなりそうなので、しばらく更新をお休みします。またメールのお返事も遅くなりますがご了承下さい。チロ基金の活動報告も遅くなります。常日頃ご協力くださっている皆様、申し訳ありません。

 でも! 恒例の茶の湯の紹介をポーロツクの図書館で来週実施する予定です。 
 さらについに「月と日」プロジェクト(日本の歌をベラルーシ語に翻訳)も成就します。(コンサート開催とCD発売開始!)
 今月末には以上のような活動のご報告を投稿しますので、お楽しみに!

 ところで画像は8月、日本文化情報センター内で行ったテーマ展示「広島と長崎」の様子です。
 小さい展示でしたが、先日、地元テレビ局(STV)で取り上げてもらいました。
 このようなテーマ展示は展示物そのものがなかなか手に入らないので、難しいのですが、とにかくセンター所有文献から探し出してきました。松谷みよこ作の児童文学「ふたりのイーダ」なんてものもあります。

 話がそれますが、昔日本人から、チェルノブイリをテーマにした児童作品はベラルーシでは出版されていないのですか? ときかれたことがあります。
 調べたけれどなかったので、ありません、と答えたら
「え?! なんでないんですか?」
ときかれました。日本ではこのような原爆や空襲をテーマにした児童文学があるのに、どうしてベラルーシにはチェルノブイリをテーマにした児童文学は書かれないのか? と不思議に思ったようです。
「でも、本当にないんです。」
「え〜?! どうして?」
 ベラルーシ人にこの話をすると「なんでそんなに驚くの?」ときかれました。
 両方から「なんでないの?」「なんでないことをそんなに驚くの?」ときかれて、困りました。
 ベラルーシ人に言わせると「チェルノブイリの子供向けの話? そんな残酷な話をどうして幼い子どもに読ませないといけないのか?」・・・だからチェルノブイリをテーマにした児童文学はないのだそうです。
 (日本は漫画にもアニメにもしちゃいますよね。)
 チェルノブイリはベラルーシの人々にとって生なましすぎるのかもしれません。
 「ふたりのイーダ」がロシア語で読めたらな、なんて展示期間中考えたのですが、ベラルーシ人にはかえって敬遠されるか、読者は大人ばかりになりそうです。

 しかし、今回は原爆投下の悲惨さばかりではなく、平和もテーマにしないと、と思い、「もし世界が100人の村だったら」をロシア語に翻訳しました。翻訳したのは日本語を勉強している男子高校生です。
 この本を寄贈してくださった方は以前台湾でお仕事をしていて、台湾でこの本の中国語版を買ってくださったのです。そのため、1冊で日本語、英語、中国語、ロシア語の4ヶ国語で読める本になりました。
 センターで読んだベラルーシ人の間からは「とてもいい本。」「感動した。」「いろいろ考えさせられた。」ととても好評です。訳してよかったです。出版して大量に印刷することができないのが残念ですが、末永くセンター内でベラルーシの人に読んでもらおうと思っています。 

 ところで、9月9日センターは開設6周年を迎えます。
 今年はセンターでは記念イベントなどは実施しません。でもこの6年の間に多くの方からの寄贈である展示品が集まり、展示する場所が少なくなってきました。
 そこで新しい展示ケースを設置することにしました。というわけでセンターは今月プチリニューアルします。少し新しくなったセンターの様子はまた改めてご報告しますね。
by ベラルーシのT
Date:2005/09/05(Mon) 08:25 No.600

 Title:【更新情報】
この夏、少しずつ更新していったところがだいぶたまったので、一挙公開します。

1)チロ基金のコンテンツ更新しました。

(1)ミンスク市立結核診療所学校 2004年のレポートをまとめました
http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/ksg/2004/no1.html
(2)2004年「ビタペクト2」&『放射能と栄養』無料支給・配布運動
【SOS子ども村(12回〜27回)】
http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/bitapekt/2004/index.html
【オリガさん一家】 をまとめました
http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/bitapekt/2004/origa.html

2)新しく「ベラルーシ今昔物語」というコンテンツをつくりました。
http://belapakoi.s1.xrea.com/tale/index.html
ここには、Tさんが見聞きした不思議な話、伝説の類をまとめていこう・・・と思っています。

自分でもあまりいいタイトルじゃないなあ、とおもったんだけど、私、日本の古典の「今昔物語」がものすごーーーーく大好きで、ベラルーシ版があったらいいなあ、と思っていたのでした。

古典の「今昔物語」はほんとおもしろいですよ!学校の授業で習うのは本当にごく一部。怖い話はぞくぞくするほど怖いし、笑える話やくだらない下ネタもあって、1000年前から人間って変わらない部分があるんだなあ・・・って思えます。「今昔物語」の成立は諸説ありますが、源隆国という貴族が自分の屋敷におもしろい話のネタを持っている人をあつめて、おもしろい話をどんどん書き留めさせて、集まったお話を整理してまとめた、という伝説が私はとても好きです。それが本当かどうかはわかりませんが、素敵な話だなあって思っています。きっとベラルーシにも不思議な話、怖い話、おもしろい話、泣ける話、いろいろありますよ。千夜一夜物語のように、今昔物語のように、膨大な数にはさすがにならないと思うけどf(^ー^;、そういう雰囲気になったらいいなあ、と思います。

長くなってすいません。ところで、その「今昔物語」トップバッターが「不思議な話」夏にクリスマスの話ですいません・・・ネットとはいえ、季節感なさすぎです・・

3)ベラルーシ長期滞在情報、病院関係の情報をまとめました。
http://belapakoi.s1.xrea.com/stay/hosptal/index.html
Tさんの体験を私がほったらかしていたので、今更になってしまってすいません。ご参考になれば幸いです。
by さば(管理人)
Date:2005/09/06(Tue) 00:13 No.601

 Title:「食育」について
たまたまニュースみていたら「食育」に関する統計ニュースが出ていたので紹介します。
http://www.asahi.com/life/update/0905/003.html
食育に「関心」7割 意味を知らない人も5割

チロ基金の活動でビタペクト2を配布しているSOS子ども村においては「食育」を重視した指導だなあ・・とTさんのレポートを読んでいて思いました。ただ、「食育」という言葉そのものは、ここ数年で急に世に出てきた「日本語」のような気がしています。このまま定着するかどうか。

個人的には「食育」とはなかなか良くできた日本語だなあと感じています。

http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20050905AT1G0502G05092005.html
ただし、こちらを読むと、今回の統計はちょっとトラブルがあった模様。

調査母数が20才以上の男女3000人というから、うーん、母数としてはこんなものかな、とは思いますが(統計処理上)、ま、3000人の結果だ、ということをご了承ください。

http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/column/0508/28.html
こちらは日本農業新聞の記事です。
by さば(管理人)
Date:2005/09/06(Tue) 01:45 No.602

 Title:【News】チェルノブイリ原発:事故死者4000人 WHOなど推計
毎日新聞のニュースより
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/afro-ocea/news/20050906k0000e030034000c.html

(冒頭引用)
1986年4月に旧ソ連(現ウクライナ)で起きたチェルノルブイリ原発事故について、国際原子力機関(IAEA)や世界保健機関(WHO)の専門家グループは5日、放射線被ばくによる最終的な死者数は約4000人と推計する調査結果を発表した。史上最悪の原発事故による死者数については、数万人〜数十万人とするさまざまな推計があったが、これまでの数字を大幅に下回った。

----------------------
現在イランの核兵器疑惑でニュースに出てくるIAEA。原子力に関しては世界で最も力のある団体だと思います。
それだけに、このニュース、かなり信憑性がありそうな感じですが・・・

ちょっとまってください。IAEAは原子力をどちらかといえば「推進」する立場の団体なので、
過去のニュースの傾向をみていると、自分たちが不利になるようなニュースはやっぱり流さないなあ、という印象があります。

原子力災害によって人はさまざまな影響を被りますが、チェルノブイリ事故においてIAEAではっきり因果関係を認めているのは甲状腺がんだけだ(ぐらい?)ときいたことがあります
(情報ソースを忘れてしまったのであいまいですいません〜)

というわけで、IAEAの発表を(WHOまで参加してるから、よけい正確な結果っぽいですよね)鵜呑みにするのは、ちょっとまって、しばらくIAEAの発表するニュースを追いかけてみてから判断してみてくださいね。

今はインターネットを活用すれば、すぐ公式情報は手に入る優れた時代になりましたが、その分、
情報を与えられるまま受け取るのではなく、常に疑問を感じて自分で調べる姿勢が大事になっていると思います。
by さば@管理人
Date:2005/09/07(Wed) 00:09 No.603

 Title:【News】国際線機上で浴びる宇宙線、被曝量をネットで計算
2000年の過去ログ(12月ぐらい?)で、「国際線にのったら被曝する」という話がありました。

朝日新聞のニュースで、ネットで計算できるというニュースがあったので、紹介します。
http://www.asahi.com/life/update/0917/007.html

独立行政法人・放射線医学総合研究所
http://www.nirs.go.jp/
by さば(管理人)
Date:2005/09/17(Sat) 23:07 No.604

 Title:【更新情報】
データは先週から公開していたのですが、お知らせがおそくなりました。すいません。

1)2003年ベラルーシニュースをまとめました。
http://belapakoi.s1.xrea.com/btoday/2003news/index.html

す、すいません、2年前の話題を今さらで・・・・

2)チロ基金の活動 2004年「ビタペクト2」&『放射能と栄養』無料支給
・配布運動で、
モスコフスキー区社会センター
http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/bitapekt/2004/moss.html
ピンスク地区ソシノ村 第2回
http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/bitapekt/2004/so_no2.html
をまとめました。

これで2004年のビタペクト2配布運動はほぼまとまっていると思います。

3)チロ基金の活動 「医療器具支援」の追加情報をまとめました。
http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/med_2004/no5.html

今月は1月に2度更新!順調です!(今月だけ・・)
by さば(管理人)
Date:2005/09/23(Fri) 23:44 No.605