ゴメリ州モズィリ市(1型)糖尿病児童協会への支援活動

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第2回−3  2005/10/30

 

モズィリ市糖尿病児童協会の事務所にある文献です。
 協会では「糖尿病と生きる」というロシア語の雑誌を定期購読しており、各都市の糖尿病患者協会の活動を知ることができます。
 また糖尿病食の献立や、子供用の分かりやすい医学書などのコピーを、ここで自由に閲覧することができます。
 
 保護者や子ども達が集まることがとても大切だ、と話していました。糖尿病を発病したとき、小さい子どもである場合、病気であることがよく分からなかったり、また早くから病気と生きていくことを受け入れやすいそうです。
 しかし、大きい子どもになると一生治らないから、と悲観的になってしまったりします。(実際、糖尿病の高校生の自殺未遂事件があったそうです。)
 また子どもが突然糖尿病になると、親のほうがショックを受けて特に最初のころは精神的な支えが必要です。そういう意味でも糖尿病協会の存在意義は大きいと思いました。
 本当は専門のカウンセラーがいれば、もっといいのですが、会長のデルノフスカヤさんの電話番号が「モズィリの糖尿病児を持つ親のためのホットライン」になっているそうです。
 
 ところで、ゴメリ市には立派な糖尿病患者センターが設立されたそうです。イギリスがスポンサーとなり、カウンセラーも常勤。糖尿病患者なら無料で利用できます。うらやましい話ですが、イギリスだって、ベラルーシ中のあちこちに糖尿病患者センターを作るわけにはいきません。
 もっとベラルーシ政府がいろいろとしてくれればいいのですが、現実は・・・

 糖尿病患者が現在ベラルーシで増えてきているのですが、その理由について尋ねてみました。チェルノブイリ原発事故後、糖尿病患者が増えてきている、というのはあちこちで耳にしましたが、放射能と糖尿病の発症には関連性があるのでしょうか?
 デルノフスカヤさんははっきりと「私たち保護者は関連性があると思っています。」と答えました。
 しかし、それを裏付ける科学的な証拠が何もありません。このことを調査している医学者が一人もいないからです。
 もし、ある医学者が研究して、その結果「チェルノブイリ原発事故で放出された放射能が原因で糖尿病患者が増えた。」と発表した、としましょう。
 そうすると、政府としては、1986年以降発病した糖尿病患者(特に1型)全員をチェルノブイリ健康被害者として扱い、補償などをしなくてはいけません。
 それには莫大な予算が必要ですから、「関連性がある」などという科学的証拠が発表されると困るのです。
 もし、こういうことを研究している学者がいたら、中止させるか、結果発表ができなくなるようにしてしまうでしょう。
 そうなることが分かっているので、このような研究をしよう、という学者も現れません。せっかく調べても、内容によっては握りつぶされてしまうのであれば、最初から苦労しないほうがいいに決まっています。
 ですから、放射能と糖尿病の発症には関連性については今のところ、科学的根拠はありません。
 しかし、実際に発病した人たちは自分の肌で感じています。

 今回60個のビタペクト2も渡してきてよかったと思いました。
 もし、本当に放射能が糖尿病の発症に影響するなら、これでは糖尿病は治りませんが、発症を抑える効果はあると思います。

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辰巳雅子
Date:2005/11/03(Thu)