2002年 医療器具援助

*ミンスク市立第1病院小児外科病棟*
-- No.1 概要
-- No.2 医療器具
-- No.3 手術室
-- No.4 小児外科病棟
-- No.5 医療器具寄贈式典
-- No.6 新聞記事
2004年 


ミンスク市立第1病院小児外科病棟

1.概要

 2002年9月5日、無事チロ基金としては初めてベラルーシの病院に医療器具の寄贈を行いました。
 援助先はミンスク市立第1病院小児外科病棟。寄贈した医療器具は腹腔内視鏡手術器具です。購入のためかかった費用(寄付金)は全部で16万2000円でした。寄付してくださったのは、兵庫県にある2つの団体と5名の個人の方々でした。この場をお借りして、ご寄付くださった方々に厚くお礼を申し上げます。

 当初の予定は、以前に掲示板でもお知らせしていましたが、外科用ドリルを寄贈する予定でした。掲示板での呼びかけの後、多額の寄付金が集まったのですが、残念なことに外科用ドリルの場合、予算をオーバーしてしまうことが分かり、今回は見送ることになりました。

 またドリルはベラルーシ国内で売られていないので、前もって注文(輸入)しておかないといけないため、寄付金を8月にこちらにきた私の両親が持ってきてくれたのですが、それから購入となると、時間がかかって、9月中に寄贈できるかどうかも分からず、そうすると両親の滞在中に寄贈式典を行いたい、というこちらの希望がかなわないことも分かりました。

 代わりにどのような医療器具が必要なのか、何度もミンスク市立第1病院小児外科病棟で働くお医者様たちと話し合った結果、腹腔内視鏡手術器具を購入することになりました。 この器具は外科手術の際、メスで開腹せずに、直径約5ミリの小さな穴を開け、そこからカメラ、ライト、はさみのような操作器具を挿入し、モニター画面で体内の様子を見ながら手術するための器具です。こうすることによって、術後の回復が短期間ですみ、また手術跡がほとんど残らず、体の小さな子どもには効果的な手術が行えます。

 この機材(日本製のモニター等)は申請してから4年後、国から予算が下り、この第1病院小児外科病棟の手術室に6年前に設置されましたが、問題なのは手術時に体内に挿入される器具の部分です。繊細な部分であり、また消毒などの水分がかかるために器具の先端は壊れやすく、保証期間は2年となっています。
 しかしベラルーシでは貴重な器具であるため、医師達は細心の注意を払って、常に丁寧に取り扱っており、6年経った今でも使用可能な器具もあります。
 それでもやはり、壊れた器具もありますので、補充のために予算申請をしていますが、いつ予算が下りるのか全く分らない、というお話でした。

 そこで、今回チロ基金は、その先端器具を寄贈することに決定しました。これは極細の鉗子タイプのものです。

 購入した器具は有名なドイツの医療機器製作会社カール・シュトルツ社製の「Endosope:Take-apart」シリーズの3種類の鉗子セットで、ミンスク市内にある輸入医療機器販売会社「ディーナ・イ ンターナショナル」社で購入することができました。

 寄贈式典のとき手術室を実際案内してもらい、その腹腔内視鏡手術器具を実際に使った手術の 様子をビデオに収めたものを見せてもらいました。
 器具の先端部分にはいろんな種類があり、先が扇子のように開いて、手術中、視界の邪魔になる 臓器を脇に寄せるタイプのものや、焼きごてになっているもの(切断する部分の細胞膜などをこれで焼いておくと、切断しても血も出ず、縫合の必要もなくなる)などいろいろなタイプのものがありました。
 今回チロ基金が寄贈した鉗子器具を使うと、「血管一本をつまむことができる。」というお話でした。
 確かにこのような開腹せずに細かい作業のできる手術法ですと、それにかける時間の大幅な短縮、ひいては患者の体力消耗の軽減につながると思いました。

 寄贈式典には小児外科病棟で働く25名の医師が全員出席しましたが、今回の医療器具援助に大変感謝しておりました。
 このような手術はこの病棟で年間300件行われているそうです。

 ミンスク市立この小児外科病棟には、病状や怪我の具合によって6つの部門に入院患者が分けられ、入院しています。約200人の入院患者を収容でき、対象年齢は生後すぐから15歳未満の子どもたちです。
 主にミンスク市内の患者が入院してきますが、重症の場合などは国内から外科手術を受けるために子どもたちが、入院してきます。
病室も見学させてもらいましたが、虫垂炎や骨の病気のため入院している子どもから、生まれつき奇形があって生後すぐ入院、手術をした新生児、また地方の病院で2回を手術を受けたもの、完治しないなど、さまざまなタイプの子どもがいました。
 お医者さんからは、入院している子ども達を撮影してもいいと言われたのですが、気の毒でカメラのシャッターを押す気にはなれませんでした。

 担当医師スヴィルスキー先生のお話によると、「この腹腔内視鏡手術器具を使えば、傷跡もメスで開腹したときと比べれば、目立ちません。また小さな子どもにとっては手術による体力の消耗が軽くなり、術後の回復も早くなり、助かります。その他新生児の手術といった細かい作業が必要な手術のときにも、このような微細な動きをする手術器具があれば、大変助かります。」ということでした。

 チロ基金が代表して多くの日本人の方々から募った寄付金で購入した医療器具です。末永く、また多くのベラルーシ人の子ども達の健康のため使用されることを、心から祈ってやみません。

 2002/10 辰巳雅子

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