松尾芭蕉生誕360周年記念コンサート

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■ 新聞記事

「ナロードナヤ・ガゼータ」紙 2004年4月16日付

ベラルーシの新聞「ナロードナヤ・ガゼータ」紙にチロ基金の活動の一つである松尾芭蕉生誕360周年記念コンサートについての記事が掲載されました。
 その日本語訳をお知らせします。

〜民族の外交〜 「ベラルーシで『芭蕉の詩』が響いた」

「ナロードナヤ・ガゼータ」紙 2004年4月16日付 (記者 オリガ・ポクロンスカヤ)

 作曲家同盟で行われたコンサートで、日本の古典文学である松尾芭蕉の俳句がベラルーシ人作曲家、アンナ・コロトキナの朗読つきの室内楽作品「芭蕉の詩」として演奏されました。このニュースがもっと大きなマスコミの関心を呼ばなかったことは不思議なことです。

 しかし会場に訪れた人々は何か新しい、未知の、そして自分の中の何かを開くものと確かに出合いました。
 そしてまた、このコンサートは民族同士の交流は外交官のみがするものではなく、ごく普通の人々の間でも行われることを証明したのです。

 ベラルーシの作曲家アンナ・コロトキナさんと日本文化情報センター代表の辰巳雅子さんとの偶然の出会いが「芭蕉の詩」を生みました。
 
 アンナ・コロトキナ(作曲家。ベラルーシ作曲家同盟、ベラルーシ現代音楽協会会員)
「辰巳さんと出会う前から、すでに私の中では何か新しいものを作る用意ができていました。すでに長い間、作り手と歌い手としての関係でともに働いてきたオリガ・ソトニコワ(ベラルーシ国立フィルハーモニー所属歌手)の中にもそういった心の準備がありました。
 私は以前、芭蕉の俳句を読んだことがあったのですが、もし、辰巳さんと出会うことがなかったら、『芭蕉の詩』は書けなかったでしょう。 辰巳さんは文化レベルの高い、博学で自国の文化を愛するというたいへん珍しい人です。
 私の作品を聴いて辰巳さんは大変難しい部分がある音楽だと思ったようですが、日本文学をテーマにした作品を作りたいという私の意向に全く反対しませんでした。絶対の信頼をおいてくれたのです。
 辰巳さんは日本の伝統音楽のCDと芭蕉の句集を貸してくれました。句集の題名は『奥の細道』だったので、辰巳さんに尋ねました。
『これは日本の奥地へ続く道のことですか?』 
すると
『ええ、そうですが、もしかすると心の奥へ続く道のことかもしれません。』
 この返事を聞いて、私たちの共同作業が、きっといい結果をもたらすものと分かりました。」

 オリガ・ソトニコワ(朗読者。ベラルーシ国立フィルハーモニー所属歌手。国際コンクール受賞者)
「辰巳さんはとても創造的で音楽的な人物で、日本人らしい細やかさを持っています。辰巳さんは今回の仕事にとても真剣に対応してくれました。舞台衣装として着物を貸してくれたり、最初のリハーサルにも来てくれました。
 リハーサルの後、この作品の中に日本を感じたという感想を話してくれ、コンサートは成功すると言ってくれました。それを聞いて、私は作品が完成するまで試行錯誤してきたことに結果が出たのだと感じました。
 あるとき辰巳さんは芭蕉の俳句を読むと心が落ち着くと言っていました。これは日本人の心の中だけに起こることではないと私は思っています。」

 辰巳雅子(日本文化情報センター代表)
「日本の古い俳句とベラルーシ現代音楽の融合は大変面白い結果を生み出したと思っています。完成した作品には大変満足しています。
 もちろん日本の詩はロシア語やベラルーシ語の詩、そもそもヨーロッパの詩とは形式が大きく異なり、感情や思考の表現も違います。しかし、どんな詩でもその根底にあるものは共通しています。例えば自然や人への関わり、人間が持つ感情、苦悩、人生についてのさまざまな意味などです。ですから、ある民族が生んだ詩は他の文化を持った民族にも理解できると思います。
しかし、芭蕉の俳句はとても奥が深く、日本人の私でも全て理解できているわけではありません。」

「今年は松尾芭蕉生誕360周年にあたるそうですが、日本でも記念行事などは行われるのでしょうか?」

辰巳「松尾芭蕉が生まれた日は不明です。しかし、命日は10月12日であることが分かっています。この日、芭蕉の故郷である三重県では記念行事が行われる予定です。」

「すでにベラルーシに住み始めて長いですが、母国の文化とは異なる文化の中で生活するのは大変ではありませんか?」

辰巳「いいえ、その反対だと思います。自分の国の文化とより異なる文化に触れるほど、おもしろいと思います。韓国に行ったとき、日本の文化と似ていたので、ベラルーシの文化ほどおもしろいと感じませんでした。また私が勤める日本文化情報センターには多くのベラルーシ人がやってきて、いろいろな質問をします。日本人とベラルーシ人は違っている民族同士ですが、だからこそお互いのことを興味深く感じるのです。」



 記事は以上ですが、コロトキナさんもソトニコワさんも、私のこと誉めすぎですね。(^^;)
 私のことより、芭蕉の紹介をもっと詳しく書いてほしかったです。
 次回の機会では新聞記者さんにそう頼んでみます。

 ところで日本で行われる松尾芭蕉生誕360周年記念行事についてですが、今年は上野市で「奥の細道 伊賀上野サミット」が、10月11日と12日にかけて行われるそうです。詳しくはこちら。

http://www.iga2004.jp/event/sheet.php?code=86

 芭蕉祭は毎年10月12日に行われているそうですが、今年は生誕360周年ということで、盛り上がっているようです。
 こんなのもあるんですね。↓

「芭蕉祭市民合唱団 芭蕉祭のフィナーレに、混声合唱曲「芭蕉」および組曲「奥の細道」を演奏。」

http://www.iga2004.jp/event/sheet.php?code=48

 この2作品、すごく聞きたいんですけど・・・。
 それと芭蕉祭市民合唱団の方々にも「芭蕉の詩」を聞いてもらいたいです。
 そのためには「芭蕉の詩」をCD化しないといけませんね。
 CD化の話はすでに浮上しています。完成しましたらまたHP上でお知らせしますね。
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辰巳雅子
Date:2004/05/24(Mon)