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ベラルーシ歯医者レポートです。ベラルーシ滞在中に歯の治療を受けないといけなくなった場合の参考にしてください。（2001年10月にまとめた体験です）
（１）知り合いに歯医者がいればラッキー
私はベラルーシで３回歯医者に行ったことがあります。日本にいたころ、１本の歯が大きい虫歯になり、神経を抜いてもらい、詰め物をしていたのですが、数年後ベラルーシで暮らし始めてから、その詰め物の一部が欠けてしまったのです。
それで、夫の知り合いの歯医者さんに電話をし、その人が働いている有料の歯科医院へ行くことに。
そこにはアメリカ製の機械が並んでおり、清潔でまともな感じ。
その歯は神経を抜いてあるので、治療中も痛くも何ともなく、あっと言う間に終了。
が、しかし。
日本の歯医者だと治療中、助手が唾液を吸い取ってくれる管を口の中に入れてくれますよね。だから口を長く開けていても、苦しくならずにすむのですが、その医院にはこの唾液吸い取り管がありませんでした・・・。
その代わりに唾液のたまりそうなところに、綿を詰めてくれるのです。しかし、すぐに唾液でべちょべちょになるので、歯医者は（助手なんかいない）しょっちゅう、綿を取り出しては詰め、詰めては取り出し・・・をしながら治療をするのです。それでえらくせわしない治療でした。
治療後には大量の使用済みの綿が、あのうがい用の小さい洗面台のところに山のように積まれていました。
ベラルーシの歯医者は一人でこんなことを全部やって、すいぶん忙しいのだな、とそのとき思いました。
料金を払おうとすると、そのお医者さん（女性）は
「友達だからいらないわ。」
と笑って受け取ろうとしないので、ケーキ１個（注：一切れではなく、丸ごと１個です。）をあげておきました。日本円にして３００円なり。
これが男性のお医者なら、ウオッカ１本に代わります。
とにかく、知り合いに歯医者（特に私立系の歯科医院に勤務の人）がいれば、その人に頼むのがベストです。
（２）公立系歯科での検査
妊娠したことが分かってすぐ、歯の検査を受けるように指示されました。診察を受けた産婦人科は家の近所にある市立の診療所内の産婦人科で、行くよう指示された歯科も同じ診療所内にあります。これは産婦人科医から指定されたので、勝手に私立系歯科に行けません。公立の歯科とはどんなものか行ってみることになりました。
幸い、これは検査だけで、しかも何の異常も見付からなかったので、その公立系歯科では治療を受けずにすみました。そんなわけで、公立系（無料）の歯の治療がどんなものなのか、紹介することはできません。しかし、ぱっと見た限りでは、噂どおり機材もずいぶん古そうだし、部屋の中も一面タイル貼りで化学実験室のようで、冷たーい雰囲気。私が行ったときは行列はなかったものの、歯医者たちはみな横柄な態度。
「検査？ 検査だけならＸＸ号室に行ってください。」
と言われ、そこへ行くと閉まっている・・・。隣も歯科の治療室なので、そこで尋ねると、一人の歯医者は「明日、出直したら。」と言い、他の医者は、
「その部屋の医者はもうすぐ戻ってくるんじゃない？ 待っていたら？」
と言い・・・。
結局、しばらく待っていたら歯医者が戻ってきて（トイレにでも行っていたのだろうか？）やっと検査が受けられる、と思ったら
「産婦人科のカルテはどこ？！」
ときくので、それは産婦人科で保管されています、と言うと、それを持ってこい、でないと検査結果を記入できないと言うのです。
幸い夫がついてきてくれていたので、私が検査を受けている間、夫が産婦人科までカルテを取りに行きました。ほんと、体がいくつかないと時間の節約になりません。
検査の結果、どこも異常がないと分かり、ほっとしたものの、ここで治療は受けたくない、と思いました。治療費は無料でも待ち時間ばかり取られるようです。
（３）有料の私立系歯科医院
さて、妊娠初期の歯の検査もクリアーし、安心しきっていたら、油断大敵。
妊娠中も私は働いていたのですが、妊娠中期になってだんだんお腹が早くすくようになってきました。が、お昼の休憩以外の時間帯に、お腹がすいたから、と言って食事をとることができなかったので、空腹しのぎに人目を盗んでこっそりあめなどを職場で食べていました。
ある時、キャラメルをなめていたら、３年ほど前に知り合いの医者に治してもらっていた詰めものの一部が取れてしまったのです。ごく小さい穴があいたようなものでしたが、ほうっておいてこの穴が広がったりすると、子どもが生まれてから歯医者に通うのも面倒なので、今のうちに治そう、ということになりました。
しかし、前回ケーキ１個で治してくれた歯医者さんは、つい最近子どもが生まれ、産休中。仕方ないので、家の近所に最近できた有料私立系歯科医院へ行くことになりました。
予約を入れて、時間どおり行くと、担当の医者がいない・・・。助手（ここには助手がいた！）から
「ＸＸ先生は遅れてくるそうなので、１時間半後に来てください。」
と言われました。
これは何かというと、私立系の歯科医院での給料は公立系の歯科よりずっといいのですが、多くの歯医者が、公立系の歯科で働きつつ、空いている時間に私立系歯科医院でアルバイトをして、副収入を得ているのです。ベラルーシでは医者の給料が少ないため、このようにして私立系医院でバイトをしている医者がたくさんいます。
私の担当のＸＸ先生も、公立系歯科での仕事が多くて、私立系歯科医院のほうには遅れてくる、ということだったのです。他にも歯科医は何人かいるらしいのですが、暇な時間を見つけてローテーションを組んでいるらしく、その時には他の医者はいませんでした。しょうがないので、出直すことに。
言われた時間に再び行くと、ＸＸ先生が駆け込んできて、治療の開始。
この医院にはドイツ製の機材が置いてありました。しかも、ちゃんと助手が唾液吸い取り管で、唾液を吸い取ってくれる・・・と思いきや、助手は唾液吸い取り管を私の下唇にぶらーんとひっかけ、そのままどこかへ行ってしまいました・・・。
しかも、この唾液吸い取り管、あまり吸引力がなくて結局、綿の助けも借りなくてはならず、結局医者が綿を出したり入れたりしながら治療していました。
歯は神経を抜いてあるので痛くもなく、すぐ終了。しかし、なぜかうがいをさせてくれない・・・。
うがい用のプラスチックのコップが重ねて置いてあるのに、使わせてくれない・・・。
そもそも、日本だと水が自動的にぴゅーっと出てくる蛇口のようなものから、水が出ない・・・。
「はい、これで終わり。起き上がっていいですよ。」
と言われて、うがいのうの字も出てきませんでした。
料金はドルに換算して１０ドル（約１２００円）。ベラルーシの一般庶民にとってはかなり高い値段です。それでもここの医院は私立系にしては料金が安めらしいです。
ちょうどそのころ、妊娠してから時々、歯を磨いているときに歯茎から血が出ることがあったので、相談すると
「それは妊娠に関係があります。薬局へ行ってこれこれの薬草を買ってください。それを煎じたもので朝晩うがいをするように。うがいの後１時間は食事をしないように。」
と言われました。（結局、その薬草を買っていないので、効果のほどは不明。）
私は妊娠によるビタミン不足か、カルシウム不足か？ と予想していたので、この医者のアドバイスに驚いたのですが、歯茎から血が出ることが出産に大きく影響を与えるとは思えないので、気にしないことにしました。
夫は「１０ドルは高い。」と文句を言っていましたが、無料でも公立系の歯科には行きたくないし、しかもこの私立系歯科医院は保険をくれて、一定期間内に詰め物がまた取れてしまった場合、次は無料で治療してくれるそうです。
結局は私立系歯科のほうが時間の節約＆経済的。
どちらにせよ、歯医者など行かないにこしたことはありませんね。（キャラメルはもう食べないようにしよう・・・。）
by ベラルーシのT
2003/5 | 