Tのベラルーシ音楽コラム
「ミハーシ・パツークとビャセッレ」
全25曲入り、72分収録なのでお買い得感のあるCDです。収録曲が多いだけではなく、ベラルーシ民謡の中でも代表的な曲がたくさん入っています。 ビャセッレはもともと1984年に活動を開始した民族アンサンブルグループ「スビャータ」が1994年に改編されたグループ。今はリーダーの「ミハーシ・パツークとビャセッレ」として活動しています。このアルバム(アルバムタイトルなし)は、ドニエプル川から西ドビナ川に至る地域に伝わる正統派民謡を集めたものです。
ちなみに「ビャセッレ」とはベラルーシ語で「婚礼」のことです。イメージがいいですね〜 ちなみにリーダーの苗字「パツーク」は「ねずみ」という意味です。イメージが悪いですね〜 いい声してるんですけどね、パツークさん。
ミハーシ・パツークさんはテノールのよくとおる声です。ちょっと中性的な声で、知らない人が聞いたら、「女の人が歌っているの?」と間違えることもあるかもしれません。 ただ、彼の歌い方にはビブラートがかかっています。 演歌で言うとこぶし回しのうまい歌手、といったところです。 ちなみにS夫はビブラートのかかっている歌声は 「山羊がメエエエエエ〜〜〜」 と鳴いているようで、嫌いだそうです。当然ミハーシ・パツークも演歌も大嫌いです。(^^;) なので、演歌が好きな人にお勧めのベラルーシ民謡CDかもしれません。
もちろんミハーシ・パツークさん以外のビャセッレのメンバーも歌っています。 (そのうち二人については次回のコラムに書きます。)
私は数年前、ベラルーシの民謡アンサンブル「ツェルニッツァ」の創立20周年記念コンサートに行ったことがあります。 そのとき、「ミハーシ・パツークとビャセッレ」と「ドゥダリキ」が友情出演していて、パツークさんの歌を生で聞くことができました。 パツークさんはベラルーシでは有名な歌手なので、登場すると大きな拍手が・・・ そして、その存在感は他の出演者を圧倒していました。パツークさんは一言で言うと顔がすっごく大きかったです。(^^;) おでこが広いんです。外見も美声も他の人とは一線を画しています。 なので、このCDでも表ジャケットではビャセッレのメンバーと仲良く写っていますが、中を開けば、パツークさんだけ特別扱いで一人、ベラルーシの草原に横たわる 倒木の上で、民族衣装を着て、白いブーツを履いた足を組んで微笑んでいる写真が載っています。ここでみなさんにお見せできないのが残念です。 さて、ここで一つ翻訳の苦労話をしましょう。 ベラルーシ音楽CDのタイトル、アーティスト名、全曲名をいつも翻訳しているのですが、いつもベラルーシ語に泣かされています。 露和辞典のほか「白露露辞典」や「露白露辞典」や「白露白露辞典(ベラルーシ語の国語辞典のこと)」をいつも4、5冊使って訳しています。 民謡に使われている言葉が古いベラルーシ語だったり、さらにベラルーシ語でも方言だったりすることが多いため、普通の翻訳より難しいのです。
さらには辞書で単語を見つけても、それだけで終わらないこともあります。 例えばこのアルバムに収録されている曲が「梨」というタイトル。しかしベラルーシ語からはこれが「梨の実」のことを指すのか「梨の花」のことなのかそれとも「梨の木」のことなのか、分からないのです。 「梨」と聞けば、普通日本人は「丸い梨の実」をすぐ想像すると思いますが・・・。 結局より正しい翻訳をするには、歌詞も聞いてみないと分からないのです。しかしビブラートのかかったパツークさんの声がよく聞き取れず、苦労しました。(^^;) それで結局「梨の木」のことを歌っている歌と判明。そのように翻訳カードを作成しました。 このコラムではこういう苦労話というか、ちょっとした裏話も書いていく予定です。
by ベラルーシのT
Date:2003/12/04(Thu)
01:16
|