ジャムとバレーニエ
日本人の目には同じように見えるジャムもベラルーシの人は「ジャム」と「バレーニエ」の2種類があるといいます。「ジャム」はヨーロッパ風、「バレーニエ」はスラブ風、、、という違いがあるようです。
どう違うのかというと、ジャムは使われた果物の原形が残っていない、「バレーニエ」は残っているのです。確かに日本で売られているいちごジャムは、どろどろで、すべて一体化(?)してますが、「いちごバレーニエ」は原形が残っているので、スプーンで1個ずつすくって食べられます。
写真はベラルーシでも珍しい松ぼっくりのバレーニエです。ただし、若い(熟していない?)松ぼっくりです。確かに原形が残っているでしょ?
食べてみましたが、柔らかくて、おいしかったです。松脂の香りもしました。松ぼっくりだけではなく、ベリーも一緒に入れています。だから赤い色をしているんですね。
また、さくらんぼのバレーニエの中に、種を抜いて作った物と、種つきのまま作るものがあります。ベラルーシでは種抜きのさくらんぼバレーニエを作るために、わざわざそれ専用の「さくらんぼの種抜き器」が売られています。
私はいつも面倒くさがって、種を抜かないままバレーニエを作ってしまうのですが、種つきのものは作ってから2年以内に食べないといけないそうです。それを過ぎると種から有害物質が出てきて、毒バレーニエになってしまいます。
ですから、ベラルーシでさくらんぼバレーニエを食べるときは注意してください。
それから、変わったバレーニエとして「かぼちゃバレーニエ」というものがあります。
しかし、日本のかぼちゃと違って、ベラルーシのかぼちゃは瓜に近いような姿と味です。色も薄くて白っぽく、甘味もほとんどありません。これをベラルーシの人々はさいころ型に切って、オレンジといっしょにバレーニエにします。
するとあら不思議。何とパイナップルにそっくりの味と歯ごたえのバレーニエになるんですよ〜。パイナップルから作ったバレーニエだと思って食べていたら、実はかぼちゃとオレンジが原材料。まるで魔法のようなバレーニエです。
かぼちゃ(というより瓜)の歯ごたえが、ちょっと固めのパイナップルの歯ごたえにそっくり。そしてなぜか味もパイナップル。
こういうバレーニエが売られていれば、お土産として話の種に買うのもいいのですが、かぼちゃバレーニエは売られていません。どうもこれ、誰かベラルーシの主婦が発明して、新聞か何かにレシピを投稿したのが、載ってそれが口コミで広がったみたいなのです。今は多くの人が作り方を知っているのですが、年配の世代の主婦は
「かぼちゃでバレーニエなんか作ったことない。」
と言っています。
それから、私はあるお宅で「にんじんバレーニエ」をごちそうになったことがあります。バレーニエと言えど、丸ごとにんじんが入っているのではなく、おろし金で荒めにすりおろしてありました。甘いのであんまりにんじんの味はしませんでした。しかし、どうもにんじんバレーニエを作っているのは、この家だけのようで、その後はお目にかかったことはありません。普通はにんじんでは作らないようです。
ちなみにベラルーシの食料品店でもバレーニエが売られていますが、ベリー系のバレーニエが多いです。
でも、こんなにたくさんバレーニエを食べる民族が住むところなのに、店にはあまりたくさんのバレーニエは売られていません。どうも自分で家で作るのが当たり前らしく、店でお金を出してわざわざ買う人がほとんどいないようです。
逆に夏場は砂糖がよく売れるようです。ある日、夫のお父さんが20キロほどの砂糖を袋に入れて、背中に担いで買い物から帰宅したのを目撃したときは、驚きました。
さて、原形が残るようにつくるには、、、。
まず、いちごなど果物と砂糖を鍋に入れて、そのまま1晩放っておきます。果物と砂糖の分量比は1:1(例、いちご1キロに対し、砂糖1キロ。甘いぞー、バレーニエは。)
そうすると、砂糖が果物の水分を吸収して、かなりの量の水分が出て来ます。それをことこと煮ます。つまり、果物を直接煮るわけではなく、水分を通して熱が伝わるので、形が崩れないのです。
暇な方はバレーニエを作ってみてください(^^)
ジャムとは一味違う?
2003/10 文章を追加しました。(by saba)
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