保存食

 ベラルーシの家庭では長い冬に備えて、たくさんの保存食を作ります。野菜を酢漬けにしたり、果物をジュースにして、ビンに詰めます。貴重な冬場のビタミンです。

 写真は4人家族のお宅にお邪魔したとき、撮影したもの。別の部屋にもジャムのビンがたくさん保存してありました。もちろん、みんな手作り!

さて、保存食といっても種類がひじょうにたくさんあります。その中から、少しずつ作り方をご紹介します。まずは塩漬けキャベツから・・・

塩漬けキャベツの作り方

 実際は「発酵キャベツ」と呼ばれていますが、塩を使うので塩漬けキャベツと呼ぶことにします。

(1)キャベツを刻む(あるいはスライサーなどでスライスする) 千切りにしたにんじんを加えてもよい。
(2)ボールに入れて、塩をふり、手でよくもみ込む。塩の量は味見してみて塩味を感じる程度。
(3)鍋に入れ、ふたはせず重しをかけ、2−3日室温で保存する。(ここで発酵が起こるので発酵キャベツ。これが味のポイント。)
(4)出てきた水分もいっしょにビンの中に移す。そのとき、水分が不足する場合が多いので、塩水をビンの口いっぱいになるまで追加する。塩水の塩の量はなめてみて、「ちょっと塩辛い。」と感じる程度。(キャベツの切り口は空気に触れると黒ずんでしまって失敗する。)
(5)きちんとふたをして、冷所に保存。暗所でなくてもいいそうです。ベラルーシでは冬寒いので、ベランダで保存したりします。

 これで完成。ふたがきちんと閉まっていれば、1年は持ちます。開封後は冷蔵庫で保存するほうがいいようです。

 ところで、日本で作る場合、(3) 2−3日室温で保存する、とありますが、この室温が日本とベラルーシでは季節によって違うので、うまく発酵しない場合があります。

 ベラルーシの場合、このような保存食は8月末から9月にかけて作ることが多く、そのころの気温は20℃ぐらいです。ですから特に夏場に日本で塩漬けキャベツを作ると失敗しそうですので注意してください。

では次に完成した塩漬けキャベツの料理法をご紹介します。

その1

 ベラルーシ人がよく作る塩漬けキャベツ料理として「ウオッカのおつまみ用塩漬けキャベツ」というのがあります。ベラルーシ人はこれが大好きなのですが、ただ、あまり日本人向けの味ではありません。

(1)塩漬けキャベツ3カップをお皿に入れる。
(2)中1個分の玉ねぎをみじん切りにして混ぜる。
(3)ひまわり油1カップを上から注いでよく混ぜる。できあがり。

 正直言って、油ぎとぎとです。玉ねぎは当然のことながら、「水にさらしておく」といったような、優しいことはしません。生玉ねぎのつーんとした味とひまわり油のぎっとり感、さらにキャベツの塩味&発酵による酸味が混ざり合い、日本人にとってはすごい味です。

 が、ベラルーシ人にとってはこの味の組み合わせが、たまらなくウオッカに合うらしく、ウオッカ片手にむしゃむしゃキャベツを頬張っています。(私は真似できません。)

 ま、このウオッカ&塩漬けキャベツの良さが分かるようになれば、あなたも通人。ベラルーシ人に一歩近づけます。

その2

 すでに、ウクライナ料理バレニキの作り方をご紹介していますが、バレニキの具に塩漬けキャベツを使うことがあります。これは上記のウオッカつまみキャベツより、ずっと日本人の口に合います。おいしいですよ。

 作り方は、塩漬けキャベツ(適量)をひまわり油(適量)で、蒸し焼きにします。
これだけなのですが、ポイントは強火にせず、ふたをして蒸らすように加熱する、ということです。

 するとけっこうたくさんの量だと思っていたキャベツのかさがずいぶん減ります。火が通って茶色っぽくなったら、まとめて火から下ろします。これをバレニキの中に入れる具にします。

 カッテージチーズを具にしたバレニキは甘くて、おやつのようですが、塩漬けキャベツを具にすると、立派なおかずになります。かさが減ったキャベツがたくさん食べられて、食物繊維が豊富に採れます。

このキャベツの具をピロシキの具にする方法もあり、お勧めです。

その3

 もっと簡単に塩漬けキャベツをそのままスープに入れると、あっという間に具だくさんのスープの出来上がり。それにキャベツに塩味と酸味がついているので、調味料をたくさんスープに入れることも必要ありません。とってもおいしいです。

その4

 もっと日本人向けの味としては・・・塩漬けキャベツを何も手を加えず、そのまま食べる、というのが一番いいようです。私は酢の物と思って、さわやかに食べています。が、これはベラルーシ人にとっては物足りない味気ない食べ方であるようです。

きゅうりのピクルス

 塩漬けキャベツ以上に、ウオッカとの相性がよい、とベラルーシ人が愛してやまないのがきゅうりのピクルスです。ウオッカを飲んだ後、このきゅうりをぽりっとかじるんですね〜。

 さて、これは各家庭によって作り方が微妙に違うようです。ここではまずS夫のお母さんが作っている方法をご紹介します。このお母さんの手作りピクルスは、酸っぱすぎずとてもおいしいと友人達の間でも評判です。ただ、ちょっと日本では作りにくいかも。

きゅうりのピクルスの作り方・その1

(1)きゅうりを一晩水につけておく。(この作業をしないと、きゅうりの中に空間ができてしまう。)
(2)広口ビンの中にきゅうりを入れる。隙間に皮をむいたニンニクをつめる。きゅうりとニンニクはビンの7割方まで入れる。
(3)さらに枝つきのさくらんぼの葉を覆うように、ビンの口いっぱいになるまで入れる。(フサスグリの葉でもよい。)
(4)1リットルの水に対し、塩大さじ1杯を入れて溶かす。味見をしてみて少し塩辛いかな? と思ったらOK.。(辛目のスープの程度の塩味)塩が足りないようなら、さらに大さじ2分の1の塩を追加する。
(5)もし、あればホースラディッシュの根を包丁でこそげた物を、(4)の塩水に加える。
(6)できた塩水を(3)のビンに上から注ぎいれる。必ずビンの口いっぱいになるように塩水を入れること。
(7)蓋をしてできあがり。涼しいところで保存します。開封しなければ2年もちます。

Tからのコメント:塩水に使う水は、一度沸騰させてから十分に冷ました物を使うほうがいいと思います。(お母さんは沸かさなくても大丈夫と言ってましたが、長期保存するなら、一度沸かすほうがいいです。)
さくらんぼは枝がついていないと葉が腐ってくるそうです。

・・・ということなのですが、さくらんぼの葉っぱはベラルーシでも店には売られていないし、ましてや枝つきのはどうしたらいいのか? と思いますよね。もちろんお母さんは自分のダーチャで生えているのを、採ってきて使っているのですが・・・それに「フサスグリの葉でもよい」と言われてもなあ、と思われる方も多いでしょう。

 そこで、日本でも作ることのできるレシピをご紹介します。

きゅうりのピクルスの作り方・その2

材料
 水 2カップ
 酢50cc
 塩 10グラム
 にんにく 1片

(1)上記の材料を全てなべに入れて加熱する。沸騰したらすぐ火から下ろし、自然に冷ます。
(2)ビンにきゅうりを入れて、(1)の水を上から注ぐ。(きゅうりやビンの容量によって、上記の材料の分量は適当に調節してください。) 蓋をして保存する。

これだけですが、きゅうりのほかに
・ローリエの葉を入れる
・黒胡椒を粒ごといくつか入れる
・ディルなど、ハーブを入れる
 ・・・などを、一緒に漬け込むと風味が増します。
 特にベラルーシではディルの花や茎の部分をよく一緒に漬け込みます。

ついでに、トマトのピクルスの作り方もご紹介します。
 「きゅうりのピクルスの作り方・その1」と同じなのですが、ただ塩の量を半分(大さじ2分の1)にしてください。それだけです。

「きゅうりのピクルスの作り方・その2」のほうもいろんな野菜に応用がききます。いろいろ試してみてください。

 私はいつも「その2」のほうで作っているのですが、「その1」のほうのピクルスのほうがやっぱりおいしいです。もしかすると「(5)ホースラディッシュを入れる」というのがミソなのかも。これも「その2」に応用できますね。

2003/10 文章を追加しました。(by saba)

 

 

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