◆ベラルーシ語◆

ベラルーシでは、ベラルーシ語が第一公用語、ロシア語が第二公用語です。
     ひとつの国にふたつの言葉はどのように共存しているのでしょうか?

 

「ベラルーシ語」ブーム

ロシア語訛りのベラルーシ語

▼「ベラルーシ語」ブーム


 ソ連時代、ベラルーシ語は外国語のように小学6年生から学校で教えられていました。学校を卒業すると、都会に住むほとんどの人が使わないので、忘れてしまい、ベラルーシ人なのに母国語ではないかのようになっていました。

 ソ連時代にミンスクでベラルーシ語を使って話していると、[お上りさん?」
更には「田舎者」扱いされ、笑われていたので、地方からミンスクの大学に入学した学生は、必死で訛りを消そうとしたそうです。

 ソ連時代はロシア語ができないと、入試も受けられないし、頭が良くてもベラルーシ語しか使えない人は、いわゆるインテリの仲間入りはできなかったそうです。つまり、ソ連時代、ベラルーシ語は死語になりかけていたのです。今もこのまま放っておくと、死語になる危険性がかなりある言語の一つです。

 今はベラルーシ語は小学1年生から勉強します。ロシア語も小学1年からです。けれど、他教科(算数や理科、社会など)をベラルーシ語で教えている学校はミンスクで1校しかありません。みんなロシア語で教えています。

 ソ連崩壊後、ソ連時代の反動がきて、いきなり公用語をベラルーシ語だけに
してしまった時期がありました。で、今のバルト3国ほどではないにせよ、混乱が起こりました。(例えば、大学入試の小論文の試験をベラルーシ語だけに限ったり)94年にルカシェンコ大統領が登場してから、ベラルーシ語とロシア語の
二つの言語が公用語になりました。今は入試の小論文の問題はロシア語かベラルーシ語か受験生側の選択に任されています。これが普通だと私は思いますが・・・。

 ちなみにベラルーシテレビはベラルーシ語でほとんど放映しています。新聞は「ロシア語の新聞」「ベラルーシ語だけの新聞」「ロシア語とベラルーシ語の
記事が入り乱れている新聞」の3種類があります。地下鉄のアナウンスや駅名の表記はベラルーシ語です。正式な書類はベラルーシ語で書かれることが多いです。図書館では案内掲示板やコーナー名等は全てベラルーシ語です。

 ただし、地方ではみんなベラルーシ語を使っていますが、都会ではロシア語がほとんどです。だから、ベラルーシ語を知らない私も何とかミンスクでは生活できているわけです。

 最近の小学生は、小学校1年生からのベラルーシ語教育が功をなしてきたのか、「ロシア語もベラルーシ語も、どっちも使える」子が増えてきました。これが年齢が上がるにつれて「ベラルーシ語はできない」率が高くなり、ソ連の教育を受けた世代は「ベラルーシ語は聞いたら分かるけれど、話すことはできない」という人ばかりになります。

 要するに母国語として身についていないのです。おまけに彼らには、時代が変わったんだから、ベラルーシ語を見直して学ぼうか、という姿勢は全くありません。今、増えているのは子供が親とはロシア語で話し、おじいちゃんやおばあちゃんとはベラルーシ語で話す、というパターンです。親とその親(おじいちゃん、おばあちゃん)とはロシア語で会話しています。

 このような状況で、「これじゃあ、だめだ!  僕たちはベラルーシ人なんだから、ベラルーシ語ができなくてはおかしいじゃないか!」と気がついた20代が、今、ベラルーシ語だけ使おうと努力しています。私がロシア語しかできないと分かっていても、ロシア語に切り替えてくれない・・・。ここまでくると頭が固い、と思うのですが、彼らの行く末を私はあまり心配していません。かつてウクライナもそうでした。ロシア語で話しかけてもウクライナ語しか返ってこないという時期がありました。でも、ウクライナはその「反動」の時期を過ぎて、今は外国人(私など)がロシア語しかできないと分かると、ロシア語で返事してくれます。

 言語面では、今、ベラルーシ語は過渡期ですね。ここで、「ベラルーシはロシアと統合したいんだ!  だから、ロシア語だけ使え!」とお上が弾圧すると、かえって反発する勢力が出てきて、泥沼状態になるので、お上はベラルーシ語を話す若者を優しく見守ってほしいものです。(2000/04 by T)   

▼ロシア語訛りのベラルーシ語

 今、ベラルーシで問題になっているのは、ロシア訛りのベラルーシ語。ベラルーシ訛りのロシア語とどうちがうのか? と思われるでしょうが、実は全然違います。

 これはベラルーシ語の単語を使っているのですが、文法はロシア語の規則にしたがっていたり、その逆をやっている摩訶不思議な言葉です。つまり間違ったベラルーシ語です。

 長い間ロシア語優先措置が取られていた結果、純粋な正しいベラルーシ語を使える人は少なくなり、逆に増えたのがこのロシア語に近いベラルーシ語です。
実は純粋なベラルーシ語が使える人より、ロシア語化されたベラルーシ語をしゃべっている人のほうが多いのです。でも、後者の人は自分たちはベラルーシ語をしゃべっていると一応主張しています。(2000/04 by T)


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