夏の断湯

「断湯?  それは何だ?」と思われた方もいるでしょう。
文字通り、お湯が出ないのです。水道の蛇口をひねってもお湯が出ない!
この状態が約3週間、長い時は1ヶ月続きます。

  もうこれもベラルーシの夏の風物詩のようなものです。(^_^;)
  暖房器具の画像が見られるようになりましたが、こちらでは暖房もお湯も町の中に
ある給湯システムによっています。4月に暖房は止まりますが、お湯はそれとは
関係なく出るようになっています。

  しかし、この給湯システムから各家へと伸びているパイプは元を正せば1本の
太いパイプであるはずだ。(と、私は想像しているのですが)
  そのパイプを1年に1回そうじするため、お湯もその間止められてしまうのです。
 

ミンスクの場合、地区ごとに止められる期間が違っていて、私が住んでいる地区は
いつも5月下旬から6月中旬にかけてです。7月が出ない地区や8月が出ない地区などに
分かれますが、夏の間であることには、かわりはありません。
 

 夏の間にパイプ掃除をしておかないと、冬の間の暖房システムに支障をきたすとかで、
必ず、この断湯は行われます。(つまり、夏に掃除をしないと、冬、暖房がきかないって
こと?  恐ろしやー。)

  で、そのことを住宅管理局が、各棟の入り口にあるお知らせ掲示板に「O月O日から
お湯が止まります。」という紙を貼って回るのですが、今年はお湯が止まる前日になって
やっと貼ってくれました。(もっと前もって知らせてほしい。)
 

 ひどい時は、そのお知らせもないまま、断湯に突入してしまい、うっかり湯断・・・・
じゃなかった、油断すると(^^;)水風呂に手や足を突っ込んでしまうはめになります。

  そんなわけで、まともなお風呂に入れないのです。親戚がお湯の出ている別の地区に
住んでいる場合は、そこへお風呂を借りに行く、ということもできるのですが、
S夫の親戚はみんな近所に住んでいるので、この方法がききません。
 

 仕方ないので、大きい鍋をいくつか用意して、お湯を沸かし、風呂場と台所を
何回か往復してお湯を風呂桶にためる、ということをしています。(すごく疲れる)
  あるいは行水です。洗面器が私のお風呂さ。(^^;)片手にはひしゃく。

  お風呂も大変だけど、お湯が出ないと食器の油汚れが落ちないから、それにも
お湯を沸かさないといけないし。水は氷のように冷たいし。
  それで、こっちの食器洗い用の洗剤のCMは常に「冷たい水でも汚れが良く落ちる」が
うたい文句です。
  それとベラルーシ人の場合、洗濯機を持っていない家庭、というのもまだあるわけで、
(洗濯板が売られています。)その人たちはもっと大変です。

  「これは国が国民に『忍耐』とは何であるか、思い起こさせるためにしているのだ。」
というベラルーシ人もいますが、お風呂の好きな日本人にはきついですよー。
 

 ベラルーシ生活で一番、異国情緒を感じさせる時期ですが、こんなことには耐えられない、
という方は、ベラルーシへ旅行する際、注意してください。
  でないと、宿泊先のホテルのある地区がその時偶然「断湯期間中」の場合もあるからです。
ホテルではお湯は沸かせないですよー。

  ベラルーシの人はいわゆる「銭湯」に行ったり、ダーチャにお風呂がある人はそこへ
入りに行ったり、ビールを手土産に親戚や友人の所へお風呂を借りに行ったりしている
ようです。

  「えー、ベラルーシって大変!」と思った方もいるでしょう。
ベラルーシ人も「あー、うち、お湯が出なくなっちゃた。やだやだ。」とこぼしているのですが、
私は水道管の大々的工事のため、運悪く5ヶ月間、町じゅうどこもお湯が出ない、
という時期のウラジオストックに10ヶ月間、留学していたので、1ヶ月やそこらの
断湯なんて、ぜーんぜん、へいちゃらです。はっはっは!
  あのウラジオに比べれば、ミンスクなんて楽園ですよ。(^^;) (2000/5/18by T)

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