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7月7日はクパーラ祭り

また遅くなってしまいましたが、7月7日は七夕・・・ではなく、ベラルーシではクパーラ祭りの日です。
 これは最もベラルーシらしさが表われるお祭りです。
 このクパーラというのは聖書に出てくる洗礼者ヨハネ(あるいは聖イオアン)のことです。
聖ヨハネ祭のことで、もともと6月24日に当たりますが、スラブ正教暦では7月7日になります。
 クリスマス・イブのように7月6日の夜からこのお祭りは始まります。
 いくつかの村の住民が集まって、たき火を川のほとりに焚き、その周りに集まります。
このたき火の火は神聖なもので、病弱な子どもがいる場合、その子どもの服をくべて、健康を祈ります。そのほか、古くなった物だけれど、気軽に捨てられないような物も、このたき火にくべます。こうすると、その年は豊作になると、信じられてきました。
 このたき火の上を若い男たちは、飛びこえないといけません。

 さらに直径1メートルぐらいの木の輪っかを作っておきます。内側には棒を十字に組んで固定します。さらに5メートルぐらいの竿の先にこの輪をつけて、輪の部分に火をつけ竿を野原に立てます。 
 これは太陽をシンボル化したもので、クパーラ祭のシンボルマークのようなものです。
ちょうど、時期が夏至のころに当たり、ベラルーシは白夜はないのですが、夜11時ごろ完全に暗くなり、3時ごろ、夜が白み始めます。つまり、1年で最も日照時間の長い時期でこのあたりに、太陽をシンボル化した燃える輪を立てることと関係があるようです。

 さて、この日まだ夜が完全に暮れる前に、「花輪占い」をします。たき火を焚いているそばの川の上流へ、結婚前の娘たちは自作の花輪をかぶって、移動します。結婚前の若者は下流の方へ。
 そして、娘たちは花輪をいっせいに川に流します。待ち構えていた若者たちは花輪を一人一つずつ川から拾い上げます。その後、たき火のもとで集合し、誰が誰の花輪を拾ったか照らし合わせます。つまり、この占いは、花輪を拾った男性が、かぶっていた娘の未来の花婿になる・・・という占いなのです。
 どうです、ロマンチックでしょ? ベラルーシの人たち。
 でも、花輪がすぐ沈んじゃったりしたら、もう、最悪! 縁起でもなーい! あるいは誰にも拾い上げてもらえなかった場合はどうなるのでしょう?! (お嫁にいき遅れる?!)
 また、あるいは意中ではない人に拾われた場合は?
・・・うーん・・・。ロマンチックどころか、悲喜こもごもの光景がたき火の周りで繰り広げていたりして・・・。(-_-;)

 このようにして、朝まで楽しく過し、7日の日の出を見なくてはいけません。
これを見ると一年、健康と美しさに恵まれるそうです。日本の初日の出のようですね。

 そうそう! 大事なことを書き忘れていました。6日から7日に日付が変る夜中の12時きっかりにベラルーシの森の奥深く、シダの花が咲く・・・と言われています。
 この花は1年に1回この時間にだけ咲き、言葉では言い尽くせない美しさで、それを見つけた者にこの世で最高の幸福を与える・・・しかし、それを見たものは未だかつていない・・・・というベラルーシ民族が信じる言い伝えがあります。
 シダは胞子植物なので、常識で考えると花は咲きません。でも、ベラルーシ人はこの花の存在を信じ、6日の晩、本当にこの花を求めて森の中を探し回ったそうです。
 このシダの花・・・という言葉は、ベラルーシ人の幸福のシンボルであり、特別な意味を持ちます。ベラルーシを語る上で決して忘れてはいけないキーワードです。

 ・・・でも、まあ、こういう「これこれの物を見たり、身につけたりすると、魔法のような力が得られる」というのは品こそ違え、他の民族の間でも伝承や民話の中でも見られますね。(アラジンの魔法のランプとか。)
 問題なのは、このシダの花がもたらすとういう、幸福の中身です。
 このシダの花を見つけた者は、木のざわめきや、動物の言葉、土の中に埋まっている鉱物たちのささやきが理解できるようになる・・・そうです。つまり、自然と一体化することができるようになるということです。
 これが「この世で最高の幸福」・・・だそうです。最高の幸福の中身を自然と一体化することだ。と定めた昔のベラルーシの人々は、偉大だ!!! 
 と毎年このお祭りが来るたび、思い出します。

 クパーラ祭は最近はあまり行われなくなってしまいました。特に都会では。
 でも、ミンスクの郊外にある「ベラルーシ民族建築村」では
毎年このお祭りを行っています。毎回、行きたいなーと思うのですが、天気が悪かったり
平日に当たったりして(行ったら徹夜になるので、次の日仕事ができないー。)
未だにこのお祭りはテレビでしか見たことがありません。(T_T)
 でも、いつか必ず見てみたいです。(2000/T)

その後、2004年にこのお祭りを見ることができました。
そのときのレポートを読んでみる
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